デイリー・アップデート

2020年6月15日 (月)

[米国] 6月12日、ジョージア州アトランタ市にて、逮捕に抵抗した黒人男性が警官に銃撃され死亡。男性は武装しておらず、警官による過剰反応であると批判が高まり、当該警官の免職と警察署長の辞任が発表された。人種差別への抗議が各地でさらに高まる可能性あり。抗議デモ参加者の多くは警察改革等を訴えるが、12日に公表された世論調査結果では、警察予算削減への支持は34%、反対64%。その一方、より穏当な改革(警官によるボディカメラ着用、暴行行為に対する独立調査など)に対しては90%以上の超党派の支持がある。

[米国] 新型コロナ感染拡大後、第4弾の救済支援策について、トランプ大統領は最低2兆ドルの規模とすることを希望しているとナバロ通商・製造業政策担当ディレクターが先週末発言。大規模な給与税減税とともに、製造業雇用の米国回帰を促す措置を盛り込む方針も表明した。他方、議会共和党指導部を率いるマコネル上院院内総務は1兆ドル規模の救済支援策を示唆しており、トランプ政権と議会共和党の間で足並みの乱れも表面化しつつある。

[ベラルーシ] ルカシェンコ大統領は、8月9日の大統領選挙における有力対抗馬の一人であるヴィクトル・ババリコ氏が汚職に手を染めていると強く非難する一方、ババリコ氏の選挙参加を阻止するつもりはないともコメントした。ババリコ氏は、ロシアのガスプロム銀行のベラルーシ子会社の元総裁。同子会社の本社は先週、脱税容疑でベラルーシ警察の強制捜査を受けた。ババリコ氏は、容疑を否定し、自分は政治的な圧力を受けていると、主張している。

[北朝鮮/韓国] 金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第一副部長が、6月13日の談話で、韓国に対し軍事的な挑発行動を予告、朝鮮半島の緊張が高まっている。談話は、韓国への不信感や金正恩委員長の権威を汚したことへの非難を強調、「報復計画が国論として固まり、南北共同連絡事務所は跡形もなく崩れる、次の敵対行動行使権は軍総参謀部に手渡す」とし、最後に「くずはゴミ箱に捨てるべきだ」と結んだ。韓国統一省は、翌14日、敵対行為の停止を記した南北間合意を引用し北側の自制を呼びかけたが、15日、北朝鮮の労働新聞は報復行動に移ると報じている。

[中国] 6月14日、北京市政府は市内の「新発地」食品卸売市場で新型コロナウイルスの集団感染が判明したと発表、現時点で51名の感染者が確認されている。また、遼寧省でも同市場関連の感染者が2名発見され、第2波への警戒が高まっている。発生源については調査中だが、市場で扱っていた物品(肉類、水産品、冷凍食品)が汚染されていたか、北京市外から感染者が入り込んだ可能性が高いとみられている。同市場は北京に供給する野菜の70%、豚肉の10%等を扱っており、週末には一時野菜の買い占めが起こったが、価格上昇は今のところ発生していない。

[レバノン] レバノン・ポンドの急落を受けて、6月11日以降レバノン各地で激しいデモが発生している。レバノン・ポンドは1ドル=1,507ポンドの公定レートで固定(ペグ)されてきたが、長年の不適切な経済政策の影響で、先月には闇市場で1ドル=4,000ポンドまで下がり、さらに先週になって5,000ポンドまで急落したことを受け、国民の中央銀行や政権に対する怒りが爆発し、各地の銀行や商店が襲撃されている。

[パキスタン] 6月12日、ハマド・アズハル産業生産大臣は、2020/21年度(2020年7月~2021年6月)予算を発表した。2020/21年度の実質GDP成長率が+2.1%、財政赤字のGDP比が7%になるとの見通しを示した。カーン首相の支持率はパンデミックの発生後低下しており、同政権はCOVID19への対応(カーン首相はロックダウンには消極的)、IMFの条件を達成しうるかどうか、バッタの大量発生による農作物・食料不足危機への対応といったさまざまな課題を抱えている。

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