デイリー・アップデート

2021年6月2日 (水)

[欧州] 欧州統計局(Eurostat)によると、5月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比+2.0%と、4月の+1.6%から加速、2018年10月以来の高水準となった。ただし、エネルギー価格が同+13.1%と昨年下落した反動の影響が大きく、食料品やエネルギーを除くコア指数は同+0.9%にとどまるなど、物価の基調は大きく変わっていない。先行きについて、供給網のボトルネックや昨年後半に期間限定で実施されたドイツの付加価値税減税の反動など、一時的な要因によって物価の加速が続きそうだ。

[イスラエル] 新型コロナ感染が収まってきたとして、政府は1年以上にわたって続けられてきた各種新型コロナ関連規制を6月1日にほぼ全て撤廃した。屋内外の集まりにおける人数制限も撤廃され、ワクチン接種を証明するためのグリーンパスも同日をもって不要となった。屋内でのマスク着用義務は残るが、これも近いうちに撤廃される予定。イスラエルの20歳以上の人口の7割以上が既にワクチン接種を完了しており、5月下旬にはイスラエル国内の新規感染者数が1桁台の日や死者数がゼロの日も増えてきている。

[米国] 食肉加工業最大手のJBSを標的とした、ロシアからとみられるサイバー集団による金銭要求型サイバー攻撃が5月31日に行われたとバイデン政権が発表した。JBSの米国法人”JBS USA”の米国内のすべての牛肉加工工場が操業停止状態。同政権は、農務省が他の主要食肉加工企業に対してもサイバー攻撃の可能性について警告済みであると説明。先般、北米最大の燃料パイプライン運営会社コロニアル・パイプランを標的にしたサイバー攻撃が発覚したばかり。

[世界/アジア] 6月1日、IHSマークイットは5月の製造業PMIを発表。5月の世界の製造業PMIは56.0と4月の55.9をやや上回り11年ぶりの高さとなった。アジアの5月の製造業PMIは新型コロナウイルス感染の状況が悪化している国では概して4月の数値を下回っている。感染拡大が深刻なインド、マレーシアの5月の製造業PMIはそれぞれ50.8、51.3と4月の55.5、53.9を下回ったものの景気判断の節目である50は超えた。中国の5月の製造業PMIは52.0と4月の51.9をやや上回った。ただ、内訳をみると供給不足となっている。

[ギリシャ/トルコ] ギリシャのデンディアス外相がアテネを訪問したトルコのチャブシオール外相と会談。今年4月に実施された前回の外相会談後の共同記者会見時には両国の関係悪化が表面化したが、今回の会談後には6月14日に予定されているNATO首脳会合時に二国間首脳会談を行うことが発表されるなど、関係維持の兆しが見える。なお、二国間の観光業促進のため、EU/欧州委員会とトルコが発行するワクチン接種等の証明書を相互承認することも発表された。

[ロシア] 6月2~5日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで「国際経済フォーラム」が2年ぶりに開催される。ポストコロナに向けた世界経済の課題を議論し、ロシアへの投資促進を図る狙い。4日の全体会合でプーチン大統領が演説するほか、5日には日本とロシアの経済協力に関する「日露ビジネス対話」も予定されている。

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