2025年11月07日
調査レポート
- 2025年11月07日 統計・グラフ集
- 「金融関連指標グラフ」を更新しました
- 2025年11月07日 統計・グラフ集
- 「マクロ経済指標統計表」を更新しました
- 2025年11月06日 コラム
- 大きい普通の国に
- 2025年10月31日 社長コラム
- Healing Fiction ― 癒しを求める世界の傷ついた心
- 2025年10月31日 コラム
- もう少しデータなどを確認したい
- 2025年11月07日 調査レポート
- 矛盾する政策の限界に直面する2026年
- 2025年10月20日 調査レポート
- 「トランプ大統領がガザ和平のための「20項目の計画」を発表」 中東フラッシュレポート(2025年9月後半号)
- 2025年10月20日 調査レポート
- 「イスラエルがハマス幹部を標的にカタール・ドーハを空爆」 中東フラッシュレポート(2025年9月前半号)
- 2025年10月16日 調査レポート
- 経済も政治も雲行きが怪しい米国
- 2025年10月14日 調査レポート
- 欧州政治リスクの再燃
- 2025年10月31日 社長コラム
- Healing Fiction ― 癒しを求める世界の傷ついた心
- 2025年09月30日 社長コラム
- 氷解する北極海~新たな地政学の前線
- 2025年08月20日 社長コラム
- 夏休みの自由研究:「生成AI~汎用人工知能、そして超知能」
- 2025年07月25日 社長コラム
- まもなくTICAD9、アフリカのことをあれこれ考えてみる
- 2025年06月23日 社長コラム
- 揺れる世界の中で、静かに見つめる日本のかたち
- 2025年11月06日 コラム
- 大きい普通の国に
- 2025年10月31日 コラム
- もう少しデータなどを確認したい
- 2025年10月29日 コラム
- ナノテラス 想像を超える顕微鏡 ~ 震災復興への想いも込めて
- 2025年10月27日 コラム
- ガザ停戦に寄せて ――現地で見た瓦礫の記憶と再生への願い
- 2025年10月21日 コラム
- 先行きに明るさが見え難い世界経済見通し
- 2025年11月07日 統計・グラフ集
- 「金融関連指標グラフ」を更新しました
- 2025年11月07日 統計・グラフ集
- 「マクロ経済指標統計表」を更新しました
- 2025年10月22日 統計・グラフ集
- 「ランキング集(名目GDPランキング)」を更新しました
- 2025年10月22日 統計・グラフ集
- 「世界の貿易動向グラフ」を更新しました
- 2025年10月20日 統計・グラフ集
- 「マクロ経済指標グラフ」を更新しました
デイリーアップデート (2025年11月11日)
- [ペルー/メキシコ]2025年11月、ペルーとメキシコの外交関係が正式に断絶された。メキシコの臨時代理大使も11月8日にペルーを離れ、事態の改善の見通しはたっていない。
この事態の発端は、メキシコ政府がペルーの元首相ベッツィ・チャベス氏に対して自国大使館内での亡命を認めたため。チャベス氏は、2022年に失脚したペドロ・カスティジョ元大統領の最後の首相であり、カスティジョによる議会の閉鎖未遂事件に関与したとして「共謀罪」で起訴されている。ペルー政府は彼女に対して最大25年の懲役刑を求めていた。
メキシコは、外交亡命に関する「カラカス条約※」に基づき、チャベスの亡命申請を受け入れたが、ペルー政府はこれを内政干渉と見なし、強く反発している。さらに、ペルー議会はメキシコのクラウディア・シェインバウム大統領を「好ましからざる人物」と宣言し、麻薬組織との関係を疑う声まで上がっている。
両国の関係は、2022年のカスティジョ政権崩壊以降すでに緊張していた。メキシコは当時、カスティジョの妻子に亡命を認めており、これがペルー政府の反発を招き、メキシコ大使の追放にまで発展していた。今回のチャベス亡命問題は、両国間の対立をさらに深刻化させる結果となった。
しかし、経済面では、両国の貿易関係は全体の中では比較的小規模で、ペルーの貿易総額に占めるメキシコとの取引は約1.2%、メキシコ側では約0.1%に過ぎないため、短期の経済的な打撃は限定的。ただし、通信・小売・金融などの分野でメキシコ企業がペルーに投資していることから、長期的には投資の停滞や企業活動の縮小の可能性はある。また、両国は太平洋同盟の加盟国であり、今回の断交は域内の経済統合にも悪影響を及ぼす可能性がある。
