2025年08月14日
調査レポート
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- 「金融関連指標グラフ」を更新しました
- 2025年08月05日 コラム
- 米雇用統計ショック
- 2025年08月01日 コラム
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- 2025年07月29日 調査レポート
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- 2025年05月26日 社長コラム
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- 2025年04月16日 社長コラム
- 「解放の日」の違和感
- 2025年03月24日 社長コラム
- 崩れゆく世界秩序
- 2025年08月08日 コラム
- 微妙な景気判断
- 2025年08月05日 コラム
- 米雇用統計ショック
- 2025年08月01日 コラム
- 面白くない世界経済見通し
- 2025年08月01日 コラム
- グラフでみる世界エネルギー情勢②
- 2025年07月31日 コラム
- グラフでみる世界エネルギー情勢①
- 2025年08月06日 統計・グラフ集
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- 2025年08月06日 統計・グラフ集
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- 2025年05月27日 統計・グラフ集
- 「ランキング集(主要新興国一覧表)」を更新しました
デイリーアップデート (2025年08月19日)
- [ウクライナ/ロシア/米国/欧州]8月18日(日本時間19日未明)、米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は、ワシントンのホワイトハウスで会談した。先週のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領で実施された首脳会談の結果を踏まえ、戦争終結に向けての協議を実施した形。
トランプ大統領は、冒頭、戦闘終結後にロシアの再侵攻を警戒するウクライナが米・欧に求める「安全の保証」への関与について、「強力な保護と安全を提供する」と明言した。ゼレンスキー大統領は、「米国が強いシグナルを発することは重要だ」と歓迎し、プーチン大統領を交えた3者会談の用意があると訴えた。
今回の米・ウクライナ首脳会談には、フランスのマクロン大統領や英国のスターマー首相ら欧州首脳も加わった拡大会談も実施され、欧州からも米国の対応を評価する声が上がった。会談では「安全の保証」に関する米・欧の役割分担などの枠組みのほか、現状の戦線を踏まえたウクライナとロシアの「領土交換」について議論された。
トランプ氏はプーチン氏に電話でこの会談の結果を説明し、米・ロとウクライナの3者会談の調整に進めるとみられる。
- [イスラエル/アラブ・イスラム諸国]イスラエルがガザ制圧を承認し、同地での軍事作戦を拡大させる中、ネタニヤフ首相がテレビ放映されたインタビューで、「大イスラエル(Greater Israel)」の概念に賛同を示したことが、アラブ・イスラム諸国から激しい反発を招いている。
「大イスラエル」という概念には複数の解釈がある。狭義には1967年の第3次中東戦争でイスラエル占領した地域(東エルサレム、ヨルダン川西岸、ガザ、シナイ半島、ゴラン高原)を指すが、宗教右派の間ではさらに広義に、シリアやレバノン、エジプト、ヨルダン、サウジアラビアの一部までを含む拡張主義的な構想を意味する場合もある。ガザやヨルダン川西岸のユダヤ人入植やイスラエルへの併合を主張する宗教右派閣僚の存在を踏まえると、今回の発言が国内外で大きな波紋を呼ぶことは想像にたやすい。
これに対し、サウジアラビアやカタール、ヨルダン、エジプト、パキスタンなどが各国の外務省が相次いで非難声明を発表した。さらに、これらの国々を含む31か国に加え、湾岸協力会議(GCC)や、アラブ連盟、イスラム協力機構(OIC)も共同声明を出し、ネタニヤフ氏の発言を厳しく批判した。
- [マリ/フランス/ロシア]8月14日、マリの軍事政権は軍幹部2人とフランス人1人を拘束したと発表した。マリでは8月1日以降、国軍の一部隊である国家警備隊がクーデターを試みたとの容疑により数十人が逮捕されていた。マリ政府は、逮捕されたフランス人は「フランス諜報機関の代理として軍関係者を動員していた」と非難しているが、8月18日、フランス政府は、同氏は大使館職員であるため、逮捕は「外交関係に関するウィーン条約」に違反していると抗議している。
北部の反政府勢力やアルカイダ系組織「JNIM」らの活動拡大により治安が悪化したマリでは、2020年、2021年と2度にわたるクーデターで文民政権が追放され、軍トップのアシミ・ゴイタ氏(41歳)が暫定大統領を務めている。旧宗主国のフランスへの反対姿勢を明確にし、ロシアなどの軍事支援を受けながら治安維持に努める同氏は、国民から一定の人気を集めている。その一方で、野党候補者が反対する中、5月にマリのすべての政党を解散させ、7月には自身の暫定大統領の任期を2030年まで延長するなど、権力保持に向けた強硬的な態度も目立っている。
