デイリー・アップデート

2026年8月5日 (水)

[日本/商業動態統計調査(6月速報値)] 

7月31日、経済産業省は商業動態統計調査の6月分速報値を発表した。小売業に関しては個人消費の動向を供給側から把握する指標として、卸売業に関しては生産と消費を結ぶ流通段階の変動を把握する指標として利用される。

 

6月の商業販売額は55兆8,250億円で前年同月比+7.3%と、2025年12月から7か月連続前年同月比プラスとなった。内訳では、卸売業が42兆8,060億円で+9.6%(7か月連続プラス)、小売業が13兆190億円で+0.5%(4か月連続プラス)。

 

なお、商業販売額の季節調整済前月比は▲0.9%で、卸売業▲0.3%、小売業▲4.1%。

 

小売業の業種別では、自動車小売業が+16.6%と引き続き好調な一方で、織物・衣服・身の回り品小売業が▲14.8%となった。

 

小売業の業態別では、百貨店が5,122億円(+1.3%)、スーパーが1兆3,584億円(▲1.3%)。

6月は休日が前年より1日少なかったことや、梅雨・台風等の天候の影響もあったが、百貨店販売額は円安基調によるインバウンド需要や高額品需要が引き続き堅調でプラスを維持した。一方で、日常の個人消費の中心であるスーパーはマイナスとなった。

 

百貨店は、主力商品である衣料品で+1.7%(身の回り品+6.6%、婦人・子供服・洋品+0.7%、紳士服・洋品▲7.4%)。飲食料品は▲3.5%。その他は、家庭用電気機械器具で▲12.0%、食堂・喫茶で▲9.6%など。

 

スーパーは、衣料品で▲20.0%(紳士服・洋品▲21.8%、婦人・子供服・洋品▲20.3%、身の回り品▲20.2%)、主力商品である飲食料品で+0.2%、その他は、家具▲20.2%、家庭用品▲10.5%、家庭用電気機械器具▲7.7%など。

 

その他の業態では、コンビニエンスストアの商品販売額及びサービス売上高は1兆1,255億円(▲0.4%)、家電大型専門店は3,966億円(▲6.9%)、ドラッグストアは8,025億円(+0.6%)、ホームセンターは2,749億円(▲6.9%)。

 

家電大型専門店は、5月は+27.5%と伸び率が大きかったが、6月は2025年7月ぶりにマイナスとなった。2027年4月からのエアコンの省エネ基準引き上げ前の買い替え需要により好調だったエアコン販売が、一服したとみられる。

 

経済産業省は参考として提示している小売業販売額の基調判断につき、季節調整済指数前月比の6月までのトレンドとして「上昇傾向にある小売業販売」とした。ただし、小売販売額は物価変動を含めた名目値であり、物価上昇による押し上げの影響も大きいとみられる。(経済部 菊井彩乃)

[米国/タングステン鉱床発見と新たな制約] 

米国が中国依存低減を目指して進める重要鉱物の国内開発で、新たな課題が浮上している。米ネバダ州の非上場資源会社3 Proton Lithium(3PL)は、同州のRailroad Valleyで米国最大級となるタングステン鉱床を発見したと発表した。しかし、鉱区の一部がNASA(米国航空宇宙局)の衛星観測・宇宙関連設備の運用に重要な地域と重なっており、資源安全保障と宇宙インフラという二つの国家安全保障上の利益が衝突する構図となっている。

 タングステンは高い耐熱性や硬度を持ち、防衛装備や航空宇宙、半導体製造装置など幅広い分野で使用される重要鉱物。世界供給は中国への依存度が高く、中国による輸出規制や世界的な軍需拡大を背景に価格も大きく上昇している。米国は国内外で鉱山開発支援や同盟国との協力を進め、供給網の再構築を急いでいる。

 一方、NASAは今回の鉱区の約3分の1が、人工衛星の観測機器の較正や宇宙からの信号追跡などに利用される特殊地域と重複するとして開発に反対している。内務省土地管理局(BLM)は2023年に約17平方マイルを探査・採掘禁止区域に指定した。3PLは、この判断は不完全な情報に基づくものだとして見直しを求めているが、NASAは従来の立場を維持している。

 3PLは今回の鉱床について、埋蔵量は約178万トンに達し、商業生産が実現すれば米国第2位の鉱床を大きく上回る規模になるとしている。ただし、土地利用の問題が解決しても、鉱山開発から生産開始までには長い時間を要する。重要鉱物を巡る課題は、中国依存の低減や資金確保だけでなく、国内の土地利用や別の国家安全保障上の利益との調整へと広がっている。(経済部 鈴木直美)