ペルー政府はカラカス条約の見直しを提案しているが、米州機構との関係が不安定であることから、国際的な支持を得るのは難しいと見られる。また、来年4月の大統領選の候補者は、まだこの件に対する声明を出してはいないが、これまでの発言などから、最有力とみられている右派のアリガガ氏は、内政干渉だとして反発を強める可能性が高い。
※1954年にベネズエラのカラカスで採択された国際条約。主に中南米諸国の間で外交使節団による亡命の取り扱いを定めたもので、政治的迫害を受けるおそれのある人物に対して、他国の大使館や領事館が庇護(ひご)を与えることを認める内容となっている。ただし、亡命を認めるかどうかは受け入れ国の裁量に委ねられている。
カラカス条約は、冷戦期の中南米における政治的混乱を背景に成立したものであり、その解釈や運用には課題が残っている。
- [EU]欧州委員会は、2024年8月に施行された人工知能(AI)法の一部規定について、実施の一時停止を提案している。この動きは、米国政府およびビッグテック企業からの強い圧力を受けたものであり、EUが国際競争力を維持するために規制の柔軟化を模索していることを示している。
AI法は、健康、安全、基本的人権に深刻なリスクをもたらす可能性のある「高リスクAIシステム」に対して厳格な規制を課すものであり、世界でも最も厳しいAI規制の一つとされている。これらの規定は2026年8月に本格的に発効する予定であるが、欧州委員会は企業に対して1年の猶予期間を設けることを検討している。これは、すでに市場に投入されている生成AIシステムの提供者が、混乱を避けつつ適切な対応を取るための時間を確保することを目的としている。
さらに、AIの透明性規則に違反した場合の罰則についても、2027年8月まで賦課を延期する案が含まれている。これにより、AIシステムの提供者や展開者が義務を履行するための準備期間を確保できるようになる。
この提案は、2025年11月19日に予定されている「簡素化パッケージ」の決定の一部として提出される見込みであるが、現時点では欧州委員会内および加盟国との間で非公式な議論が続いており、内容が変更される可能性もある。正式な採択には、EU加盟国の過半数および欧州議会の承認が必要となっている。
一方、フェイスブックやインスタグラムを運営するメタ社をはじめとする複数の企業は、EUのAI規制が欧州における先端サービスへのアクセスを阻害する可能性があると警告している。また、トランプ米大統領が支援するビッグテック企業からの反発も強く、EUがAI法をどの程度厳格に施行するかどうかについての議論が活発化している。
EUは、米国との貿易摩擦やウクライナ支援への影響を懸念し、2025年8月には暫定的な貿易協定に合意しているが、ホワイトハウスの報復措置を誘発しかねない動きには慎重な姿勢を取っている。EUはAI規制と国際競争力の維持とのバランスを模索しており、今後の政策動向は企業活動や技術開発に大きな影響を与える可能性がある。
- [エチオピア/エリトリア]エチオピア北部とエリトリア国境付近での緊張が高まっている。11月6日、エチオピア北部のアファール州政府は、隣接するティグライ州の政党「ティグライ人民解放戦線(TPLF)」の軍がアファール州に侵入(注1)し、民間人を攻撃するなどして6つの村を掌握した、と非難する声明を発した(11月6日付、仏RFI)。これに対し、ティグライ州暫定政府(注2)はこの主張を「根拠のないもの」と退け、ティグライ人を意図的に傷つける悪意のある陰謀の一部だと反論した。
2020~22年にティグライ州で発生したTPLF軍(通称、ティグライ防衛軍:TDF)」と連邦政府軍との衝突では民間人を含め約60万人が犠牲となり、現在もティグライ州では約600万人の人口のうち100万人が国内避難民としての生活を強いられている。2022年に署名された「プレトリア合意」によって敵対行為の停止や人道支援の再開などが行われ、状況は一時的に改善したが、TPLF内部で連邦政府に対立する強硬派と、連邦政府寄りの穏健派との間での対立が激化。3月にTPLFのデブレツィオン議長率いるTDFがティグライ州の州都メケレを制圧し、穏健派で暫定政府知事を務めていたゲタチウ氏を追放するなど緊張がエスカレーションした。