デイリー・アップデート

2021年11月22日 (月)

[米国] バイデン大統領が11月15日にインフラ整備法案に署名して同法案は成立したが、この法案とともに同大統領の経済公約「Build Back Better」の柱である社会的セーフティネットの拡充や気候変動対策等、民主党が重視する施策が盛り込まれた総額1.75兆ドル規模の歳出法案である「Build Back Better法案」の下院本会議での採択が今月19日に行われた。賛成220票、反対213票の賛成多数で可決され上院に送付されたものの、上院での審議は難航が予想される。

[パキスタン] 11月19日、中央銀行(SBP)は政策金利を1.5pt引き上げ8.75%とした。物価上昇率はインフレターゲットである6%を超えており通貨下落圧力がかかっているため、今後さらに利上げ実施の可能性がある。利上げ自体は予想通りだったものの、1.5ptの引き上げはエコノミストの予想値1.0ptを上回った。金融政策決定会合は当初26日に予定されていたが、インフレと国際収支に対するリスクへの懸念から1週間前倒しされた。

[中国] ◇11月18日、国務院は上海港洋山港区を国際中継港とし、大連・天津・青島港と洋山港区との間における輸出入コンテナ貨物の国内輸送を所定の条件に合致する外国籍コンテナ船社に開放する旨を公表。2024年末までのパイロット事業で、海外船社に洋山港区の中継機能の利用を促すための措置と見られる。◇11月20日、国家市場監督管理総局は、独禁法の経営者集中違反事案43件(2011~21年)に対する行政処罰の決定を公表。違反は未申告によるもので、アリババ、テンセント、百度、京東などが処罰された。

[中国/UAE] 11月19日付ウォール・ストリート・ジャーナルは「今年春、米国の情報機関が、アラブ首長国連邦のハリファ港で中国が何らかの軍事施設を建設しようとしていると指摘し、バイデン政権がUAEに働きかけた結果、建設が中止された」と報じている。ハリファ港では中国海運大手コスコが商業用コンテナターミナルを運営している。今年9月には、イスラエルのハイファで上海国際港務(集団)が運営する新港が開港し、中東地域でも中国のプレゼンスが高まっている。

[インド] 11月19日、モディ首相は農作物の取引の自由化を進める3つの新法の廃止を決定したとテレビ演説で表明した。新法はモディ政権の大型改革の一つとして2020年9月に成立したが、農作物を安く買いたたかれるとの不安が農家の間で広がり、デリー一帯で大規模な抗議デモが発生。デモの規模は縮小したものの、反対運動は今なお継続している。反対運動は来年に州議会選が予定されているウッタル・プラデシュ州とパンジャブ州で盛んなため、選挙への影響を考慮して3新法廃止を決定したものとみられる。

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