新NAFTA(USMCA)暫定合意の評価

2018年10月19日

米州住友商事会社 ワシントン事務所
渡辺 亮司

米商務省の外観(筆者撮影)
米商務省の外観(筆者撮影)

 2018年9月30日、13か月以上続いたNAFTA再交渉は暫定合意に達した。大方の予想に反し、メキシコのペニャ・ニエト大統領の任期終了間際の同年11月末に、加盟3か国の首脳が集まり新NAFTA(USMCA)に署名する見通しだ。暫定合意後、米議会や米産業界からは歓迎の声が支配的だ。楽観的な見方ではあるが、トランプ政権がこれまで強硬に主張してきた保護主義的内容の「毒薬条項」で同政権が譲歩したことで、NAFTA崩壊懸念などが和らぎビジネスの不確実性がやや低下したという安堵の声のようだ。USMCA署名後、加盟国全てが批准した後、初めて協定は発効するが、他国と比べ米国の批准には引き続き不透明感が残る。米議会での批准は11月中間選挙の行方、そして労働組合・業界が今後どのように協定を評価するかによって左右される。従い、当面、北米で活動を行う企業にとって不安定なビジネス環境が続く見通しだ。

 

 

大幅な改悪回避で米議会・米産業界は安堵

 USMCA暫定合意では、トランプ大統領が当初主張していた「毒薬条項」を含む強硬な米国案の多くが採用されなかった。一部管理貿易の内容が盛り込まれたものの、関税を含む現状の協定の大部分が維持され、全体的には大きな修正がなかったことから評価する声が支配的だ。だが、好意的な評価はNAFTAが存続し、あくまでも大幅な改悪の内容が盛り込まれなかったことに安堵したからのようだ。中身は現行NAFTAに保護主義的内容を一部盛り込む一方、トランプ政権が離脱したTPPの内容の一部を加えたものと言えよう。一部の通商専門家は保護主義的内容が含まれ現行NAFTAから後退したことでUSMCAを「NAFTA0.8」と呼ぶ。一方、他の通商専門家はTPPに含まれていた近代化の内容も含みやや改善したことで同協定を「NAFTA1.1」または「NAFTA2.0」とも呼んでいる。いずれもNAFTA崩壊リスクを回避したことは称賛しているものの、現行NAFTAとの比較でUSMCAについては専門家によって評価が分かれる。なお、日本企業も多く進出しているメキシコで自動車産業のサプライチェーン見直しが迫られる内容も含まれていること、そして今後、USMCAがひな型となって日米貿易交渉が行われ、日本は米国から厳しい要求を突き付けられる可能性があることなどから日本企業はUSMCAの批准動向を注視する必要があろう。

 

 

◆新協定は自由貿易の観点から進化と後退が混在

〇「NAFTA1.1/NAFTA2.0」:自由貿易の観点から進化した内容

<カナダの酪農産業:部分的に市場開放>

 USMCAではカナダの供給管理制度は残った。だが、CPTPP(米国を除くTPP 11)でカナダが市場アクセスを認めた関税ゼロの輸入枠(市場シェア3.25%)をやや上回る3.58~3.75%でUSMCAは合意。また、カナダの牛乳の価格分類の一部(クラス6と7に分類される脱脂粉乳、乳タンパク質濃縮物など)の価格を抑える価格調整制度について廃止するなど市場開放が進んだ。USMCA発効後、ウィスコンシン州をはじめとするカナダに近い米国各州にとって新規ビジネスチャンスが生まれる可能性がある。

 

<デミニミス(非課税基準額)の引き上げ>

 無税輸入限度額である「デミニミス(非課税基準額)」をカナダは現行NAFTAの20カナダドルからUSMCAでは150カナダドルへ、メキシコは同様に50ドルから100ドルへ引き上げることで合意。インターネット販売などの小口取引が国境を越えて拡大する今日、貿易が益々活発化する可能性がある。従い、米国企業にとってはカナダやメキシコ市場への輸出拡大チャンスが広がる。

