デイリー・アップデート

2026年6月29日 (月)

[ロシア/政権与党「統一ロシア」が党大会を開始] 

6月28日、ロシア政権与党「統一ロシア」は、2026年9月の国家院選挙(下院選挙)を見据えモスクワで党大会を開催した。会場では「統一ロシアは大統領の党」と明示され、プーチン大統領との結束を改めて強調し、演説では国民の団結と対ウクライナ作戦の継続に向けた党の役割を強く求めた。今回の選挙は比例代表と小選挙区(全450議席)で行われる予定で、「統一ロシア」の連邦リストの「トップ5」にはラブロフ外相、ソビャニン・モスクワ市長、従軍記者ポドドゥブニ、児童権利担当リヴォワ=ベロワ、青年軍組織長ゴロビンが起用され、安全保障・対外政策・愛国色を前面に押し出した布陣となった。地方名簿は57グループに編成され、多くを知事が率いることで各地域での支持上積みを狙う構造となる。今回の候補構成は「戦時下選挙」を強く意識し、主権防衛や愛国動員、伝統的価値の訴求を軸に支持固めを図る戦略が鮮明である。また、選挙は事実上、戦時体制への信任投票と位置づけられ、反体制派排除や情報統制を背景に支持固めが進む。加えてロシアが一方的に併合したウクライナ東・南部4州でも選挙実施が予定され、治安機関に厳戒体制が指示されている。

[セルビア内政] 

セルビアのヴチッチ大統領は、数週間以内に大統領職を辞任し、早期に大統領選挙および議会選挙を実施すると発表。ヴチッチ氏は現在2期目で、本来の任期は2027年半ばまでの予定だった(大統領の3選は禁止)。

 

同氏は辞任後、自身が率いる右派の与党・セルビア進歩党(SNS)の選挙活動を支援すると発言した。 今回の突然の辞任発表の背景には、1年半にわたって続く学生主導の反政府・反腐敗デモの存在がある。同抗議活動は、2024年11月に北部の都市ノビサドで発生した駅のコンクリート屋根崩落事故(16人が死亡)をきっかけに開始したものであり、デモ隊や野党は、事故の根本的な原因は政府の汚職とインフラ建設における怠慢であると激しく非難し、早期の議会選挙を強く要求してきた。

 

ヴチッチ大統領の辞任が政界からの引退を意味するものではないとも見られている。大統領職を辞任後、大統領よりも実質的な権限が強いとされる首相の座に復帰するか、後任大統領に引き続き権力を行使し続ける可能性がある。ヴチッチ氏自身も過去のインタビューで、首相への復帰や政治活動継続の可能性を排除していない。

 

ヴチッチ氏は、学生らの抗議活動を「外国勢力に操られている」と批判しつつ、選挙に向けて汚職の撲滅、年金の増額、医療制度の改善などを公約に掲げている。外交面では、EU加盟への道を進めながらも、ロシアや中国との伝統的な関係を維持するという難しい舵取りを継続する方針とみられる。

 

これに対し、野党や学生運動側はヴチッチ政権下での暴力、深刻な汚職、組織犯罪との癒着、メディアの自由の抑圧などを非難しており、次期選挙でヴチッチ氏と与党SNSに真っ向から挑戦する姿勢を示している。最近の世論調査では、与党SNSの支持率が約47%であるのに対し、学生運動の支持率は約31%となっており、今後の選挙戦の激化が予想される。

[米国・イラン/ホルムズ海峡で再度攻撃の応酬] 

6月25日から28日にかけて、ホルムズ海峡では軍事的緊張が再燃した。発端は、25日にホルムズ海峡を航行する商船に対してイランによるものとみられる攻撃が起こったことだった。翌26日にも別の貨物船が攻撃を受け、米軍はドローン3機を撃墜するとともに、報復としてイラン国内のミサイル・ドローン保管施設やレーダー施設を空爆した。さらに27日には、イランの革命防衛隊(IRGC)が200万バレルの原油を積載したパナマ船籍タンカーを攻撃したほか、バーレーンに対しても複数のドローン攻撃を実施した。これに対し米軍は、イラン国内の通信施設、防空拠点、監視インフラ、ドローン保管施設、機雷敷設能力など複数の軍事施設を攻撃した。28日未明には、IRGCが「断固たる報復」としてクウェート、バーレーンの米軍施設8か所をミサイル・ドローンで攻撃し、双方の応酬は停戦後初めて本格的な軍事衝突へ発展した。

 

