デイリー・アップデート

2020年5月1日 (金)

[米国] 新型コロナウイルスの感染拡大の中でトランプ政権は対中姿勢を硬化させており、現在、政権内では新たな関税の適用、報復措置の発動、損害賠償の請求、中国保有の米国債の一部帳消し等の政策選択肢を関係省庁高官らが検討開始している。米国内の対中感情のさらなる悪化を反映して米議会でも対中報復法案等の提出が検討されており、今後、米中関係がさらに悪化する可能性が浮上している。

[中国] 現地報道によると、不動産市場調査機関である「貝殻研究院」が国内主要18都市を対象に集計した1~3月の中古住宅成約件数は、前年同期比▲44.6%と大幅減少。新型コロナウイルス感染拡大が中古住宅市場に及ぼした影響が大きいことが確認された。北京市は、中古住宅の発売から成約購入までの平均期間が160.91日と、前年同期比で66.56%長くなった。売買中の物件件数では、当初販売価格から値下げしたものが値上げ物件の8倍となった。

[欧州] 4月30日、欧州中央銀行(ECB)は理事会を開催、条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO3)の最低金利を▲1%に引き下げ、パンデミック緊急長期リファイナンスオペ(PELTRO)を導入した。前回までに発表している7,500億ユーロのパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)や資産購入プログラム(APP)などを含めると、年末までに1兆ユーロの資金が市場に投入される見通し。政策金利を据え置きしたものの、状況に応じてPEPPなどを拡大する用意があるという姿勢を示している。

[中国] ◇「一帯一路」関連プロジェクトで中国から融資を受けている途上国が、経済の低迷を受け、中国に債務帳消し等の救済措置を求めている。中国の関係者は、利子減免や返済の先送りは有りうるが、「援助ではなく市場ルールに基づく」ものゆえ、債務免除は困難との認識を示した。◇中国共産党機関紙『求是』は、2018年の習近平国家主席の演説を掲載。内容は「貧困との闘いへの勝利は必須であり、そのための任務を着実に達成するよう」指示するもの。同号には国務院貧困対策局主任・劉永富氏の「新型コロナウイルスの影響を克服し、全力で貧困撲滅の戦いに取り組む」という論文も掲載。社会の安定を最優先する党の方針がうかがわれる。

[トルコ] 4月28日、トルコは新型コロナウイルスの感染が拡大する米国に対し、50万枚のマスクや4,000着の防護服などの医療装備を送付。二国間関係の改善を望むエルドアン大統領の手紙が添えられた。トルコは1月以降、新型コロナウイルス蔓延に苦しむ世界57か国に対して、マスクや防護服などの医療装備を送付するなどして支援してきた。この「医療外交」はトルコのイメージ改善や、現状さまざまな問題を抱えている同国の欧米諸国との関係改善に役立つとみられる。

[ロシア] 4月30日、ミシュスチン首相は、自身が新型コロナウイルスに感染したことをプーチン大統領に報告、これを受けてプーチン大統領はベロウソフ第1副首相を首相代行に任命した。ミシュスチン氏は隔離されて治療を受ける。ロシアでは感染拡大が続いており、感染者数は同日累計10万人を突破した。

[中国] 三一重工、Zoomlion(中聯重科)、徐工機械、柳工などの建設機械国内大手の業績は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が緩和され始めた2020年3月から復調して来ている。同月、国内では49,408台のパワーショベルが売れ、単月では過去最高を記録。各社のセメントポンプ車、パワーショベルなどの販売価格も、4月に入り 5~10%値上げされている。地方政府が発行する特別目的債によるインフラ建設が背景にある。中信証券は、今年度のインフラ投資の伸びを前年比 +13.6%と予測(2019年は同+3.3%)。徐工機械の会長は「今年の建機の重点は国内市場だ」と述べている。

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