 

〇「NAFTA0.8」:自由貿易の観点から後退した内容

<原産地規則>

 域内調達率(RVC)は現行のNAFTAから段階的に引き上げられることになった。当初、トランプ政権が交渉で提示していた乗用車・軽トラックのRVC85%から10%ポイント下げてRVC75%にし、米国調達率50%の要求を米国が撤回するなど、ある程度米国側の譲歩も見られたことで合意に至った。

 

(表1)USMCAの自動車域内調達率

 

域内調達率(RVC):段階的引き上げ

移行期間

乗用車・軽トラック

75% (現行NAFTA:62.5%)

3年

 

部品

重要部品(Core):75%

主要部品(Principal):70%

補完部品(Complementary):65%

3年

大型トラック

70%(現行NAFTA:60.0%)

7年

 

部品

主要部品(Principal):70%

補完部品(Complementary):60%

7年

 

 USMCAには、新たに自動車生産者(乗用車、軽トラック、大型トラック製造者が対象)が年間に購入する鉄鋼・アルミの70%以上を北米産とする要件を追加した。更には自動車の40%(内訳:25%以上は高賃金、素材・製造費、10%以下は技術費、5%以下は組み立て費)を時給16ドル以上(基本給。ベネフィットなど含まない。メキシコ自動車業界労働者の平均賃金の約4倍)の労働者によって生産するという労働価値コンテンツ(Labor Value Content:LVC)の要件が含まれた。LVCは協定発効から3年間で段階的に満たすことになっている。だが、RVCやLVCの要件を満たすコストが米国の一般関税(MFN関税)2.5%(乗用車)を上回る場合、対米輸出が数量制限枠内である限りは当面は一般関税を支払ってカナダやメキシコから乗用車の輸出を継続する企業も多数あるであろう。特に米国が232条(自動車)追加関税を北米各国以外の自動車輸出国に発動した場合、USMCAのサイドレター(付属文書)で合意に至った輸出数量制限で年間260万台まで米国の追加関税対象外となっているカナダとメキシコは価格で有利となる状況が生まれる。

 

(表2)サイドレターで合意した自動車の対米輸出数量制限

 

メキシコ

カナダ

(1)乗用車の対米輸出

(HSコード:8703.21〜8703.90)

メキシコ産乗用車、年間260万台まで(注)

カナダ産乗用車、年間260万台まで

(2)軽トラック輸出

(HSコード:8704.21および8704.31)

メキシコ産軽トラック

カナダ産軽トラック

(3)自動車部品

メキシコ産自動車部品、年間1,080億ドル(1〜12月)

カナダ産自動車部品、年間324億ドル(1〜12月)

(注)年間260万台を超えると232条関税適用の可能性あり。トランプ政権は調査中の232条関税を発動するかどうかも不明であり、また仮に発動しても対米輸出が年間260万台を超える数年後まで関税を引き続き適用しているかどうかも不明。この他、232条に基づく追加関税発動から60日間はカナダとメキシコは対象外とすることもサイドレターで合意。

 

 

 北米自動車産業は3か国間で貿易協定が維持されたことは評価している。だが、中長期的には北米の自動車生産コストが上昇し、消費者に転嫁される可能性が指摘されている。今日、NAFTA域内では自動車業界をはじめ国をまたがるサプライチェーンが複雑に入り組んでおり、域内で競争するのではなく、欧州やアジアといった域外の経済ブロックと競争している。そのため、USMCAによって北米のコスト競争力が低下することが懸念されている。いずれ、一部車種についてはUSMCAでコストが増す北米での生産から、よりコスト競争力のある他地域での生産に切り替え、MFN税率の関税を支払って北米向けに輸出するという判断を行う自動車メーカーも出てくる可能性さえある。

 