TDF側には、ティグライ紛争時には連邦政府軍を支援した隣国エリトリア軍が支持に回っており、エチオピアとエリトリアの緊張も高まっている。背景には、内陸国であるエチオピアのアビィ首相がたびたび「紅海へのアクセス」を求める発言をしていることに、紅海に面し、エチオピアからの独立後もアッサブ港の使用を認めてきたエリトリアが自国への侵攻の脅威を感じていることにある。エリトリアは人口約400万の小国だが、イサイアス大統領の長期独裁政権のもと、男女ともに無期限・強制徴兵制度があり10万以上の陸軍を有しているとみられている。また、エリトリアは、ナイル川水源問題で上流のエチオピアとの対立を深めるエジプトとの接近を深めており、エチオピアの外交的孤立の圧力を強めている。
こうした中、ゲタチウ氏は首都アディスアベバに戻った後、TPLF・TDFの反体制派組織として「ティグライ平和軍(TPF)」を結成。TDFの元軍幹部を司令官に据えるなどTDFを威嚇している。今回のアファール州での一件も、TPFがアファール州政府の介入を通じて、ティグライ人・TDFを攻撃しており、それに伴うTDFによる反撃との見方もある(11月6日付、Addis Standard紙)。同日にTPLFは連邦政府軍から州内へのドローン攻撃を受けたとし、これはプレトリア合意に違反していると強く非難するなど緊張が高まっている。
さらに今後緊張の焦点となるのは、国内でも議論を呼んでいる2026年6月のエチオピア国内での総選挙の実施だ。10月28日、アビィ首相は議会で「予定通りの選挙の実施」を宣言。国内ではティグライ州のほか、オロミア州やアムハラ州でも反政府勢力の活動により選挙の実施が困難な中での中央政府による強硬的な選挙の実施に反発の声が上がっている(10月28日付、Addis Standard紙)。5月にエチオピア国家選挙委員会はTPLFが求める期間までに党総会を実施しなかったことにより政党としての登録を抹消したと発表(5月16日、英BBC)。このままでは2026年の総選挙にTPLFが参加できないことになるため、選挙に向けて緊張が高まる可能性が高い。2020年に発生したティグライ紛争も、アビィ首相がコロナ禍を理由に1年の延長を発表したことに対し、アビィ政権(繁栄党)以前は長期政権(TPLFを母体とする「エチオピア人民革命戦線(EPRDF)」)を握り、選挙の予定通りの実施を要求してきたTPLFが反発したことが発端となっただけに、今後の情勢の動向に注視が必要だ。
(注1)多民族国家のエチオピアは「民族連邦制」が導入されていることから、州を越えた攻撃を「侵入(cross into)」と表現しているとみられる。
(注2)2022年のプレトリア合意に基づき、2023年3月に設置。広範な自治権を求める目的で設置されたが、正式な州政府への移行期間は定まっていない。
- [日本]財務省・日本銀行「国際収支統計」によると、2025年度上半期の経常収支は、17兆5,128億円の黒字だった。黒字額は前年同期から2兆円超拡大した。
内訳を見ると、貿易収支が494億円の黒字となった。貿易収支が黒字になったのは2021年度上半期以来、8半期ぶりのことだった。輸出が52兆6,556億円(前年同期比+0.6%)へ小幅に増加した一方で、輸入は52兆6,062億円(同▲3.8%)へ減少したため。特に、原粗油(同▲15.7%)や石炭(同▲31.6%)、液化天然ガス(同▲11.3%)などの価格低下に伴い輸入額が減少した影響が大きかった。
また、サービス収支は▲1兆8603億円の赤字だった。赤字額は前年同期から縮小した。旅行収支の黒字額が拡大したことが主因だった。実際、訪日観光客数は2,111万人(+15.2%)へ増加したこともあり、旅行収支は3兆3,112億円の黒字だった。一方、航空旅客輸送の赤字拡大を主因に、輸送収支は▲3,457億円の赤字へと拡大した。その他サービス収支は▲4兆8,258億円(+433億円)の赤字だった。建設や金融サービス、知的財産権等使用料などが黒字だった一方で、委託加工サービスや維持修理サービス、保険・年金サービス、通信・コンピュータ・情報サービス、その他業務サービス、個人・文化・娯楽サービスが赤字だった。
第一次所得収支は22兆2,758億円の黒字へ拡大した。その黒字額のうち証券投資収益が、債券利子の減少などから7兆3,565億円へと前年同期から減少した一方で、直接投資収益が14兆2,971億円へと拡大した。直接投資のうち、海外現地法人の収益の還流にあたる配当金・配分済支店収益が8兆6,488億円へ拡大した影響が大きかった。
