デイリー・アップデート

2019年2月21日 (木)

[米国] 2月20日、FRBは、1月下旬に開催したFOMCの議事要旨を公表した。多くのFOMC参加者がバランスシート縮小の終了時期を「2019年内」とみていた。パウエル議長は「2021年から22年にかけて」を示唆していたので、大幅な前倒しとなる可能性がある。一方、利上げの前提については、インフレ率が見通しを上回ればという意見や、経済が想定通り推移すればという意見があり、見方が分かれている。ただし、堅調な経済、労働市場という見方は維持されており、市場には2019年内1回利上げとの見方も出ている。

[ドイツ] ドイツ景況感指数は、1月の▲15から2月の▲13.4に改善した。ただし、1991年以降の平均(+22.9)を下回っており、依然として低水準にとどまっている。製造業の新規受注が停滞し、生産が引き続き減少しているので、製造業の悪化が続く。ZEWのWambach所長は、向こう6ヶ月間は景気が改善しないとみている。

[石炭] 石炭業界の雄であるGlencoreは、昨日発表した2018年通期決算において、「低炭素社会への移行へのコミットメント」を明確に打ち出し、石炭生産能力を現行水準から拡大せず、エネルギー・モビリティ転換に寄与する商品群に注力する旨を明示した。同業他社の脱石炭が進む中でも需要拡大を追い風に石炭増産に注力してきた同社の方針転換は、温暖化防止に向けた世界の潮流、ESGを重視する投資家の圧力、石炭離れ加速等の象徴と捉えられている。

[ブラジル] 2月20日に政府が発表した年金改革法案は、実現すれば今後10年間で1.16兆レアルの費用削減が見込める内容。最低定年年齢の設定、年金規程の厳格化、教師・軍・警察などの特殊年金体制の改革、完全積立型確定拠出年金の導入など、包括的な内容。前政権案(8,000億レアル削減規模)に比べてより野心的だが、最低賃金と年金支給額の紐付けは解消されておらず、名目GDPの成長と共に費用負担が増えてしまう点は変わらない。

[ロシア] 2月20日、プーチン大統領は議会上院で年次教書演説を行った。出生率向上に向けての子供手当や貧困層への支援、ゴミ処理などの国内問題を重視した内容。外交関係では中国や東南アジア諸国との経済協力を拡大するとし、日本との平和条約交渉にも言及した。

[マレーシア/中国] サイフディン外相は、マハティール政権が、費用が巨額なため中断していた東海岸鉄道計画(ECRL)に関し、中国と協議を行っていることを明らかにした。同氏によると、中国は同計画の総事業費200億ドルを引き下げる用意があり、協議は詰めの段階に差し掛かっているという。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

17人が「いいね!」と言っています。