デイリー・アップデート

2020年5月13日 (水)

[英国] 5月12日、英国政府は、日本とのFTA交渉開始に向けた交渉方針を公表。また、交渉分野に「国民健康サービス(NHS)」は含まれていないと強調する一方で、繊維・衣料や金融などの専門サービス分野で日本に譲歩を迫る内容となっている。トラス国際貿易相は、新型コロナウイルス感染拡大を受け交渉開始が遅れているが、日本との貿易を増やし、日本からの投資を加速させ、英国での雇用を創出するために重要な交渉と位置付けている。

[フィリピン] 5月12日、政府は、15日に期限を迎える活動制限の延長と緩和を発表した。16日以降に厳格な外出・移動制限措置を継続するのは、感染リスクが高いマニラ首都圏、ラグナ州、セブ市のみ。これらの地域でも外出等の制限を緩和する。企業活動は、生産・加工を手掛ける一部業種については、一定の条件を満たせば工場の操業を認める。活動できる業種も従来の食品や電力、輸出加工型から広げる。活動できる業種の詳細については数日以内に公表される予定。

[トルコ] 5月11日、キプロス・エジプト・フランス・ギリシャ・UAEの5か国外相がTV会議を行い、東地中海及びリビアにおけるトルコの「違法な」行動を非難する共同声明を発出した。トルコ外務省はこれに反発し、当該5か国こそが地域の安定を脅かし混乱に陥れようとしているとの声明を発出。トルコは、南北キプロス問題及びキプロス沖でのガス田掘削問題でキプロス・ギリシャと、リビア問題ではエジプト・フランス・UAEと、それぞれ激しく対立している。

[中国] 4月12日、中国国家統計局は、4月の工業品卸売物価指数(PPI)が前年同月比で3.1%下落したと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で国際的に商品価格が下落し、2016年4月以来、4年ぶりの低水準となった。マイナスは3カ月連続で下落幅も拡大した。同日発表された4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.3%上昇。CPI上昇率はアフリカ豚熱(ASF)や新型コロナウイルス感染拡大の影響で高止まりが続いていたが、4月は6カ月ぶりに3%台となりプラス幅が縮小した。

[日本] 財務省「国際収支統計」によると、3月の経常収支は1兆9,710億円と、69か月連続の黒字となった。輸出が前年同月比▲12.2%と減少したことで、貿易収支は1,031億円の黒字にとどまった。また、サービス収支は720億円の黒字へと縮小。第1次所得収支が2兆609億円の黒字と底堅さを見せた。

[ウズベキスタン] 5月11日、ウズベキスタン上院で、ロシア主導のユーラシア経済連合(EEU)へのオブザーバー加盟が承認された。オブザーバー資格を得ることでウズベキスタンは、EEU各種会議への参加やユーラシア経済連合事務局での貿易経済協力・技術・関税などの各分野での継続的コミュニケーションの維持、相互利益に向けた協力・協議などが可能となる。これらを通じてウズベキスタンが今後どのような経済的メリットを得られるかが注目される。

[中国] 宝鋼股份は、最近、豪リオ・ティント社に対する総額1億元余の決済を、人民元建てで、かつ初めてブロックチェーン(BC)技術により実施した。宝鋼は伯ヴァーレ、豪BHPグループらとも元建て決済を実施済みで、世界三大鉄鉱石サプライヤーとの元建て決済がトライアルから今後は一定数量まで常態化される。宝鋼が実際に利用したかは不明だが、中国は「人民銀行貿易金融BCプラットフォーム」を2018年から試験運行中。また、中国の貨物貿易総額における元建て決済の比率は、過去3年11.8%、12.0%、13.5%と漸増傾向にあり、2020年1Qは16.1%。

[中国] ◇武漢市で5月9日から10日にかけ、都市封鎖解除後、初めて感染者が確認され(計6人)、市当局は今後10日間で全ての市民に対して感染を調べるPCR検査を実施する方針を決めた。武漢の常住人口は1,108万人で、今回の決定により約1,000万人に対し検査を実施することになる。中国誌『財新』が、その必要性について疑問を投げかける記事を掲載した。◇中国国内では、製薬会社4社が新型コロナウイルスワクチンの開発を進めているが、承認を得た康希諾生物股份公司(CanSino Biologics)、北京科興生物製品有限公司(Sinovac Biotech)、武漢生物製品研究所有限責任公司、北京生物製品研究所有限責任公司のうち2社は、過去に賄賂や欠陥ワクチンの問題で処罰を受けている。NY Timesが、ワクチン開発をめぐる中国の閉鎖的なシステムの問題と、民衆からの不信について指摘している。

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