エチオピア/債務再編
デイリー・アップデート
2026年08月25日
8月20日、エチオピア財務省は、中国とフランスが共同議長を務める「公的債権者委員会(OCC)」が、10億ドルのユーロ債(国債)の返済条件について合意したと発表した。
2024年満期の同ユーロ債(クーポン利率:6.625%)の利息(3,300万ドル)の支払いを拒否したことにより、2023年12月に「債務不履行」に陥ったエチオピアは、「G20共通枠組み(注)」のもとで設立されたOCCと、ユーロ債の45%を保有する「債券保有者委員会」とともに、二国間債務およびユーロ債の債務再編を進めてきた。両債務の再編にあたり、OCCは、二国間債務もしくはユーロ債の債務再編の条件がどちらかに有利・不利にならないよう、G20共通枠組みが定める「取扱いの比較可能性の原則(principle of comparability of treatment)」が担保されるべきだと一貫して主張してきた。6月29日にエチオピア政府と債券保有者委員会がユーロ債の再編・返済に関する「暫定合意(AIP)」に至った後も、政府とOCCはこの「待遇の同等性」の評価を続けていた。
今回のOCCによる承認により、エチオピア政府はAIPで定めた条件に沿ってユーロ債の返済を行うことが可能になる。AIPでは、発行済みのユーロ債は10億ドルから8.8億ドルの新債権に割引(ヘアカット)され、2026年7月15日から2029年7月15日にかけて4回に分けて、1回あたり1~3億ドルの元本を返済するスケジュールとなっていたが、OCCの承認に時間を要したため、当初案より後ろにずれ込むとみられる。また、エチオピアは未払いの利息(9,940万ドル)や、新債権にかかる利息(6.15%)のほか、既存の債券保有者に対して、将来エチオピアが発行するユーロ債(最大10億ドル)を購入する権利を与える「ニュー・マネー・ワラント」を提示している。しかし、OCCは同新規金融商品に関しては民間債権者に過度な利益をもたらす可能性があるとして警戒しており、これまで二国間で合意している二国間債務の再編条件を見直す可能性があると言及している。
エチオピアは引き続き二国間での債務再編に関する協定締結を完了させる必要があるが、今回のOCCの承認に伴うユーロ債保有者への未払い利息や元本支払いの開始は、市場からの信頼回復に向けた大きな一歩となりうる。現在、格付け大手2社は同国の外貨建て国債の格付けを「選択的デフォルト」としているが、引き上げが行われれば、対外資金調達はさらに容易になるだろう。
他方で、エチオピア北部ティグライ州では、エチオピア国防軍(EDF)とみられる軍事組織によるドローン攻撃が8月に入ってから散発している。同州で民間人十数人が死亡したことを受け、「ティグライ人民解放戦線(TPLF)」は8月21日に政府による攻撃を非難する声明を出すなど、国内では治安悪化への懸念が再び高まりつつある。(国際部 髙橋史)
(注)低所得の債務問題を解決するためにG20とパリクラブらが共同で合意した債務再編のルール
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