[アンゴラ港湾に中国が9億ドルを投資] 

2026年7月、中国企業はアンゴラ政府系企業との間で総額9億ドルの契約を締結し、首都ルアンダ北方のバラ・ド・ダンデ統合開発自由貿易区における深水港と関連インフラの整備に着手した。投資額の半分は25年間の港湾運営権を前提とする港湾ターミナル建設、残る半分は道路、電力、物流施設など自由貿易区全体のインフラ整備に充てられる。事業は3段階で進められ、2030年までに8万トン級船舶の受け入れ能力を備え、年間100億ドル規模の経済効果と約2万1,000人の雇用創出を見込んでいる。アンゴラ政府は、民間資金を活用しながら石油依存から脱却し、製造業、物流、輸出を一体化した産業拠点の形成を目指している。

 
一方、米国はロビト港とコンゴ民主共和国国境を結ぶ約1,300kmのロビト回廊鉄道を、コンゴ民主共和国やザンビアの重要鉱物を大西洋側へ輸送する戦略的ルートと位置付けている。国際開発金融公社(DFC)が5億5,300万ドルを拠出するなど、総額7億5,300万ドルの資金調達を支援した。事業主体はMota-EngilとTrafiguraの合弁会社Lobito Atlantic Railwayであり、鉄道の改修・近代化と長期運営を進める。
 
しかし、中国はロビト回廊周辺でも優位を維持している。2022年には中国国有企業がロビト港のコンテナ・一般貨物ターミナルの20年間の運営権を取得し、2026年にはカビンダ港の改修も完了させた。今回の新港建設により、中国は港湾、物流、工業団地を組み合わせたサプライチェーン全体の構築を一段と進めることになる。専門家は、中国企業が低コストで大規模インフラを建設できる点で欧米企業を大きく上回っており、米国の対アフリカ政策は安全保障や重要鉱物の確保に重点が置かれているため、港湾開発に対抗する可能性は低いと指摘している。中国が長年にわたり築いてきた経済・インフラ協力の厚みを背景に、アンゴラは引き続き中国のアフリカ戦略における重要拠点となっている。(国際部 前田宏子)

[バングラデシュ/韓国とのCEPA合意] 

8月4日、バングラデシュ政府と韓国政府との間で、包括的経済連携協定(CEPA)が合意された。これにより、バングラデシュからの輸出品のうち97%分については特恵関税措置を適用する一方(主な対象品目は、既製服、皮革・皮革製品、ジュート製品、履物など)、韓国からの輸出品のうち87%分についても同様の措置を適用する(主な対象品目は、ディーゼル(6%の関税が即時撤廃)、鉄鋼、建設用重機など)。今後は実務レベルでの細部事項の調整を経て、批准・発効される見通しである。2026年2月に日本との間で署名されたものに次いで、バングラデシュにとり2番目の経済連携協定となる。

 

バングラデシュにとり、韓国は主要な輸出先ではない。2025年度の貿易統計によると、バングラデシュから韓国への輸出額は4.2億ドルと、輸出額全体の1%にも満たない。輸入に関しても、輸入額に占める割合は1.8%と主要国(中国は27%、インドは14.2%)よりも規模が小さい(バングラデシュ銀行)。他方で、韓国は英国、シンガポール、オランダに次ぐ第4位の直接投資国である。直近では、これまで主流であった縫製品セクター向けの投資に加え、自動車、スマートフォン、家電セクター向けの投資も増加している。

 

バングラデシュでは、輸出全体の約8割を既製服などの縫製品が占めている。前アワミ政権時代より、輸出品の高度化・輸出先の多様化が課題として挙げられてきたが、過去10年間ではいずれに関しても大きな進展が見られない。2026年11月には、所得水準の上昇を背景に後発開発途上国(LDC)から卒業することが見込まれているが(現在、国連に2029年までの延期を要請中)、これまで適用されていたLDC向け優遇関税が無効となり、縫製品の輸出競争力が低下することが懸念されている。そのため、BNP政権にとり縫製品以外のセクター育成が急務となっている。なお、2026年7月にはBNP政権初の予算が公表されたが、その中では医薬品の原材料や電子機器向け関税の引き下げなど、自国での医薬品・電子機器製造を通じた輸出品高度化につながり得る措置が複数公表されている。

 

韓国とのCEPA締結を通じて、輸出額拡大のみならず、韓国企業による投資拡大をテコに縫製品以外の産業を育成する狙いがあると考えられる。具体的には、カンダケル・ムクタディール商業相は、IT、半導体、造船、船舶リサイクル、自動車部品、家電、自転車などの軽機械分野への投資拡大を期待していると発言している(Daily Sun、2026年8月4日付)。(国際部 土田慧)

