デイリー・アップデート

2020年5月8日 (金)

[日/中/越] 台湾の国防安全研究院が昨今の中国艦船の行動に関し以下の分析を公表。①3月30日、東シナ海での日本海自・護衛艦と中国漁船の衝突:公海上だが護衛艦が中国海軍艦隊本部のある寧波に接近していたため、中国海軍が大型「漁船」を差し向け衝突させ追い払ったとみられる。 ②4月2日、南シナ海で中国海警船がベトナム漁船に衝突し沈没させた事件: 南沙・中沙・西沙諸島を管轄する三沙市の政府所在地でJ-10戦闘機を配備済みのウッディー(永興)島への越漁船の接近を嫌気し、日米との安全保障関係を強化する越に強硬な態度を示したとみられる。

[中国] 復旦大学附属華山病院感染科主任の張文宏医師は、米・欧で新型コロナウイルス制御が不完全なうちに早くも経済社会活動を再開しようとする動きが出ていることに対し、「結果として感染症流行が夏までに落ち着く可能性は完全に消滅し、これらの国々で流行第2波の可能性が高まるのみならず、ほぼ感染を制御できている中国や韓国も大きな圧力を受ける」と論評。今後3~6か月ほどの間に、国外からの入国者に対する検査制度や追跡システムを確立し、今後も感染不拡大のための公衆衛生システム強化を続けるほか、診断、治療、ワクチンなどの研究開発に一層力を入れていく必要があると指摘。

[米/サウジアラビア] 米政府は、昨年9月のサウジアラムコ施設への攻撃などを機に、サウジに対してパトリオット迎撃ミサイルやジェット戦闘機部隊での軍備増強に加え兵員数百名の増派を行ってきたが、このたび米権益に対するイランの脅威が収まったとして、パトリオットなどの軍備をサウジから移転させる旨発表した。中国の軍事的脅威が高まるアジアなどに再配置する意向。米国防総省は、今後ペルシャ湾岸に駐留する海軍のプレゼンスも低減させていく方針を発表している。

[フィリピン] 5月7日、フィリピン統計庁(PSA)は、2020年第1四半期の実質GDP成長率が前年同期比▲0.2%だったと発表した。アジア通貨危機後の1998年第4四半期以来、約21年ぶりのマイナス成長となった。政府が新型コロナウイルス対策として3月17日から北部ルソン島全域で外出・移動制限措置を実施し、経済活動が停滞したことが響いた。特にGDPの約7割を占める個人消費は振るわず前年同期比+0.2%と前期の+5.7%から伸び率が大幅に減少した。外出・移動制限措置に加え、1月に発生した首都マニラ南方のタール火山噴火も経済活動に影響した。

[日本] 総務省『家計調査』によると、3月の実質消費支出は前年同月比▲6.0%と、6か月連続でマイナスとなった。消費項目の内訳をみると、外出自粛や巣ごもり需要など、消費行動の変化がみられる。今後、段階的に現在の措置が緩和されていく中で、元に戻る消費と、縮小したまま継続していく消費があり、それらがサプライチェーンや産業構造などを変化させていくと考えられる。

[ポーランド] 5月10日に予定されていた大統領選挙は新型コロナウイルスの流行を受け、延期が決まった。与党PiS出身の現職ドゥダ大統領は最新の世論調査で他候補を引き離しているため、同党は新型コロナウイルス流行下でも選挙の決行を最後まで模索していた。しかし野党から猛烈な反対などがあったため、選挙は今年の7-8月ごろまで延期することとなった。

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