デイリー・アップデート

2021年2月8日 (月)

[フィリピン] 2月5日、政府統計庁(PSA)は、2021年1月の消費者物価指数が、前年同月比+4.2%だったと発表した。前月の同+3.5%から加速し、2年ぶりの高水準となった。食品・非アルコール飲料価格は同+6.2%と、前月の同+4.8%から加速した。食品価格の上昇は、2020年10・11月に北部ルソン島に上陸した複数の台風で農作物に被害が生じたことに加え、アフリカ豚熱(ASF)の流行による豚肉価格の高騰や調達・輸送コストの上昇などが主因。

[米国] 労働省「雇用統計」によると、1月の非農業部門雇用者数は前月から4.9万人増加した。前月の8か月ぶりの減少から回復した。また、失業率は6.3%と前月から0.4pt低下した。一方で、労働参加率は61.4%と前月から▲0.1ptと低下を示しており、職探しを諦めるなど労働市場から退出した人がいたことの影響がみられる。労働市場の回復に停滞感がみられるため、追加経済対策を求める声も大きくなりそうだ。

[イタリア] ドラギ前ECB総裁による組閣について、2月6日に条件付きの協力を表明していた「同盟」に加え、当初難色を示していた「5つ星運動」も支持を表明したことから、ドラギ新政権が発足する可能性が高くなった。今週引き続き組閣交渉が行われ、信任投票が行われる予定。争点は2,000億ユーロ相当のEU資金による新型コロナウイルス復興計画をめぐる各政党間のギャップを埋めること。

[中国] 財政部と国家発展改革委員会が各省・市に対して、本年度に発行する新規特別債の資金需要を2月21日までに報告するよう求めた。案件の対象は9分野で、鉄道など交通インフラ分野、都市・農村電力網などエネルギー分野、生態環境保護分野、都市・農村のコールドチェーン物流インフラ分野などがある。昨年禁止されていた不動産土地開発事業は、今年は賃貸住宅建設用に限り許可されたもよう。今年の新規特別債発行総額は昨年(3.75兆元)同様、3兆元(約49兆円)を超えるとの予想がある。

[中国/パプアニューギニア] 豪州メディアは、中国系企業がパプアニューギニア(PNG)のダル島に390億豪ドルの都市建設(産業ゾーン、港湾、ビジネス・商業地帯、リゾート地、住宅地)を提案したと報じた。提案したのは香港のWYW HoldingとAA Oil and Gas。マラぺPNG首相はプロジェクトについて「知らなかった」と述べており、実現可能性は低いものの、PNGでは来年の国政選挙に向け選挙運動が始まっており、中国が地方の知事をターゲットにしたのではという見方もある。

[米国] 2月9日から上院では、トランプ支持者による米連邦議会議事堂占拠事件を巡るトランプ前大統領の弾劾裁判の審理が開始されるが、弾劾裁判は短期間で審理を終了し、無罪判決が下されるとの見方が支配的。議会では、バイデン大統領が提案した1兆9,000億ドル規模の新型コロナ景気刺激策の審議、次期閣僚・政府高官の指名承認プロセスをバイデン政権と与党・民主党は重視している。

[日/露] 北方領土交渉を巡る菅義偉首相の発言がロシアで波紋を呼んでいる。菅総理が国会答弁で北方四島への主権を強調し、返還を求める日本の立場を鮮明にした。一方、ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長(前首相)は2月1日、公開のタス通信などとのインタビューで「我々にロシア領土の主権の引き渡しについて交渉する権利はない」と述べ、領土問題で日本に譲歩しない立場を改めて強調した。

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