[南アフリカ/土地収用法] 

8月3日、南アフリカ(南ア)の連立政権内の第2党である「民主同盟(DA)」は、2025年1月に制定された「(土地)収用法」が違憲だとしてケープタウン高等裁判所で訴訟を行った。

同法は、特定の条件を満たした場合に国家が「補償なし」で土地の収用を行うことを認めるものだ。1990年代前半まで続いた「アパルトヘイト(人種隔離政策)」によって白人と非白人(主に黒人)の経済格差が現在も残っていることを背景に、アパルトヘイトを廃止に導いた最大政党「アフリカ民族会議(ANC)」が法制化を推し進めてきた。南アの全人口約6,300万人のうち、黒人が81.7%と大多数を占めているものの(南ア統計局、2024年)、個人農場の72%を人口比7.2%の白人が所有する状況が続いている(2017年、南ア政府調査)。
 
白人かつ農業従事者を伝統的な支持基盤とするDAは、同法の制定を主導してきたANCに強く反対してきた。2024年の総選挙でANCが歴史的な大敗を喫したことにより、ANCは最大野党だったDAを含む10党から構成される連立政権「国民統一政府(GNU)」の発足を選択。しかし、ANCの党首でもあるラマポーザ大統領は、DAらの反対を押し切る形で2025年1月に同法に署名し、法制化した。その直後に、2期目の就任を果たしたばかりの米国・トランプ大統領は「南ア政府が特定の階層の人々(白人農民)から土地を没収するなど、非常にひどい扱いをしている」と非難し、南ア向けの援助を停止するなど米国・南ア関係の摩擦の大きな引き金となった。
 
DAは今回の訴訟において、「国家に私有財産を収用する過度な権限を与え、財産所有者に対する憲法上の保護を損なう」と、財産権の保護を定めた憲法25条に抵触していると主張。親ビジネス派でもあるDAは「南アは、政治家の裁量で財産が奪われるかもしれないという脅威の上に、成長する経済を築くことはできない」として、財産権の安定性を保つことが経済成長において重要だとの論理を展開している。
 
GNU組成後、DAの加入によって南アの財政再建や汚職対策が進み、経済が回復するとの市場の期待は高まっている。そうした中での連立政権内でのDAとANCの対立は、GNUの安定性に影響を及ぼすとの見方も多い。一方で、GNU組成から1年以上経過したタイミングでのDAによる収用法の訴訟は、11月から始まる5年ぶりの統一地方選を控える中で、政治的な注目を再び集める意図があるとの見方もある(8月4日、FT)。(国際部 髙橋史)

[米国/求人件数の底堅さ] 

労働省の「雇用動態調査(JOLTS)」によると、7月の求人件数は735.9万件(前月差▲17.8万件)へ2か月連続で減少した。市場予想(約740万件)を下回ったものの、2~3月に一時700万件を下回っていた状況に比べると、労働需要はやや強い。

 

内訳を見ると、医療・社会福祉業(▲14.7万件)、卸売業(▲7.4万件)、専門・ビジネスサービス業(▲7.1万件)、非耐久財製造業(▲5.5万件)などの減少が目立った。宿泊・飲食サービス業(▲6.8万件)も減少に転じており、サッカーW杯の影響も一服したようだ。その一方で、輸送・倉庫・公益事業(+9.7万件)や小売業(+4.9万件)、金融・保険業(+4.3万件)は増加した。

 

また、採用件数は534.8万件(+9.6万件)へ2か月連続で増加した。宿泊・飲食サービス業(▲7.7万件)の減少が目立った。それに対して、医療・社会福祉業(+6.9万件)や卸売業(+2.3万件)、耐久財製造業(+3.3万件)などで増加した。

 

レイオフ件数は176.6万件(+0.5万件)へ2か月連続で小幅に増加したものの、おおむね横ばい圏の動きだった。小売業(+4.1万件)や耐久財製造業(+2.5万件)、建設業(+2.3万件)、芸術・娯楽業(+2.0万件)が増加した一方で、輸送・倉庫・公益事業(▲4.2万件)や非耐久財製造業(▲1.6万件)が減少した。

 

自発的離職件数は323.2万件(+9.1万件)へ2か月連続で増加した。宿泊・飲食サービス業(+4.0万件)、卸売業(+2.6万件)、小売業(+3.1万件)で多かった。

 

求人数などの動向を見ると、底堅い労働市場という認識を変えるような内容ではなかったとみられる。そのため、連邦準備制度理事会(FRB)は物価抑制に注力すると考えられる。(経済部 鈴木将之)