<サンセット条項>

 USMCAでは16年の期限で6年ごとの見直しによって16年延長を可能とした。米国政府は当初、5年ごとに協定更新に合意せねば協定は自動的に効力を失うことを提案していた。このサンセット条項について、あるカナダ政府高官は夫婦の関係に喩えて、5年ごとに更新しなければ自動的に離婚となるのでは長期的視野で関係にコミットできず持続性に欠けると述べた。長期的な視野で投資を行う多くの企業にとっては、米国の当初案のサンセット条項では不確実性が高く投資判断ができないと問題視されていた。トランプ政権は5年ではなく、16年に期間を伸ばしたことで、その不確実性をやや低下させたが完全には解消していない。USMCA交渉に携わったある米政府高官は、今回の交渉で判明したように米国は協定離脱という切羽詰まった状態でなければ、米国優位の立場を築くことができず、各国は本気で交渉しないと主張する。だが、今回のように毎回、米国が離脱を武器に交渉をするのはビジネスにとって不確実性を高め、好ましくないことから、妥協案として16年という長い期間にするものの6年ごとに見直しを行う内容で合意に至ったという。だが、当初の米国案からは改善したものの、現行NAFTAと比べて保護主義的内容で合意しており、北米ビジネスにとっては不確実性がやや高まったといえよう。

 

<為替条項>

 USMCAでは協定本文に為替条項を追加した。FTAに為替条項を含むのは初めてで、画期的な動きだ。米自動車業界は日本をはじめ他国とのFTA交渉のひな型になるとの期待から歓迎している。2018年10月、ワシントン市内で開催されたセミナーで米自動車貿易政策評議会(AAPC)のマット・ブラント会長(元ミズーリ州知事)は、USMCAの為替条項にはより厳格な内容を望んではいたものの、「今回米政府は重要なことを達成しており、将来、米国が締結する他のFTAのモデルとなる」と語った。TPPでは為替条項はサイドレターでの合意だけで協定本文に盛り込まれず、執行面で不十分であったことから米自動車業界は不満を抱いていた。USMCAでは為替条項の違反について、紛争解決プロセスを利用することが可能になっている。ただし、為替操作に関する執行厳格化が可能であるのは、報告義務に関してだけであり、競争的な通貨切り下げ防止の側面での執行厳格化の必要性をUSTR の「貿易交渉および貿易政策のための労働諮問委員会」は指摘している。

 

<非市場経済国(NME)とのFTA締結を困難にする条項>

 USMCAには加盟国が非市場経済国とFTAを締結することについての規制「第32章10条」が盛り込まれた。同条項ではあるUSMCA加盟国が非市場経済国とのFTAを発効した時には、他のUSMCA加盟2か国は6か月前の通知によってUSMCAを破棄し、2国間協定に切り替えることを可能にしている。ベトナムは既にCPTPPでカナダとメキシコが署名済みであるため、同条項は適用されない。米政権幹部の発言からも、想定しているのは中国だ。仮にカナダが中国とFTAを締結した場合、米国はUSMCAを破棄し、メキシコとの2国間FTA(USMA)に切り替えることができる。カナダは長年、米国経済への依存を懸念し、貿易多角化を目指してきた。近年、カナダと中国はFTA締結に向けた予備協議を実施するなどFTA交渉入りの可能性を探ってきた経緯がある。だが、本条項の追加によって、FTA交渉入りのハードルは高まった。

 

<知的財産権(IP)条項>

 オバマ政権末期、米大手製薬会社の反対で米国のTPP批准を阻んだバイオ医薬品のデータ保護期間について、現行NAFTAの8年間(TPP合意内容も最長8年間)から10年間に延長して、合意に至った。対象国は異なるものの、TPP交渉でオバマ政権が達成できなかったことをトランプ政権が成し遂げたことは評価されている。TPP合意内容に反対を表明し政治的影響力を発揮した米国研究製薬工業協会(PhRMA)はUSMCA暫定合意内容について支持を表明しており、今後、米議会で施行法案を可決するためにはバイオ医薬品のデータ保護期間に関する合意の重要性は大きい。

