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デイリーアップデート (2025年12月12日)
- [メキシコ]メキシコは、中国製自動車を含む約1,400品目に対して最大50%の関税を課すことを承認した。この措置は、シェインバウム大統領の言及はないものの、米国のトランプ大統領が進める保護主義的政策と歩調を合わせるものであり、2026年予定されている米墨加貿易協定(USMCA)の見直しに向けて、米国との関係を維持する狙いがあるものと思われる。メキシコ政府は、米国への輸出の約90%は関税なしで行われており、この米国市場への特権的アクセスを維持することを強く望んでいる。
この関税は、自由貿易協定を結んでいない国からの輸入品に適用される。対象は自動車および自動車部品、鉄鋼、繊維、プラスチック、家電、履物、家具など幅広い商品だが、特に中国製自動車が大きな影響を受ける。この法案は、2026年1月から施行される予定で、政府は、この措置により年間25億ドル以上の追加歳入を見込んでいる。
シェインバウム大統領は、今回の関税は中国だけを狙ったものではなく、国内産業の強化が目的であり、自由貿易協定を結んでいないすべての国に適用されると強調した。しかし、背景には、トランプ大統領がメキシコに対し、中国の経済的影響力拡大を抑制し、米国の移民・安全保障政策を支持するよう圧力をかけたことがある。中国からメキシコへの輸入額は2024年約1,300億ドルに達し、2020年以降75%以上増加している。特に自動車分野では、中国製車がメキシコの輸入車の約20%を占め、2025年前半にはメキシコが世界最大の中国製車購入国となった。
今回の関税率は、従来の15~20%から50%へと引き上げられ、世界貿易機関(WTO)が認める上限に達している。専門家は、この措置が米国の圧力に屈したものと見なされる可能性を指摘している一方、メキシコが不公正な貿易慣行に対して警戒を示すことで、2026年のUSMCA見直しに向けた米国の懸念を和らげる狙いがあると分析している。
ただし、自由貿易協定を結んでいないすべての国を対象とするため、韓国やインド、ブラジルなどにも悪影響が及ぶ可能性がある。 メキシコは、追加関税だけでなく、原産地の判定の規制強化にも乗り出している。FTA締結国からの輸入品は関税免除や低率関税の対象になる一方、非締結国からの輸入品は高率関税の対象になるため、原産地の証明が正確でなければ制度が機能しないからだ。このため、関税引き上げと並行して、輸入時の原産地証明書の提出や検証を厳格化する動きが出る。原産地証明書の様式や発行手続きの厳格化、第三者認証や追加書類の要求、虚偽申告や迂回輸入への監視強化といった措置が取られる可能性が高く、この措置はFTA締結国である日本などにとっても影響が出てくる。
- [ブルガリア]12月11、ブルガリアで広がっていた抗議デモを受け、ジェリャズコフ首相は内閣総辞職を発表。 ブルガリアでは長年にわたり恒常的な政府危機が続いている。2020年にボリソフ首相(当時)に対する大規模な反腐敗デモが発生して以来、すでに7回の前倒し総選挙が行われている。今回のデモの引き金となったのは、大幅な増税を含む2026年度予算案や広範な汚職。政府は11月28日に予算案を撤回したが、抗議活動は継続していた。
今回の欧州での例が、Z世代が政府を打倒した初のケースとなった。彼らの不満は、政治エリートの不正行為から、医療制度の現状、高収入の仕事の不足まで、多岐にわたる。Z世代は、TikTok等のSNS上で動員を行い、「Take your girlfriend on a date at the protest」といった新しいミームやインフルエンサーの参加を得て一気に広がっていた。
議会は今後数週間のうちに新政権の樹立を試みることになる。もし新政権の樹立に失敗した場合、ブルガリアでは再び総選挙が実施される。議会は多くの小政党が乱立している状況にある中、与党GERBが依然として最大勢力であり、GERB抜きでの政権樹立は非現実的であるとみられている。
