デイリー・アップデート

2020年6月1日 (月)

[日本] 財務省『法人企業統計』によると、2020年Q1の全産業(金融・保険業を除く)の売上高は前年同期比▲3.5%と、3四半期連続の減収となった。特に、非製造業の減収が目立った。また、経常利益は同▲32.0%と、4四半期連続の減益となった。製造業・非製造業とも幅広い産業で減益だった。一方で、短期借入金(+11.9%)や社債(+18.7%)を通じて、現預金(+1.3%)など、手元資金を厚くする動きがみられた。

[EU/中国] 5月29日に行われたEU外相会合(TV会議)の記者会見でボレル上級代表が、「中国による『香港国家安全法』導入は一国二制度が阻害される重大なリスクであり、香港の自治は弱体化された」との見解を発表。ただし、中国に対し制裁措置を取ることは「EUと中国の問題を解決しない」として、「EUは今後もオープンで誠実な対話を行う準備がある」と強調している。

[インド] 2020年1-3月期(2019/20年度第4四半期)の実質GDP成長率は前年同期比+3.1%だった。マイナス成長に陥るとの見方が有力だったが、政府支出と農業が支えになり、予想よりも落ち込みが抑えられた。2019/20年度(2019年4月-2020年3月)通年の実質GDP成長率は前年比+4.2%となった。2008/09年度以来、11年ぶりの低水準。2020年4-6月期は、ロックダウンの影響により、大幅なマイナス成長が予想される。

[イラン] 5月27日にイランの第11期国会が開幕し、翌28日には元テヘラン市長のガーリバーフ氏が議長に選出された。同氏はイラン・イラク戦争に革命防衛隊(IRGC)隊員として参戦、1997年にはIRGC空軍司令官、2000年には治安維持軍司令官となり、2005年から2017年まではテヘラン市長を歴任。これまでに3度大統領選に立候補した保守派の政治家である。ライーシ司法長官とともに、3権のうち2権の長を保守派が占めたことで、今後ロウハニ大統領の影響力の弱体化と、イランの対米姿勢硬化が懸念される。

[米/中] 香港での反体制活動に「国家安全法制」を適用して取り締まる方針が全人代で採決されたことを受けて、5月31日にテレビ出演したポンぺオ国務長官は「中国政府指導部は香港への支配の一層の強化を追求することで、香港の自主性の確保という約束を反故にしたため、米国は香港に対して特別優遇措置を適用し続ける根拠はなくなった」と説明。さらに、同長官は「中国共産党は欧米の考え方、民主主義、価値観を破壊しようとしている」と中国共産党批判を展開した。

[中国] 国家統計局が5月31日に発表した5月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.6と4月の50.8から低下した。一方、5月の非製造業PMIは53.6と4月の53.2から上昇。5月の新規輸出受注指数は4月の33.5から35.3に上昇したが、製造業の雇用指数は4月の50.2から49.4に低下。財新/マークイットが発表した5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.7と、前月の49.4から上昇した。

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