 

<投資家対国家の紛争解決(ISDS)条項>

 ISDSは政治リスクを軽減する狙いがある。トランプ政権は、ISDSは米企業が国外に工場などを設立するインセンティブとなり、米国の雇用流出をもたらしていると同時に国家主権を損なう制度であると捉えている。USMCAではカナダの政治リスクは低いとのことから、米政権は今後3年間でカナダとの間ではISDSを撤廃することに合意。一方、メキシコは特にロペス・オブラドール次期政権の政治リスクについて、米エネルギー業界などで懸念が高いことからそれら一部業界を対象にISDSを残したという。米政府高官は民主党の支持を得るにはISDSの改定が不可欠であったと捉えている。なお、ISDSの一部撤廃については、これまで恩恵を享受してきた一部の米産業界からの懸念の声もあり、署名から批准までの段階で米産業界が議会や政権に対してどのような要望をしていくのか要注目だ。

 

〇現行NAFTAのまま現状を維持した主な内容

 USMCAで最終的な合意に至る過程で、カナダが大幅に譲歩したとの報道が多数あるが、カナダやメキシコが抵抗して多くの分野で現行NAFTAの内容が維持された。

 

<NAFTA第19章・第20章>

 ダンピング・補助金などを2国間パネルで判断することを規定している第19章を維持することで3か国は合意。ライトハイザーUSTR代表は第19章の撤廃にこだわっていたが、最後には譲歩し、協定に残した。同条項は1989年発効の米加FTAの交渉で、盛り込まなければ合意しないとカナダが主張を曲げず、貿易促進権限(ファストトラック)の失効直前にジェームズ・ベーカー財務長官(当時)が折れて協定に含むことになった経緯がある。カナダは米国内の裁判所は米国寄りの判断をしかねないと危惧していることが第19章維持を主張する背景にある。なお、2国間パネルを通じて判断する国家間の紛争解決の手続きを規定している第20章はUSMCAに残されている。特にトランプ政権のような保護主義に傾斜する政権下では、ダンピングや補助金をはじめとする多くの不公正貿易などが考えられ、第19章や第20章があることに意義がある。

 

<カナダの文化産業保護の例外措置>

 カナダのエンターテインメント産業への外資参入の障害となる文化産業保護の例外措置について、USMCAの紛争解決制度利用や報復措置などを導入した上で保持することで合意。同例外措置はカナダのトルドー首相がUSMCAでも優先的に維持することを重視。カナダの現状維持の要望に基づき、書籍・映画・音楽・ラジオ番組の作成・配布において同措置を適用することで合意した。

 

<232条(鉄鋼・アルミ)>

 232条に基づき米国がカナダ産とメキシコ産の鉄鋼(追加関税25%)・アルミ(追加関税10%)に課税している案件は、今回のUSMCA暫定合意には含めず、別枠で交渉中だ。だが、2018年11月末の署名までに本件についても交渉妥結することが見込まれている。前述のブラントAAPC会長は、232条(鉄鋼・アルミ)追加関税が北米自動車産業のコスト競争力を削いでおり、USMCA署名前にカナダ・メキシコと合意に至るよう米政権に圧力をかけているという。従い、同会長はUSMCA署名前の232条(鉄鋼・アルミ)交渉妥結を断言している。また、カナダとメキシコの政府高官も、232条(鉄鋼・アルミ)追加関税の撤廃がない限り、両国はUSMCAに署名しない可能性を示唆している。米韓FTAやアルゼンチン、ブラジルなどと同様に米国はカナダ、メキシコに対し数量制限の交渉を行っていると言われており、2017年までの3年間の実績をもとにある一定割合の数量について無税での対米輸出を認める可能性が高い。

 

 