背景には、ホルムズ海峡の航行管理を巡る対立がある。イランは指定した航路のみ通航を認める方針を打ち出し、海峡管理の主導権確立を目指しているとみられる。28日にアラグチ外相は、イランが今後30日間、この重要な水路の単独管理と監督を行い、その後、交通の全面再開を許可すると述べた。米国は、イランによる商船攻撃を停戦合意違反として強く非難した。先週のスイスにおける協議では、ホルムズ海峡での問題発生を回避するための緊急連絡用ホットラインを設置することで合意していたが、今回の衝突時点では運用が開始されておらず、危機管理体制の不備も露呈した。

 

その後、28日には米イラン双方が追加攻撃の停止で合意し、ホルムズ海峡の自由航行を維持しながら実務者協議を継続する方針を確認した。当初30日にスイスで予定されていた核問題を中心とする実務者協議は、情勢悪化を受けてカタール・ドーハへ変更され、議題もホルムズ海峡における衝突回避や航行管理が中心となる見通しである。最終合意に向けた60日間の交渉は継続されるものの、停戦体制は依然として極めて不安定な状況にある。

 

一方、レバノン情勢でも不透明感が残る。米国の仲介によりイスラエルとレバノンは和平に向けた枠組み合意に達したものの、イスラエル軍の撤退範囲や時期を巡る対立から交渉は難航した。トランプ政権はルビオ国務長官らが両首脳と度重なる電話協議を行い、最終合意を取りまとめたが、ネタニヤフ首相は「ヒズボラの武装解除まで緩衝地帯を維持する」との姿勢を崩しておらず、合意が着実に履行されるかはなお予断を許さない。ホルムズ海峡とレバノンという二つの火種を抱えたまま、停戦から恒久的な地域安定へ移行できるかが今後の焦点となっている。

[ブルキナファソ・フランス/外交断絶] 

6月26日、ブルキナファソ政府はフランスとの外交関係を断絶したと発表した。同政府は、フランスが「破壊活動を行うネットワークやテロリストを絶えず支援し、新植民地主義的な野心を抱いている」と主張している。これに対してフランス政府は「敵対的かつ根拠のない決定を遺憾に思う」と一蹴し、「対応を検討している」との声明を出している。

 

旧フランス植民地のブルキナファソは、イスラム系過激派組織の拡大による治安悪化を受け、2022年に軍主導のクーデターが発生。暫定大統領に就任したイブラヒム・トラオレ元大尉はフランスへの敵対姿勢を強め、イスラム過激派対策(バルカンヌ作戦)のために駐留していたフランス軍を撤退させた。その後は、同時期にクーデターが起きたマリ、ニジェールと3か国で「サヘル諸国同盟(AES)」を結成して軍事的連帯を強めるとともに、西側諸国と緊密な「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」から脱退。安全保障面ではロシアやトルコ、中国などから協力を得ている。

 

こうしたブルキナファソのフランスに対する厳しい姿勢から、2023年1月以降、フランスはブルキナファソに大使を派遣しておらず、外交的にはすでに断絶状態にあった。このタイミングでブルキナファソ政府が「公式」に外交関係断絶を発表した背景には、6月18日に欧州議会で「ブルキナファソにおける市民社会の活動空間と基本的自由に対する継続的な弾圧」の決議案が賛成多数で採択されたことがある(6月27日付、Le Monde)。同決議はフランスの元将軍であるクリストフ・ゴマールEU議員が主導。EUとしてブルキナファソの軍事政権が人権侵害を繰り返していることを強く非難する内容に対し、ブルキナファソは「EUは安全保障上の現実を理解していない」と強く抗議していた。

 

他方で、ブルキナファソの専門家の中には、軍事政権がアルカイダ系武装組織「JNIM」や、イスラム国系武装組織「ISSP」らの攻撃に苦戦していることから、国民の結束と民衆の支持を維持するために、いわゆる「陰謀」に立ち向かう姿勢を示すことが不可欠との見方もある(6月27日、RFI)。特にトラオレ大統領は就任直後からフランス非難を続けていたことから、国民に対して「一貫性」を示す必要があったとの指摘もある。そのため、今回の外交断絶の発表はこれまでの二国間の経済や往来に影響するものではないとの見方が強い。実際に、ブルキナファソ政府も声明において「両国の歴史的、人的、文化的絆は変わらない」と述べている。

[ボリビア/ドルペックの廃止] 

2026年6月26日、ボリビア政府は約15年間維持してきた米ドルとの固定相場制を廃止し、中央銀行が介入する管理変動相場制へ移行した。これにより公式為替レートは従来の1ドル=約6.96ボリビアーノから9.73ボリビアーノへ切り下げられ、実質的に約30%の通貨下落となった。この決定は、長年の固定レートが実態とかけ離れていた状況を修正するための措置となっている。

