デイリー・アップデート

2022年1月5日 (水)

[中東] 米ユーラシアグループが今年年初に発表した2022年のトップ10リスクに、中東からはイランとトルコが入った。イランについては、核合意(JCPOA)再建交渉を行いながらも核開発を進めるイランに対してイスラエルが攻撃を実行し、両国の衝突が激化して中東情勢が不安定化するリスクを指摘。トルコについては、歴史的なインフレや脆弱で不安定な通貨による経済悪化でエルドアン大統領の支持率が低下しており、今後経済問題から国民の目をそらすため外交攻勢に出る可能性や早期選挙を実施する可能性を指摘している。

[ウクライナ] 大規模なロシア軍部隊がウクライナとの国境沿いに配置されウクライナ侵攻が懸念される中、12月30日に米ロ電話首脳会談が実施された。1月9日の週にジュネーブで米ロ戦略安定化対話、NATO・ロシア理事会、欧州安全保障協力機構(OSCE)といった協議体を通じて関係国がウクライナ情勢に関する協議を実施予定。ロシア政府はウクライナやジョージアのNATO加盟によるNATOの東方拡大を行わないよう安全保障上の保証をバイデン政権に対して要求している。

[ベトナム] 2021年12月29日、国家統計総局(GSO)は、2021年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前年同期比+5.22%だったと発表した。新型コロナウイルス流行第4波に伴うロックダウンが10月以降全国で解除され、第3四半期の▲6.02%からV字回復したものの、2021年通年の実質GDP成長率は+2.58%と2020年通年の+2.91%より伸びが低下した。統計を遡るとこれまでで最も低かったのは対外開放政策ドイモイが始まった1986年の+2.8%。

[米国] 供給管理協会(ISM)の製造業景気指数(PMI)は12月に58.7となり、11月の61.1から低下した。引き続き需要が底堅い一方で、人手不足や供給網の問題が継続している。内訳をみると、価格指数や入荷遅延指数が前月から大幅に低下した。これらの指数の低下は、一般的には需要の減速を示唆するものの、供給網のボトルネックの問題に直面している目下の局面では、それらの緩和の兆しと受けとめられている。

[中国] 武漢のロックダウン以来、最大規模のロックダウンを行っている西安市では、日用品や食料の配送をめぐる混乱や、当局の過剰な反応に人々の不満が募っている。感染者数は減少してきているが、劉国中・陝西省共産党委員会書記は厳格な感染症対策を継続するよう指示した。また人口130万の河南省禹州市も無症状感染者3名が確認され、1月3日からロックダウンに入った。北京冬季オリンピック開催まで1か月を切り、今後規制がさらに厳しくなることが懸念される。

[中国] 小中学生向け学習塾に対する規制実施以降、各地で政府指導価格が導入され、最も高額な北京市、上海市でも、オフラインのクラスで1コマ(45分)当たり80元(10人以下のクラス)、同60元(10~35人)などと規定されたが、学習塾の正常な運営自体が難しいとの指摘もある。昨年12月までに全国でオフラインの学習塾数は83.8%、オンラインは84.1%それぞれ減少、南通市では学習塾がゼロとなり、指導価格があっても市場がない状況も発生。音楽、体育など規制対象外のカリキュラムでは価格が高騰し、監督強化の要請も出ている。1月4日付「財新網」が伝えた。

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