デイリー・アップデート

2022年5月11日 (水)

[インド] ルピー安が加速している。5月9日の終値は最安値を更新し1米ドル=77.36ルピーとなった。原油価格の上昇や米国の政策金利の引き上げの影響でルピーは下落基調にあったが、国内でのインフレ懸念の高まりでさらに下落が進んでいる。ロシアによるウクライナ侵攻などで食料品や肥料の価格が高騰し、輸入物価の上昇による貿易赤字も拡大しており、この状況はしばらく続くとみられる。インフレ加速に対応するため、インド準備銀行(中央銀行)は5月4日に臨時会合を開き利上げを実施している。

[ドイツ] 欧州経済研究センター(ZEW)が発表した5月の景気期待指数は▲34.3となり、4月の▲41.0から予想外に改善した。内訳をみると、過半数が「悪化」と回答しており、4月調査時点で想定したほど先行きの景気が悪化するわけではないものの、悪化することには変わりないという見方といえる。また、足元の状況を表す現況指数は▲36.5となり、4月の▲30.8からさらに低下した。ウクライナ危機に加えて、中国経済の減速などもドイツ経済の重石になっている。

[米国/台湾] 5月5日、米国務省は台湾との関係について記載した「ファクトシート」の文言を変更し、これに中国が反発している。変更前に存在した「米国は中華人民共和国政府を中国の唯一の合法な政府として認め、中国は一つであり台湾は中国の一部であるという中国の立場を認識」という部分は削除され、米台関係の指針として米中共同コミュニケ、台湾関係法に加え、「6つの保証」が新たに加えられた。さらに「台湾は、価値観や利益を共有するインド太平洋における重要なパートナー」という文言も加えられた。

[イラン] 5月10日、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、イランの核活動に関するIAEAの査察活動に対するイラン側の非協力的な態度を懸念していると発言。IAEAは、未申告の場所で濃縮ウランが発見されたことに関してイラン側に回答を求めているが、情報が提供されていないという。2021年4月からウィーンで行われてきたイラン核合意(JCPOA)の再建協議は、イランが米国に革命防衛隊の外国テロ組織指定(FTO)解除を求めて譲らないことから3月以降中断。現在交渉再開を求めてEU側交渉担当官がイランを訪問している。

[米国] 5月10日、全米自動車協会(AAA)はレギュラーガソリンの全米平均価格が1ガロン4.37ドルに達し、AAAが2000年に調査を開始して以来最高水準に達したと発表。今月に入って欧州連合(EU)がロシアのウクライナ侵攻に対する対ロシア追加経済制裁としてロシア産原油依存から脱却する目的で年末までに全面禁輸措置を導入する方針を決定したことが、米国内のガソリン価格上昇にも影響。エネルギー専門家の間では今後もガソリン価格は高止まりするとの見方が有力。

[中国] 5月10日、乗用車市場情報連席会(CPCA)は、中国の4月の乗用車生産が前年同月比41.1%減、前月比46.8%減の96.9万台だったと発表した。感染症拡大の影響で輸入部品が不足し、長江デルタ地域の国産部品サプライヤーは適時に供給できず、一部では完全に操業を停止したほか、物流効率の低下で生産が滞った。上海地区の主力自動車メーカー5社の生産は前月比75%減、長春地区の合弁主力自動車メーカーの生産は54%減、その他の地域は全体で38%減となった。2022年4月の乗用車市場の販売台数は104.2万台にとどまり、前年同月比35.5%減、前月比34.0%減となった。

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