デイリー・アップデート

2020年5月11日 (月)

[米国] 米労働省が発表した雇用統計によると、4月の非農業部門雇用者数は前月から2,050万人の減少となり、減少幅は過去最大となった。また、失業率は14.7%まで上昇した。ただし、調査時点が月末ではないため、5月の雇用統計では一段と悪化する可能性が高い。一方、平均時給は前年同月比+7.9%となった。これは、比較的低賃金の労働者が職を離れた影響が大きく、通常の賃金上昇とは内容が異なっている。

[日/中] 5月9日夜、中国海警局所属の公船2隻が、尖閣諸島周辺の日本領海に侵入し、魚釣島沖で操業していた日本の漁船に接近した。海警公船による領海侵入は3日連続。海上保安庁は巡視船を配備し、中国公船に領海から退去するよう警告した。公船は10日夜に領海を出たが、日本による実効支配を覆すため、中国側が行動を徐々にエスカレートさせているとして日本側は警戒を強めている。

[イラク] ようやく首相が決まり半年間の政府不在から抜け出したイラクにおいて、民衆デモが再発している。デモは昨年10月に始まり、新型コロナの感染拡大阻止のため外出禁止令が出されたことで、3月中旬以降は収まっていたが、外出禁止の緩和とともに5月10日からデモが再開された。カーゼミー新首相は就任後初めてのTV会見で、昨年からのデモの逮捕者の釈放と、デモに対する弾圧などで亡くなった600人ともいわれる死者に対して今後きちんと補償する旨を発表した。

[ミャンマー] ミャンマー統計局は、3月の消費者物価指数(CPI、2012年=100)が前年同月比+6.61%だったと発表。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、+6%台にまで低下したのは2019年2月以来13カ月ぶりとなった。特に「交通」は▲4.88%で、前月の+4.89%からマイナスに転落した。CPIの構成比の6割を占める「食品」は、2月の+6.01%から、3月は+4.83%となり上昇幅が縮小した。

[EU] 5月8日、欧州委員会は新型コロナウイルス感染に関連し、欧州議会・理事会に対して、EU域外から域内(シェンゲン国を含む30か国)への不要不急の移動制限の期限を現在の5月15日から6月15日まで再延長するよう提案した。長期滞在者や運送・医療関係者などは対象外とされる。渡航制限は3月に初めて導入され、4月8日に5月15日までの延長が決定されていた。

[中国] 5月9日、銀行保険監督管理委員会(銀監会)は、農業銀行(430万元)、工商銀行(270万元)、中国銀行(同左)など8行(括弧内は個別の罰金額)に対し、総額1,970万元(約3億円)に上る9通の罰金通知書を公布した。罰金の理由となった違反・違法行為は、銀監会が金融機関のモニタリング強化のため各行に提出を義務付けている「監督・管理標準化データ(EAST)システム」のデータの欠落、捏造、誤りなどがほとんど。中国の銀行業界では、最近、中国銀行の原油先物取引(原油宝)事件、中信銀行が個人データを勝手に他人に開示した事件など、問題が頻発している。

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