 

背景には深刻な外貨不足がある。ボリビアはかつて天然ガス輸出で外貨を稼いでいたが、そのブームが終わると外貨準備が急減したにもかかわらず、政府は固定レートを維持し続けた。その結果、公式市場ではドルが極端に不足し、闇市場では1ドル=20ボリビアーノ近くまで通貨が下落するなど、為替の二重構造が生じた。今回の制度変更は、このゆがみを是正し、為替市場を正常化することが主な目的であると同時に、中央銀行が無理にドルを供給する必要を減らし、外貨準備の消耗を防ぐ狙いや、IMFとの金融支援交渉を前進させるための条件整備という側面もある。

 

新しい為替制度のもとでは、公式レートが市場実勢に近づいたことで、公式レートと闇市場レートの差は縮小し、短期的には混乱の沈静化が期待される。一方で中長期的な安定は、IMFからの資金支援や外貨準備の回復に依存する。もしインフレが抑えられなければ、通貨のさらなる下落が続く可能性も否定できない。

 

国内経済への影響として最も懸念されるのはインフレの加速である。ボリビアは燃料や食料、医薬品などを輸入に頼っているため、通貨安は輸入価格の上昇を通じて物価全体を押し上げる。これまで低い公式レートでドルを調達していた企業ほどコスト増の影響は大きく、生活費の上昇は国内の不満を高める要因となる。一方で、為替制度の正常化により財政運営は改善する可能性がある。無理な為替介入が不要となり、IMFからの資金支援が実現すれば、財政破綻リスクは低下し、金融システムの安定にもつながると考えられる。

 

対外経済では、通貨安は輸出に追い風となる。農業や鉱業などの主要輸出産業は国際市場での価格競争力が高まり、輸出拡大が期待される。一方、輸入はコスト上昇により縮小圧力がかかり、特に原材料や機械に依存する製造業では生産への影響が懸念される。また、外資については長年低迷していたが、今回の政策転換は市場原理への回帰を示すものであり、中長期的には投資環境の改善として評価される可能性もある。

 

国際的には、IMFや海外投資家から今回の決定は肯定的に受け止められている。現実とかけ離れた固定相場を維持するよりも、市場に近いレートへ移行したことが経済正常化への一歩と評価されているためである。しかし国内では状況が大きく異なる。すでに2026年5月頃から補助金削減や、IMF関与への警戒、生活費上昇への不安を背景に大規模な抗議活動が発生している。政府の緊急事態宣言により、一旦は落ち着きを見せていたが、今回の通貨切り下げによりインフレ懸念が現実化したことで、デモの激化と長期化の可能性も高まってきた。

[欧米/期待インフレ率] 

米ミシガン大学の「消費者調査」によると、1年先の期待インフレ率は4.6%であり、5月(4.8%)から低下した。ただし、中東紛争が始まった前の2月(3.4%)の水準を依然として上回っている。また、5年先の期待インフレ率は3.4%であり、5月(3.9%)から鈍化、2月(3.3%)並みまで低下した。短期の期待インフレ率は、中東紛争前の2月よりも上振れている一方で、中期の期待インフレ率は2月近くまで低下しており、安定しつつあることが確認できた。

 

なお、全米自動車協会(AAA)によると、レギュラーガソリン(平均)は5月11日に1ガロンあたり4.5ドルまで上昇した後、直近6月22日には3.914ドルと3月30日以来の4ドル割れになった。2月末には3ドル前後であり、それよりも高水準にあるものの、一時に比べて低下している。期待インフレ率は、ガソリン価格と歩調を合わせていることもうかがえる。

 

欧州中央銀行(ECB)の5月の「消費者期待調査」によると、1年先の期待インフレ率は3.5%となり、4月(4.0%)から低下した。中東紛争前の2月の2.5%から3~4月のともに4.0%へ上昇した後、低下した。ただし、2月に比べて1ポイント高い状態にある。また、3年先の期待インフレ率は2.9%で、4月から横ばい。2月の2.5%から3月の3.0%へ上昇してから高止まりしている。5年先の期待インフレ率は2.4%で、3月以降横ばい、2月まで2.3%であり、やや上昇した。短期の期待インフレ率が低下しており、中期の期待インフレ率は横ばいとなった。ECBは、期待インフレ率の上昇など物価上昇を巡る二次効果を警戒している中、今回の結果はその警戒を過度に高まらせる内容ではなかった。

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