デイリー・アップデート

2021年6月3日 (木)

[イスラエル] 最大野党Yesh Atid党のラピード党首が主導していた野党連立の組閣交渉が成功し、野党連立政権が成立することが決まった。来週、議会での投票をもって正式決定となる。新政権の首相は交代制で、最初の2年は今回の組閣交渉のキングメーカーとなったYamina党のベネット党首が、その後2年をラピード党首が担当する。ただ、連立に協力する8政党は反ネタニヤフということ以外共通点はなく、各政党のイデオロギーは左から右まで大きく異なるため、協力がいつまで継続できるかが焦点となる。

[インド] 5月31日の独立系シンクタンク・インド経済監視センター(CMIE)の発表によると、5月の失業率は11.9%と4月の7.97%から3.93ポイント悪化した(ロックダウンの影響を受けた前年同月の23.48%からは11.58ポイント改善)。新型コロナウイルス第2波の影響で、5月は約1,500万人が失業した。地域別では、高い順に、北部のデリーが45.6%、同じく北部のハリヤナ州が29.1%、南部のタミルナドゥ州が28%、西部のラジャスタン州が27.6%。感染再拡大が深刻な地域での雇用喪失が大きかった。

[米国] FRBが公表した「地区連銀経済報告(ベージュブック)」によると、5月下旬にかけて米国経済は前回報告時(4月上旬にかけて)よりも幾分速いペースで拡大した。ワクチン接種の進展とともに、経済活動に対する制限措置が緩和され、製造業に加えて飲食店やホテル・レジャー、小売店などの活動が活発化した。一方で、原材料や人手不足などからコストが上昇しており、販売価格に転嫁されつつある。先行きは拡大傾向が続く見通し。

[中国] 中国教育部は、「2021年度法学類教育の質に関する国家基準」の改正版を発表し、法学の専攻分野の一つに国際経済法・貿易法が加わった。中国では、この分野に関心をもつ法学部生が増えている。また、同改正は高等教育で「習近平法治思想を高等法治理論教育体系に組み込むことを推進する」通知の中で発表されており、専攻にかかわらず「習近平法治思想」が必修となる。

[EU] 6月1日に欧州検察庁(EPPO)が正式に始動した。EPPOの活動内容は、EUの納税者が収めたお金に関わるマネーロンダリング、汚職、国境を越えたVAT詐欺などの犯罪を捜査・起訴すること。組織のトップにはルーマニアの国家汚職対策局の前局長であるコベシ氏が就任している。2019年のEU予算(年間支出約1,590億ユーロ)のうち少なくとも4.6億ユーロ規模の不正行為が加盟各国から報告されている。

[中国] 6月2日、財新網は、地方政府の融資プラットフォームが本年5月に発行した都市投資債券(城投債)の規模が1,300億元余と前年同期比でほぼ半減し、同月の融資返済総額(2,400億元余)が2018年9月以来初めて債券発行額を上回ったと報じた。また、借り換えを目的とする債券の割合が、1~4月で85%、5月で94%に達した。この背景にあるのは、主に中央政府財政部の「地方政府の新たな隠れ債務を断固として抑制する」姿勢に起因する一連の債券発行引き締め策。

[米国] 6月2日、USTRはデジタルサービス課税(DST)を実施している6か国に対する制裁関税賦課を決定した。米国政府は、英国、イタリア、スペイン、オーストリア、トルコ、インドの6か国のDSTが米国企業を不当に差別するものと判定したものの、OECD/G20における国際課税をめぐる交渉の進捗を見守るため、関税賦課は180日間猶予するとした。11月29日からは上記6か国からの一部輸入品に対して25%の追加関税を賦課する予定だが、今後の国際交渉の進捗によっては制裁措置の修正もあり得ると発表した。

[米国] バイデン政権がインフラ整備を巡る野党・共和党との協議期限を6月7日に設定する中、6月2日午後(米国時間)、バイデン大統領は共和党で与野党協議を主導しているカピト上院議員とホワイトハウスでインフラ整備計画を巡り協議したが、大幅な進展を図ることはできず。インフラ整備計画の財政支出規模や財源等を巡る与野党間の隔たりは依然大きく、協議期限までに超党派合意を形成することは困難との見方が広まりつつある。

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