- [米国/シリア]11月10日、シリアのシャラア暫定大統領がワシントンを訪れ、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談を行った。シリア大統領のホワイトハウス訪問は、1946年のシリア独立以来で初めて。
米国とシリアの外交関係は、いわゆる「アラブの春」での民衆デモに対してアサド前政権が強硬な弾圧を行ったことを受け、2012年以降中断されてきた。しかし、2024年12月にシャラア氏が率いるシリアの反政府武装勢力がアサド政権を打倒したことで、両国関係は大きな転機を迎えている。トランプ大統領とシャラア暫定大統領による直接会談は、2025年5月、9月に続き今回で3回目となる。
シャラア氏はかつて過激派組織「アルカイダ」に所属していた経歴を持ち、米政府から「特別指定グローバルテロリスト(SDGT)」に指定され、1,000万ドルの懸賞金が懸けられていた。しかし、今回の訪米に先立つ11月7日、米政府は同氏をテロリスト指定リストから除外。さらに、同氏がアサド政権下で率いてきた反政府組織「シャーム解放戦線(HTS)」に対するテロ組織指定も2025年7月に解除された。これにより、米国と新シリア暫定政府との間での公式な外交関係再開が可能となった。
トランプ大統領は5月の初会談以来、シャラア氏を「若くて魅力的な男」、「強い過去を持つ闘士」として繰り返し高く評価しており、両社の関係は良好とみられている。今回の会談後、米政府は対シリア制裁法(シーザー法)に基づく制裁措置の大部分を、5月に続きさらに180日間停止することを発表した。ただし、法の完全撤廃には米議会の承認が必要とされている。シリアに対する経済制裁は2025年に入り大幅に緩和・停止されつつあるものの、依然として多くの外国企業は残存する制裁や政情不安を理由に、シリアへの投資に慎重な姿勢を保っている。
今回の協議でシャラア大統領は、シリアが「イスラム国(IS)」の打倒を目的とする米国主導の多国籍連合(89か国参加)に正式に参加する意向を表明。これにより、シリアの国際的復帰と治安安定化への動きがさらに進むとの見方も出ている。
- [米国]11月10日、上院は2026年度予算の一部を可決し、連邦政府の再開に向けて一歩を踏み出した。農務省や軍事建設、立法府関連の歳出については2026年9月末までの通年予算を確保し、その他の連邦政府機能については1月30日までの、つなぎ予算となる。賛成60票、反対40票で上院を可決。今後、下院で同内容の法案を可決して、大統領署名へと漕ぎつける予定となっている。トランプ大統領は法案に署名する意向を示している。民主党指導部の方針に反して、賛成票を投じた民主党上院議員に対しては、党内左派を中心に批判の声が高まっている。
レポート・コラム
SCGRランキング
- 2025年10月31日(金)
『日刊工業新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2025年10月29日(水)
『日刊工業新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2025年10月22日(水)
『日本経済新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2025年10月15日(水)
『日経ヴェリタス』に、当社シニアアナリスト 鈴木 直美が寄稿しました。 - 2025年10月14日(火)
『日刊産業新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。
2025年を振り返ると、生成AIへの期待の高まりと米国の関税政策の対応が印象的だった。その一方で、見たいものしか見ない世界で、それらを捉えているような危うさもあった。その中で、日米欧経済は、当初の懸念に比べて、底堅く推移してきた。2026年の世界経済は成長ペースを減速させる可能性が高い。特に米国の関税政策や歳出・減税法などの財政政策と中国の個人消費拡大を目指す政策が、国内外の資金フローの動きと整合性を欠いているように見える。その矛盾が結果的に、経済に悪影響を及ぼすことが懸念される。見たいものしか見ない世界で矛盾する政策が打たれ、その限界が露呈し成長が一段と鈍化するのか、生成... 