デイリー・アップデート

2020年11月9日 (月)

[米国] 労働省の雇用統計によると、10月の非農業部門雇用者数は前月比で63.8万人増加した。前月の同67.2万人増から回復ペースは鈍化した。一方、失業率は6.9%と前月の7.9%から低下した。3~4月で雇用者数は計2,216万人減少した後、5~10月で計1,009万人増加と、まだ落ち込みの半分強を回復したにすぎない。また、産業ごとに回復ペースの相違が目立っており、まだら模様の回復になっている。雇用の最大化へ道半ばの状態といえる。

[中国] 11月7日に中国税関総署が発表した貿易統計によると、10月の輸出は前年同月比+11.4%。プラスは5か月連続。前月の同+9.9%より伸びが拡大した。マスク・防護服などの繊維製品、在宅勤務用のパソコン特需などで急回復。輸入は前年同月比+4.7%と2か月連続で前年を上回ったものの前月の同+13.2%より伸びは鈍化。貿易収支は584億ドルの黒字と前月の370億ドルの黒字からさらに拡大。米国向け貿易輸出は+22.5%、輸入は+33%とともに大幅増加した。

[トルコ] トルコ・リラが連日過去最安値を付け、11月6日には年初来3割安となる1ドル=8.58リラを付ける中、7日にエルドアン大統領がウイサル中銀総裁を解任し、後任にアーバル前財務相を就けた。8日には、大統領の娘婿であるアルバイラク財務相が自身のSNSで辞任を発表。トルコの経済政策を担ってきた2人の辞任が報道されたことで、トルコ・リラは現在1ドル=8.35台までリラ高方向に戻している。

[ボリビア] 今年10月18日に投票が行われたボリビア大統領選挙で勝利したアルセ元経済相の大統領就任式が11月8日に事実上の首都ラパスで行われ、モラレス前大統領の亡命と右派のアニェス暫定政権の成立からわずか1年で左派政党・社会主義運動(MAS)が政権を奪還した。モラレス氏も大統領就任式翌日の9日にボリビアに帰国予定。11月5日にはMAS党本部を標的にした爆弾事件も発生しており、MASに対する反発もある中で政権が発足することになる。

[ロシア] ロシア議会の議員グループが、大統領経験者に対して生涯にわたり刑事訴追からの免責を付与する法案を提出した。同法案が成立すれば、現職のプーチン大統領が退任を決断した場合、退任後も一生涯、訴追免責が与えられることになる。

[韓国/米国/中国/日本] バイデン次期米大統領就任後の米韓関係などに関し、韓国メディアが以下のような観測を述べている。①在韓米軍駐留分担金交渉の早期妥結と米国による在韓米軍撤退・削減論の沈静化、②米の米韓同盟強化方針と反中路線継続に伴う、韓国に対するクアッド(日米豪印安全保障対話)や中国企業を排除するクリーンネットワークへの参加要求圧力の高まり、③文政権の米中間綱渡り外交に対する圧力の強化、④日韓関係改善圧力の高まり、⑤北朝鮮融和政策に対する圧力強化など。

[米/中] 中国政府は米国大統領選の結果について、11月9日10:30時点でまだコメントを発表していないが、「環球時報」がバイデン新政権の対中政策等について幾つか論評を掲載している。バイデン政権になっても米中関係が根本的に改善することはなく対立が続くとしながらも、感染症対策や気候変動問題では協力の可能性があり、また人的交流に関して中国人研究者や学生を圧迫する傾向は変わるだろうと予測。バイデン政権は同盟国との関係を重視するが、気候変動や人権問題ではインドとの間で摩擦が生じる可能性もあるとしている。

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