デイリー・アップデート

2020年2月18日 (火)

[世界貿易] 世界貿易機関(WTO)は2月の財貿易バロメータを公表した。これは、新規輸出受注や国際航空指数、自動車生産・販売指数など6指数を集計したもの。この財貿易バロメータは95.5となり、前回11月(96.6)から低下した。2018年11月以降、6四半期連続で基準の100を下回っており、貿易が弱含んでいる様子がうかがえる。なお、今回の指数にはCOVID-19の影響は含まれておらず、今後さらに貿易活動が鈍る恐れがある。

[台湾] 台湾の兵役制度は、元々徴兵制だったが、中台間の軍事的緊張緩和と若者の負担が大きすぎるとの民意に基づき、2019年1月から、19歳以上37歳未満の男性を対象とする4か月間の兵役義務制と、18歳以上33歳未満の犯罪歴のない男女を対象とする1期4年間の契約志願制の二本立てに変更された。現在、志願者数の不足、軍人の素質の低下、コストの上昇などの問題が表面化しているが、今のところ決定的な解決策はない。なお、現在の台湾陸・海・空軍の規模は、合計21.5万人で世界第22位。予備役は168万人。

[タイ] 2019年10-12月(第4四半期)の実質GDP成長率は前年同期比+1.6%だった。4半期ベースの成長率が1%台に低下したのは2014年第3四半期(+1.1%)以来初めて。2019年通年の実質GDP成長率は前年比+2.4%。前年(+4.2%)から減速し5年ぶりの低水準となった。米中貿易摩擦やバーツ高による輸出の停滞、干ばつ、国家予算の成立遅れ等が影響した。2020年の実質GDP成長率の予測については、国家経済社会開発委員会(NESDC)は+1.5~2.5%とした(2019年11月時点の+2.7~3.7%から下方修正)。新型コロナウイルスの感染拡大、国家予算の成立遅れ、米中貿易摩擦等を理由とした。

[イラン] 2月21日に国会選挙が実施される。前回の選挙は、欧米諸国と核合意を結んだ直後に行われ、ロウハニ大統領支持派が議席を伸ばしたが、米国の一方的離脱により核合意は崩壊寸前であり、かつ米国による制裁のせいで経済も大きくダメージを受けており、今回は欧米との対話を拒否する保守強硬派の巻き返しが予想される。立候補登録者14,000人のうち、現職議員90人を含む7,000人近くが監督者評議会による資格審査で落とされたことで、投票率の低下も懸念されている。

[中国] 2月17日、全国人民代表大会(全人代)常務委員会委員長会議は、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎のまん延を受け、3月5日に開幕予定だった第13期全人代第3回会議の延期案を2月24日に審議すると発表した。事実上の延期決定ともみられているがこれは極めて異例。全人代で恒例として公表される実質GDP成長率目標に関しては「6%前後」という見方が有力だったが、新型肺炎のために修正が迫られる可能性があり、指導部は情勢を見極める構えと考えられる。

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