米・戦争研究所は、今回の軍事政権に対するクーデター未遂は、ゴイタ氏と、軍No.2のサディオ・カマラ国防相による国軍内の権力闘争だと指摘。軍事政権発足以降、両者の対立関係は顕著になっており、2030年の総選挙でカマラ氏陣営がゴイタ氏を支持しない可能性があることから、カマラ氏の支持母体である国家警備隊を排除したとの見方を示している。
また、両者の対立の背景にはロシアに対する関与の姿勢の違いもある。カマラ氏はクーデター後の治安維持のためにロシアの民間軍事会社ワグネルをマリに誘致した人物として知られ、2023年にはワグネルとの関与から米・財務省に制裁対象として指定された。カマラ氏は、ワグネルとの関係強化を通じて個人的な影響力の強化を図ってきたが、ゴイタ氏はこれをけん制する形でロシア政府との関係を強化。6月にワグネルからロシア国防省傘下の「アフリカ部隊(Africa Corps)」に置き換え、さらにトルコに軍事協力を求めるなどワグネルおよびカマラ氏の影響力の低下を図ってきた。しかし、JNIMら反政府勢力は、制圧した地域の住民の強制徴用や物流ネットワークの抑え込みなどにより周辺国を含め拡大を続けており、ロシアの軍事支援にも限界があるとみられている。
- [ボリビア]8月17日にボリビアで実施された大統領選挙の投開票の結果、過半数を獲得した候補がいなかったことから、2009年に制定された現行憲法下で初めて決選投票が行われることになった。開票率91%時点で、中道派の上院議員ロドリゴ・パス・ペレイラ候補が得票率32.8%で首位、元大統領ホルヘ”トゥト”キロガ候補が26.4%で続いている。決選投票は10月19日に実施が予定されている。
ロドリゴ・パス候補は選挙スローガンとして「Capitalism for all(すべての人のための資本主義)」を掲げ、20年にわたって政権を支配してきた社会主義運動(MAS)の政策を拒絶した上で、ボリビア経済を救済するために、包括的なアプローチを提案している。具体的には、予算を地方へ直接配分していくことで中央集権を緩和することや、関税引き下げを含む減税、非採算国営企業の閉鎖などを挙げている。一方のキロガ候補は、歳出削減や司法改革を公約として挙げており、加えてミレイ・アルゼンチン大統領の政策を称賛していることから、極右候補として扱われている。外交政策でその違いは鮮明となっており、パス候補は段階的な市場開放と多極的な外交を維持する方針であるのに対し、キロガ候補は米国との関係強化を表明している。いずれにしても、これまで親密な関係とされてきた中国、ロシア、ベネズエラなどとの関係は希薄になっていくとみられている。
左派やリベラルへの支持は大幅に低下している。現職大統領は不人気であることから出馬を見合わせており、モラレス元大統領は立候補が禁止された上で刑事訴追を受けている。左派系候補の得票率は8%とトップ争いに加わることもできず、蚊帳の外に置かれている状況となっている。ボリビアでの左派退潮は歴史的な転換点かつラテンアメリカ政治における重要な変化と認識されている。
リチウムに代表される資源が豊富なボリビアを巡り、米国、中国、ロシアなどの関与や左派系政府で結びついてきた周辺国との関係は、さながら交通量の多い交差点のような姿になっており、事故が生じさせない交通整理が必要となる事態も想定される。
- [日本]経済産業省によると、6月の第3次産業活動指数(2019~20年平均=100)は105.0だった。前月比+0.5%となり、3か月連続で上昇した。基調判断は2024年3月から2025年5月までの「一進一退で推移している」から「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動き」へ上方修正された。
内訳を見ると、広義対個人サービス(+0.7%)が2か月ぶりに増加、また広義対事業所サービス(+1.1%)は3か月連続で増加した。全10業種中、7業種が上昇し、3業種が低下した。上昇したのは、運輸業、郵便業(+3.3%)や電気・ガス・熱供給・水道業(+4.1%)、小売業(+0.7%)などであり、低下したのは情報通信(▲0.9%)や不動産業(▲1.0%)、生活娯楽関連サービス(▲0.8%)だった。
四半期別に見ると、2025年Q2の第3次産業活動指数は前期比+0.5%と、2四半期連続で上昇した。広義対個人サービス(▲0.2%)は、Q1(+2.1%)から2四半期ぶりのマイナスに転じた。
広義対事業所サービス(+0.8%)は、2024年Q4(0.0%)を挟んで、上昇は1年以上継続している。 また、やや長い目で見ると、コロナ禍後、卸売業が低下してきた一方で、小売業は横ばい圏を推移し、情報通信業は上昇傾向を維持してきた。対事業所サービスでも、非製造業依存型事業所向けサービスの活動指数がコロナ禍後におおむね右肩上がりに上昇してきたのに対して、製造業依存型事業所向けサービスは低下してきた。第3次産業内でも方向が異なっている点には注意が必要だ。
- [英国]英国の2つのエタノール工場のうちの一つであるVivergo Fuels(英ABF社のエタノール部門)が、工場閉鎖と従業員解雇を決定した。
5月8日、米国と英国は貿易協定を結んだが、その中には米国産エタノールの輸入に対して英国が14億リットルの無関税枠を設定する内容が含まれた。14億リットルの無関税枠とは、英国の年間需要量に相当し、事実上、19%の関税障壁がなくなることになる。この協定以前から、英国エタノール業界は業績低迷と安価な米国産エタノールの大量流入に苦しんでおり、エタノール企業幹部は、政府に存続の危機を訴え協議を進めてきた。エタノール生産の副産物である二酸化炭素や動物飼料を使用する食品飲料連盟、農業産業連盟も、政府に支援を訴えていた。二酸化炭素は産業・食品製造・医療などに幅広く使われ、過去にも供給不足が問題となっている。英国ではバイオエタノールは主に国産小麦から生産され、年間120万トンの需要を生むが、Vivergoは5月27日にウェブサイト上で英国の小麦生産者に対してメッセージを掲載し、政府支援がなければこれ以上小麦を購入できないと述べていた。