ブルガリアは2026年1月1日にユーロ圏に加盟する予定である。政治的には混乱しているが、現時点でブルガリアのユーロ圏加盟への大きな影響はないと見込まれている。
- [バングラデシュ]12月11日、バングラデシュの選挙管理委員会は総選挙を2026年2月12日に実施すると決定した。 2024年8月にハシナ前首相が国外逃亡し政権が崩壊して以降、ユヌス首席顧問の下で次回総選挙実施までの暫定政権が樹立され、既存の有力政党であるBNPやイスラム政党のJI、ハシナ氏打倒に貢献した学生らから構成されるNCPなどの政党との間で今後の政治改革にかかる方向性や次回の選挙実施時期などが議論されていた。他方で、関係者での合意形成が停滞していた。例えば選挙実施時期に関し、BNPは2024年中の選挙実施を主張していたが、JIはこれに反対していた。また、首相の任期を最大10年に制限するなど、内閣の権限を抑制することなどを定めた「7月憲章」を決議するための国民投票についても、JIや急進派のNCPは総選挙前に実施することを主張したのに対し、BNPは総選挙と同時に実施することを主張するなど、複数の論点で対立していた。2025年8月には、ユヌス首席顧問が選挙時期をラマダンに入る前の2026年2月に決定したほか、11月には7月憲章に関する国民投票を総選挙と同日に実施することを決定した。
なお、今回の選挙にはハシナ元首相が所属するALが参加できない。人口の集中するダッカでのALの支持率がいまだに25%を超える(Innovision Consultingによる世論調査結果)など一定の支持を受けているため、ALを排除した形での総選挙結果が民意を反映したものにならないのではないかとの批判も挙げられている。
- [米国]12月11日、連邦準備理事会(FRB)は各地区連銀総裁と第1副総裁の再任を理事全員の合意を得て発表した。12地区連銀のうち、退任を発表しているボスティック・アトランタ地区連銀総裁以外の再任が決定した。12月に利下げに反対したシュミッド・カンザスシティー地区連銀総裁とグールズビー・シカゴ地区連銀総裁も再任された。
各地区連銀総裁は各地区連銀の理事が指名し、FRBが承認する。また、各地区連銀総裁の任期は、西暦で末尾が1と6で終わる年の2月末に終了する。そのため、2026年2月末で任期切れとなる。
利下げを求める米政権の圧力が、地区連銀総裁人事にも及ぶという懸念があった。実際、先日ベッセント財務長官は地区連銀総裁の指名条件として、少なくとも3年間は現地に居住すべきという考えを示していた。現職は対象外とされたものの、ハマック・クリーブランド連銀総裁やローガン・ダラス連銀総裁、ムサレム・セントルイス連銀総裁は就任前にNYに居住していた。
- [シリア/米国]12月8日、シリアのアサド前大統領がロシアへ亡命し、アサド政権が崩壊してから1年となる記念日を、多くのシリア国民が祝った。2011年の「アラブの春」を契機とする反政府デモから始まったシリア内戦では、数十万人が犠牲となり、約680万人が国外へ逃れて難民となったほか、700万人以上が国内で家を失い国内避難民となった。
2024年12月、アサド政権を打倒した武装勢力を率いていたシャラア氏が暫定大統領に就任した。同氏はすでにトランプ大統領と3回会談を行い、11月にはシリア大統領として初めてホワイトハウスを訪問した。アサド政権下のシリアに対し米国は長年厳しい制裁を科していたが、トランプ大統領はシャラア大統領との初会談後、対シリア制裁の大半を段階的に撤廃・緩和している。
依然として適用されている主要な制裁が「2019年シーザー・シリア民間人保護法(いわゆるシーザー法)」である。しかし12月10日、米下院は同法による制裁を終了させる法案を可決した。同法案では、シリア政府がイスラム国(IS)およびその他のテロ組織の排除に向けた具体的な措置を講じていること、少数派の権利を尊重していること、近隣国に対する軍事行動に関与していないこと、テロ資金供与対策を強化していること、麻薬生産・密輸対策を進めていること、などについて、大統領が当初90日以内、その後4年間にわたり180日ごとに議会へ報告することを義務付けている。条件が満たされていないと判断されれば、制裁が再発動される可能性も残されている。
