デイリー・アップデート

2020年6月11日 (木)

[米国] FOMCが開催され、2022年末までゼロ金利政策が継続される見通しとなった。経済見通しによれば、GDP成長率は2020年に▲6.5%、2021年に+5.0%であり、2019年の水準を回復するのは2022年以降となるため、その間ゼロ金利を継続する方針のようだ。また、資産買い入れについて月1,200億ドルペースで購入することが決まった。市場で注目されたYCC(イールドカーブコントロール)などは次回以降の検討課題となった。

[米国] トランプ大統領が駐独米軍兵士9,500人を縮小し、上限を最大2万5,000人とする方針を固めたことに対して、6月9日、下院軍事委員会在籍の共和党議員22名が同方針の再考を求める連名書簡をトランプ大統領宛に送付した。同連名書簡では駐独米軍の縮小を図った場合、米国の国家安全保障に深刻な打撃が及ぶとともに、ロシアによる大胆な行動を招きかねないとの懸念を表明。駐独米軍の縮小計画は、悪化しつつある米独関係にさらに悪影響を及ぼすことが必至とみられる。

[韓国/中国] 6月9日、リチウムイオン電池の材料メーカーである寧波杉杉股份は、LG化学から液晶パネル(LCD)の車載用を除く偏光板事業を7.7億ドルで買収すると発表。LGディスプレイが、2020年1月、テレビ用LCDの韓国工場の年内閉鎖を発表後、同グループ内のLCD原材料製造ラインの売却が始まった。サムスンディスプレイも昨年10月から韓国内の一部LCD生産ラインを有機ELパネル用に改変し、2020年4Qからは韓国と中国蘇州のLCD生産を停止する予定。韓国勢のLCD事業撤退が本格化してきた。

[ロシア] 北極圏にある都市ノリリスクでの大規模なディーゼル油流出事故は他の地域でも発生するリスクがある。ロシア国内には、1万トンから2万トン級の石油製品貯蔵庫が何百基もあり、その多くは20~30年前に設置されたものである。地球温暖化などで永久凍土が融解しつつあり、脆弱な地盤に立てられているインフラ施設の緊急点検が必要である。

[世界経済] 6月7日、OECDは、四半期経済見通しで、2020年の世界経済成長率が▲6%に陥るとの予想を発表。これは第1波でコロナ禍が収束すると仮定した場合だが、世界銀行が示した予想(2010年基準PPP(購買力平価)ベースで▲4.1%、上記の2010年基準市場為替ベースでは▲5.2%)よりもさらに悲観的。仮に第2波が発生した場合は▲7.6%と予想されている。中国とインドの経済成長率見通しは、第1波でコロナ禍が収束する場合、第2波が発生する場合でそれぞれ▲2.6%と▲3.7%、▲3.7%と▲7.3%と、特に第2波が発生した場合を厳しい予想にしている。

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