デイリー・アップデート

2020年11月10日 (火)

[フィリピン] 11月10日、フィリピン統計庁(PSA)の発表によれば、第3四半期の実質GDP成長率は▲11.5%となり第2四半期の▲16.9%から改善したものの、マイナス幅は依然2桁台であり回復は弱かった。改善した主要な理由はロックダウンの緩和とみられる。しかし、新型コロナウイルス感染拡大はいまだ制御されておらず、感染拡大に伴う規制強化期間が再度延長されたことなどにより、正常な日常生活に戻るには時間がかかる見込み。

[UAE] イスラムの戒律を緩める法改正が発表され、ライセンスの取得無しにアルコール飲料の保持や消費が可能になった。厳格に適用されてこなかったものの、UAEでの飲酒には法律上はライセンスの所持が必要で、時に外国人が飲酒で逮捕される事案も発生していた。他にも、婚姻関係の無い男女の同棲の容認、女性に対するハラスメントの処罰の厳格化などが新たな改正点であり、法律をより西洋化させ外国人が住みやすい場所にすることで、海外からの観光・投資をより多く呼び込むことが可能になると考えられる。

[米国] 11月7日のバイデン前副大統領の勝利宣言を受けて、バイデン・ハリス政権移行委員会は政権移行プロセスを加速化させており、翌8日には次期政権が取り組むべき優先政策項目として、新型コロナ対策、米国経済の回復、人種間の平等、気候変動を発表。閣僚・政府高官ポストの指名の検討も行われている。まず注目されるのはホワイトハウスの司令塔となる大統領首席補佐官人事であり、候補にはロン・クライン元副大統領首席補佐官が浮上している。

[アルメニア] 11月10日、アルメニアのパシニャン首相は、係争地ナゴルノカラバフをめぐるアゼルバイジャンとの紛争の終了に関する声明に署名し、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、ロシアのプーチン大統領と共に完全な停戦に合意したと発表した。一方、アリエフ大統領はこの停戦合意について、アルメニアの降伏であると主張。アルメニアの首都エレバンでは、停戦に反対する数千人が政府庁舎になだれ込み、オフィスを荒らしたり、窓ガラスを割ったりした。

[中国] 11月8日、新華社は、習近平国家主席が四川省とチベットを結ぶ川蔵鉄道の建設着工について、重要指示を出したと報道した。チベットに通じる2本目の鉄道路線となる。2018年に建設が決定され、新設される本線は延長1,011キロ、26駅が設置される予定で、投資総額は3,198億元を見込む。今後着工する部分は海抜が4千メートルを超え、プレート活動が活発であり、自然環境が厳しく、施工難度が非常に高い。チベットの経済発展を促進するだけでなく、国境の安全保障が中国側の重要な狙いであるとインドメディアは報じている。

[ミャンマー] 11月8日、2015年以来となる総選挙が行われた。与党NLDが連邦上下両院の単独過半数の議席(議会には国軍枠があるため、改選議席の3分の2(322議席)が必要)を維持できるかが焦点となる。9日、NLDの報道官は同党が322議席を獲得したと発表した。しかし、正式な結果判明には時間がかかるとみられる。

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