日本勢にとっての影響

 USMCAは今後の米国のFTA交渉のひな型になることがトランプ政権の閣僚の発言からも示唆されている。日米両国は貿易交渉開始に合意しており、貿易促進権限(TPA)法に基づき、まもなく米政権は議会に日本との交渉開始を通知する方針だ。日米貿易交渉を日本国内では物品貿易協定(TAG)と呼んでいるが、サービス産業も一部含まれており、いずれ米議会が期待するFTA交渉となることが見込まれる。日本勢にとっては米自動車業界の要望でUSMCAに新たに盛り込まれた為替条項に加え、NME条項などが要注目だ。なお、米韓FTAそしてUSMCAで米国は関税で威嚇して相手国の譲歩を引き出す交渉手法を採用した。日米貿易交渉では交渉中は追加関税(232条(自動車))を発動しないことで両国は合意している。だが、米国は日本が市場開放などを受け入れない場合は232条追加関税を発動するという脅しをかけ、日本の譲歩を引き出す可能性があろう。

 

 

国民感情に後遺症を残したNAFTA再交渉、課題は北米の競争力

ワシントンの街中で中間選挙の投票を呼び掛ける街頭広告(筆者撮影)
ワシントンの街中で中間選挙の投票を呼び掛ける街頭広告(筆者撮影)

 2018年11月のUSMCA署名の後、議会批准には時間を要する可能性がある。ライトハイザーUSTR代表の議会への発言からも、これまでトランプ政権は議会批准は二の次でまずは大統領が納得する内容で交渉してきたと言われてきた。従い、交渉過程でどこまでステークホルダーと協議してきたか疑問だが、米政府高官は議会批准を念頭にUSMCAについて、共和党だけでなく民主党が望む内容も多く含む点を強調している。確かにTPP署名時の反応と比べると、USMCAに対する労働組合の反応は真っ向から反発しておらず、どちらかといえば好意的と言えよう。上院民主党トップのチャック・シューマー上院院内総務も詳細を把握する必要性を示しているものの、USMCAは現行NAFTAを改善していると評価する声明を発表している。米政権は、USMCAの労働章の施行面について労働組合と現在も協議を重ねているが、オバマ政権やクリントン政権などの民主党政権でも実現できなかった改善内容になっていると主張する。トランプ政権は、労働章強化やISDS条項の一部撤廃、知的財産権強化など民主党の保護貿易派の支持も集めることができる内容を盛り込んだことで、従来、FTAに賛成票を投じてきた自由貿易派だけでなく保護貿易派の協力も得て早期の議会批准を目指して業界、労働組合、議会などに売り込み始めている。

 

 USMCAはTPPに含まれていた内容を中心に近代化が図られ、カナダの酪農産業などで市場開放が見られる一方、自動車産業の原産地規則強化などで保護貿易の要素も含み、米国全体にとっての中長期的な経済効果は様子見の必要があるようだ。だが、各種世論調査によると、2017年以降、米国の強硬な交渉姿勢、トランプ大統領の各国首脳・閣僚に対する批判などが影響したのか、カナダやメキシコでの反米感情が高まっている。今日、経済に留まらず安全保障、自然災害、治安、移民政策をはじめ様々な分野でカナダとメキシコは米国と連携している。だが、両国民の反米感情の高まりで、両国政府は自国の国益に反して米国と連携しない選択も今後あり得るだろう。通常、選挙キャンペーンでは緊急時の火消しなどに追われる「作戦室(war room)」を設置する。米国の同盟国であるカナダだが、トルドー首相は、2016年米大統領選後、首相官邸に「米国・カナダ友好作戦室(friendship/war room)」と称するトランプ政権に関わる危機に対応する緊急対策チームを創設したという。そして約2年、「米国・カナダ友好作戦室」はNAFTA再交渉などを巡る米政権の動向の対処に追われてきた。緊急時にも同作戦室の火消しで事態は沈静化し、この度、USMCA暫定合意にまで至った。だが、交渉過程で高まった両国の反米感情は根深く残る可能性もあり、今後、米国・カナダ関係、米国・メキシコ関係の修復には時間を要するかもしれない。

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