EU/対中関係
デイリー・アップデート
2026年10月09日
(1)概要
シェフチョヴィチ欧州委員(通商・経済安全保障担当)は10月8日、北京で中国の王文濤商務相と2日間の協議を開始した。この協議は、6月に開始した貿易関係の再均衡化に向けた取組の最終ラウンドと位置付けられている。協議では、1日10億ユーロ超に達するEUの対中物品貿易赤字と、中国によるレアアースなどの重要鉱物の輸出規制が扱われる。中国の対EU貿易黒字は2025年に3,606億ユーロ(前年比15%増)となり、2026年上半期にはさらに9%拡大した。
(2)EUの要求と交渉状況
協議の焦点は自動車である。8月にEU域内で購入された車の8台に1台が中国車であり、主な要因はプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売増加とされる。EUは、PHEVを中心に何らかの輸出抑制を約束するよう中国に求めている。中国製バッテリー電気自動車(BEV)は2024年から相殺関税の対象となっているが、PHEVは現状対象外である。欧州委員会は、中国から意味のある約束が得られない場合には一方的な措置を講じると警告している。自動車については、輸入割当と関税を組み合わせたセーフガード措置を検討している。また、セジュルネ欧州委員は、加盟国からの要請を条件として、プラスチックおよび複合材料に対象を絞ったセーフガード措置を導入する計画を明らかにした。
(3)EU内の動き
独仏首脳は10月5日付のフォンデアライエン委員長宛て共同書簡で、既存の貿易防衛手段はもはや十分ではないと指摘した。その上で、①依存を減らすための多様化手段、②域内市場に深刻かつ組織的な歪みをもたらす第三国に対し、逆特定多数決で発動し、必要であれば域内市場から即時に遮断することまで可能とする手段の創設を求めた。この手段は特定の国を対象としないものとされている。欧州委員会は、この書簡を歓迎すると表明している。欧州議会は10月7日、EU・中国の政治関係に関する勧告を賛成454、反対86、棄権110で採択した。勧告は、中国の不公正な経済慣行と、ロシアによるウクライナ侵略戦争への中国の立場により、二国間関係が危機的な局面に達したとしている。また、中国軍がロシア軍要員を訓練したとの報告に深い懸念を表明した。
(4)今後
EU首脳は、15日から始まる欧州理事会で北京協議の結果を点検し、次の対応を検討する。報道では、対中通商関係への対応がこの首脳会合の議題の筆頭であると報じている。一方、コスタ議長の招集状は中国を名指ししておらず、世界的なマクロ経済不均衡の是正に向けた作業について指針を示すと記載している。また、EPRSは議題の第一項目を競争力としている。(国際部 濱嵜隆吏)
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