今後、法案は上院に送付され、上院での可決を経てトランプ大統領が署名すれば成立する見通しである。年内に手続きが完了し、2026年1月1日に発効する可能性が高い。シリア復興にとってシーザー法は最大の障害とみなされていたため、同制裁の解除は難民帰還の促進、経済の改善、外資系企業のシリア参入を後押しし、復興プロセスを大きく加速させると期待されている。
- [米国]12月8日、トランプ政権は120億ドル規模の農家支援策を明らかにした。これらは一時支払金の形で、主に穀物農家に対して支払われる。外国の不公正な貿易慣行によって輸出を阻害されたり、インフレなどによって損害を被った農家を支援するための制度を用いて支援が提供されたりする。大豆、トウモロコシ、小麦、大麦などを生産する穀物農家に対して110億ドルが支払われる。対象外の穀物や砂糖を生産する農家には残る10億ドルが提供される見込み。米農務省によれば、12月中に農家からの申告を受け付け、2026年2月末に支援が提供される。穀物価格の下落、肥料等の価格高騰の影響を受けて破綻する米農家が前年同期比で50%増との報道があった。特に、トランプ政権の対中関税賦課に対して、中国が米国産大豆の輸入を止めるという報復措置を講じたことで、米国の大豆農家は苦境に陥っていた。トランプ大統領は、外国の不当な措置によって苦しんでいる農家を救うと発言し、一連のトランプ関税の収入を農家支援金の原資に充てると述べた。2025年12月現在、米国の関税収入は2,590億ドルで、2024年同期よりも1,684億ドル増えている。
- [EU/中国]欧州委員会は、外国補助金規制(FSR)を武器に、中国企業への監視と取り締まりを一段と強化している。FSRは、海外政府からの不当な補助金がEU域内の競争をゆがめていると判断される場合に調査・制裁を可能とする制度で、違反時には年間売上高の最大10%の罰金が科される。委員会は形式上、立ち入り調査の対象企業名を公表しない姿勢を取るが、実際には報道を通じて特定されるケースが増えている。
12月上旬、EU当局はオランダとポーランドにある中国監視機器大手の同方威視(Nuctech)子会社への抜き打ち調査を実施した。欧州委は声明で企業名を伏せていたものの、以前から複数の欧州メディアが Nuctech が問題視されていることを報じ、事実上対象が明らかになっていた。Nuctechは空港スキャナーなど安全保障分野に関わる機器を製造しており、国家補助を通じた競争優位獲得の疑いが浮上していた。
さらに、オンライン小売大手の越境EC大手Temuの欧州本部(ダブリン)にもFSRに基づく立ち入り調査が実施された。Temuは格安商品を大量にEUへ流入させており、中国政府からの低利融資や税優遇が価格競争力を押し上げている可能性が指摘されている。EUでは150ユーロ以下の小口輸入の関税免除が中国系ECに有利に働くとの不満が高く、2026年末までに制度廃止を予定している。
背景には、中国の過剰生産と対欧輸出の急増がある。米国市場の制約を受けた中国製品がEUへ流れ込み、欧州では産業空洞化への懸念が強まっている。今回の連続した調査は、EUが中国企業に対してFSRを本格的に行使し始めた象徴的な事例であり、対中経済政策は防衛色を一段と強めつつある。
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日本貿易会では1974年以降52年にわたって貿易見通しが作成されている(「2026年度わが国貿易収支、経常収支の見通し」、2025年12月10日)。この見通しの特徴は、社内外のヒアリングに基づいて、商品別の見通しを積み上げて作成されているところだ。 