[ウズベキスタン、電力不足が深刻化 大統領がエネルギー相を解任] 

ウズベキスタンでは近年、エネルギー分野に約230億ドルの外国投資が行われ、9.5GWの新規発電能力が導入された。しかし、2026年6~7月だけで約4,000件の停電・事故が発生し、一部地域では最大4日間の停電が続いた。ミルジヨエフ大統領は7月27日、「問題は資金不足ではなく、システム運営にある」と厳しく批判し、エネルギー相を解任するなど人事刷新に踏み切った。

現在の総発電能力は25.8GWに達し、表面上は需要を満たせる水準にある。しかし、送配電網の老朽化が深刻で、送電ロス率は17.2%に達する。2026年上半期だけで48億kWhが失われ、多くのメーターも統合管理システムに接続されていないため、電力損失や盗電の把握が困難となっている。
背景には人口増加と天然ガス生産の減少がある。独立時約2,000万人だった人口は約3,800万人に拡大し、電力需要が急増した一方、2026年1~3月のガス生産量は前年比約15%減少した。さらにソ連時代に整備されたインフラが寿命を迎えており、世界銀行は2030年までに送配電網近代化へ約30億ドルが必要と試算している。
政府は太陽光・風力発電や蓄電設備の導入を進めるほか、ロシアからのガス輸入拡大や原子力発電所建設も推進している。しかし専門家は、発電所建設だけでなく、送配電網の更新、デジタル管理、高圧送電線整備を含むエネルギーシステム全体の再構築が不可欠と指摘する。ウズベキスタンは今後、個別プロジェクトの拡大から、安定した電力供給を実現する総合的なエネルギー改革へ移行できるかが問われている。(国際部 ゴロシニコフアントン)

[BRICS拡大か] 

2026912日から13日にインドで開催予定の第18BRICS首脳会議において、BRICSの拡大が再び主要議題となる見通しである。近年、中南米諸国とBRICSとの関係が急速に注目を集めてきたが、近頃の中南米における政治的動向の変化は、その拡大路線にも少なからぬ影響を及ぼしている。

 

2026年のBRICS議長国であるインドは、加盟国間の結束を重視した運営を進めている。インド政府は拡大そのものには前向きな姿勢を示しているものの、急速な加盟拡大によって意思決定が複雑化することを懸念しており、明確な基準に基づく慎重な審査を重視している。このため、9月の首脳会議は新規加盟の方向性を左右する重要な節目となる可能性が高い。

現在、多くの国々がBRICSへの加盟申請または関心を表明している。主要な候補国としては、アルジェリア、アゼルバイジャン、バーレーン、バングラデシュ、パキスタン、セルビア、スリランカ、シリア、トルコ、ジンバブエなどが挙げられる。また、すでにパートナー国としてBRICSとの関係を強化している国も存在する。

 

ただし、加盟拡大のペースを巡っては加盟国内でも意見が分かれている。中国とロシアは比較的積極的な拡大を支持する一方、ブラジルとインドは組織運営の安定性を優先し、厳格な基準による選考を主張している。

 

こうした議論と並行して、BRICSは実務面での協力強化も進めている。20265月にインドで開催された外相会議では、加盟国の決済ネットワークを相互接続する国境を越えた決済システムの試験運用が打ち出された。共通通貨を創設するのではなく、各国通貨による取引を円滑化することが目的である。これにより、加盟国間の貿易や資金移動の効率化が期待されている。

 

中南米に目を転じると、地域政治の動向がBRICSとの距離感に影を落としている。コロンビアは2025年に新開発銀行(NDB)への加盟が承認されたものの、20266月の大統領選挙で親米右派政権へと移行したことで、前政権が進めた反米・多極化路線の見直しが進み、同行やBRICSとの連携強化の優先度は下がっている。ベネズエラに関しても、米国の介入を経たことで「脱ドル化」やBRICS接近を掲げていた従来の外交方針は事実上頓挫し、加盟に向けた審議の前提そのものが揺らいでいる。

また、アルゼンチンも2024年に受けた加盟招待を辞退し、BRICSとの距離を置く方針を選択している。ブラジルは創設メンバーとして拡大論争の中心に位置しており、インドと歩調を合わせながら、より慎重で基準重視の加盟プロセスを支持している。

9月の首脳会議では、新規加盟に関する具体的な審査基準がどこまで明確化されるか、主要な候補国が加盟に向けて前進できるか、5月に開始された越境決済システムの試験運用が次の段階へ進むかどうかが注目される。(国際部 小橋啓)

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