デイリー・アップデート

2020年11月25日 (水)

[パキスタン] 政府は、2019年7月に正式決定したIMFからの融資(約3年間にわたり計約60億ドル)の条件に対し中間所得層からの反発が起きることを懸念し、融資再開を躊躇している。10月にIMFのミッションが同国を訪問予定だったが、いまだ実現していない。IMF融資再開には電気料金の値上げ、税収増、利上げ(年初13.25%→6月に7%に利下げしていた)などが条件として挙げられているものの、政府ははこれら条件の実施に関し、コロナ禍で経済が低迷し税収が減少していることから難色を示している。

[ドイツ] Ifo経済研究所が公表した11月の景況感指数(2015年=100)は90.7となり、前月の92.5から低下した。低下は2か月連続。また、現状指数は90.0と前月の90.4から低下に転じた一方で、先行きの期待指数は91.5と2か月連続の低下となった。製造業は先行きにやや悲観しているものの、足元では堅調さをみせた。しかし、サービス業や商業などは現状・先行きともにやや悪化している。経済活動に対する制限措置の導入によって、先行きを不安視する動きが広がっている。

[日/中] 11月24日、王毅・中国外相が来日し、茂木外相と会談を行った。11月中に日中間の人の往来(ビジネス/レジデンス・トラック)を開始することで合意した。その他、「日中農水産物貿易協力メカニズム」の立ち上げや、東京オリンピック・北京冬季オリンピック成功のために協力していくことなどを確認した。米中関係が悪化している中、中国は日本との関係改善を重視しており、中国外交部HPの会談記録には、茂木外相からの尖閣諸島や香港問題に関する指摘は一切記されず、肯定的な合意内容のみ記述されている。

[UAE] 同国の商事会社法について、経済特区外での外資100%の現地法人設立を可能とするなど、外資にとってより魅力的な投資先となるような51項目にわたる改正が行われた。先日のイスラム法の緩和とともに、コロナ禍で低迷しているUAE経済に外国からの投資を呼び込むことが目的。現地法人設立にUAEローカルのパートナーが必要無くなったことで、コストを抑えられるとともに、会社経営の自由度が高まる。同改正法は6か月以内に施行される予定。

[米国] 11月3日に投票が行われた大統領選挙から3週間が経過したが、バイデン民主党候補の得票数が8,000万票を超えてトランプ大統領を600万票以上引き離し、得票率も51%となり、47%のトランプ氏との差を4ポイントに拡大したことが最新の集計結果により判明した。得票率差は21世紀に入ってから6度行われた大統領選挙の中では2008年のオバマ民主党候補の7ポイント差に次ぐ大差での勝利となっている。

[ロシア] 11月24日、ネット通販大手のオゾン(Ozon)は米国預託証券(ADS)を米ナスダックに上場した。総発行数3,300万株で、9.9億ドルの調達を目指す。ロシアの通販や電子商取引(EC)市場は急成長中。外出自粛期間中にECの利用者が新たに1,000万人増加した。

[ドイツ/英国/フランス] 11月23日に独・英・仏の外相がベルリンで、バイデン次期政権と「イラン核合意」の復活に向けた共同アプローチを協議した。次期政権との正式な協議はまだ開始されていないが、米国の「建設的な」アプローチがイランの核開発抑制に役立つことを「確信している」と欧州側の期待は高い。EUが調整役となって米国とイランの仲介をする案も出ている。

[台湾] 経済は好調。本年8~10月の輸出は単月300億ドル台を維持し、1~10月累計で2,803.1億ドルを達成、通期では過去最高を更新する見込み。台湾上場全企業の決算報告では、1~9月期の税引き後利益が1兆7,149億台湾ドルで前年同期比+10.8%、株価(台湾加権指数)も足元で過去最高水準まで上昇した。第3四半期の実質GDP成長率は同+3.33%、政府は本年通期のGDP成長率予測を同+2%前後に上方修正する可能性に言及。だが、1~10月の輸出総額の内、中国・香港向けが43.6%を占め、昨年の40.1%から増えていること、上記の上場企業の黒字のうち、半導体製造のTSMCの黒字が21.9%を占めることなど、偏りが見られる。

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