しかし英国政府は外部コンサルも起用して検討した結果、エタノール工場の救済は「納税者に価値を提供せず、業界が直面する長期的な課題の解決にもならないため、直接公的資金を提供しない」と8月15日に発表。これを受け、工場閉鎖が決定的となったもよう。Ensus社がイングランド北東部ティーサイド近郊に保有するエタノール工場も閉鎖危機にあり、CO2生産保護に英政府が支援を提供するか否かの判断待ちだという。
- [EU/米国]先月合意された貿易協定に関する共同声明の最終調整をめぐって、EUは米国と対立している。この対立の背景には、米国がEUの新しいデジタル規制を「非関税障壁」とみなしていることがある。
当初、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長とトランプ米大統領は、7月27日にスコットランドで関税協定を発表した数日後に共同声明を出す予定だった。
米国はEUの「デジタルサービス法」に関して、ビッグテック企業に対してプラットフォームの監視を強化するものであるとして、デジタル貿易障壁への対応につきEUと合意したと述べているが、欧州委員会は、これを受け入れられないと明言している。
欧州委員会はまた、トランプ大統領が8月15日までにEU製自動車の関税を27.5%から15%に引き下げる大統領令に署名すると予想していたが、声明についての具体的な合意はまだ出されていない。
対照的に、米国は英国との「経済繁栄協定」については、合意当日に「一般条件」を発表しており、鉄鋼などの輸出に関する協議も進行中である。
米・欧の協定は、航空機部品、特定の医薬品、重要鉱物など一部のEU製品には関税免除が認められているものの、米国のエネルギー輸出や投資に多額の資金を費やす一方で、高い関税を受け入れざるを得なかったEUにとって、この協定は不利であるとの見方が強い。
EUと米国の共同声明の署名に向けたもう一つの障害は、スケジュール調整に関する駆け引きである。 トランプ政権は、米国産の魚や食品(ケチャップ、ビスケット、ココア、大豆油など)の市場アクセスの改善時期や、EUが米国製工業製品の関税の引き下げ時期を明確にするよう求めている。
しかし、EUは、輸入業者に対する官僚的な手続きを簡素化するための法改正について未解決であるため、内部承認プロセスの具体的なスケジュールを設定することは困難だと主張している。
欧州委員会は、共同声明案がEUに差し戻されたことを認めつつ、合意に向けての尽力の下、最後の一歩が最も困難だと述べている。
- [アルゼンチン]2025年7月、アルゼンチンは今年初めて名目赤字を記録した。これは、外貨建て国債の利払いが1兆9,200億ペソ(約2,112億円)と大きかったことが主な要因であり、名目赤字は1,680億ペソ(約185億円)となった。一方で、政府は1兆7,500億ペソ(約1,925億円)の基礎的黒字を計上しており、1月から7月までの累計では、基礎的黒字がGDPの1.1%、名目黒字が0.3%となっている。基礎収支は通年で9兆4,000億ペソ(約1兆340億円)に達しており、IMFが設定した年末目標である10兆9,000億ペソ(約1兆1,990億円)の達成に向けて順調に進んでいる。
歳入は、社会保障拠出金、付加価値税(VAT)、デビット税(外貨支払いへの課税)が増加を牽引した。輸出税収も、一時的な税制優遇措置により農家が輸出を前倒ししたことで増加した。一方、歳出は、社会保障関連の支出は引き続き増加しているが、補助金と公共投資に関しては大幅な削減が行われた。
今後については、8月も名目黒字となるとみられている。議会は、年金引き上げを含む複数の法案を可決したが、これらの法案は、年間でGDPの約1.5%に相当する財政負担を伴うものでるとして、ミレイ大統領は拒否権を行使していた。拒否権に対しては、議会両院で3分の2以上の賛成があれば覆すことができるものの、与党と、PRO党の協力もあり現時点では拒否権が維持されると見込まれている。また、経済活動が回復する中で、政府は税制の減税を検討する可能性がある。ただし、その対応は段階的かつ慎重に進められると予想される。
レポート・コラム
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- 2025年8月13日(水)
日経QUICKニュース社の取材を受け、当社シニアエコノミスト 鈴木 将之のコメントが掲載されました。 - 2025年8月4日(月)
日経QUICKニュース社の取材を受け、当社シニアエコノミスト 鈴木 将之のコメントが掲載されました。 - 2025年8月1日(金)
『日本経済新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2025年8月1日(金)
『日本経済新聞(電子版)』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2025年7月31日(木)
『日本経済新聞(電子版)』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。