デイリー・アップデート

2020年6月25日 (木)

[米国] 8月17日から24日までバイデン前副大統領を民主党大統領候補に正式に擁立する民主党全国党大会がウィスコンシン州ミルウォーキーで開催されるが、民主党全国委員会(DNC)は各州選出の代議員をミルウォーキーには移動させずに、全国党大会での殆どのイベントをオンライン上で行うことを本日(米国時間24日)決定した。新型コロナウイルスの感染リスクは民主党全国党大会の開催形態にも多大な影響を及ぼしている。

[世界経済] 6月24日、国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)を発表。2020年の世界全体の経済成長率を▲4.9%と前回4月時点の▲3.0%から下方修正した。コロナ禍が投資・消費に影響し経済的損失が想像以上に深刻化していることを考慮した。2021年はプラス5.4%に急回復する見通しだが、第2波のリスクなどから不確実性は高いと警告。世界の公的債務残高は、2020年にGDP比で101%にまで達し第2次世界大戦直後の水準を超え過去最大になる見込み。新興・途上国は▲3.0%と、統計がある1980年以降で初めてのマイナス成長となる。

[ドイツ] Ifo経済研究所が発表した6月の景況感指数は86.2となり、前月(79.7)から上昇した。この上昇幅は過去最大。経済活動の再開によって期待先行のみだった前月から、企業の現状判断がやや改善するなど、サービス業を中心に、期待とともに実体を伴いつつある状態になったといえる。同研究所は「ドイツのビジネスがトンネルの終わりに光を見ている」と総括しており、企業が先行きへの期待を膨らませている状況を示している。

[中国/ケニア] 一帯一路プロジェクトのひとつとして建設され、2017年に運行を開始したケニア標準軌鉄道(モンバサ~ケニア)について、ケニア控訴裁判所はケニア政府と中国路橋工程との契約は違法であるという判決を下した。先に上級裁判所は「調達過程がケニア法に違反している」という原告団の訴えを退けていたが、控訴裁がそれを覆した形。中国輸出入銀行は鉄道建設のために32億ドルを融資している。SCMP紙は「ケニア政府は、この判決を理由に負債返済の免除を求めるかもしれない」という見立てとともに報じている。

[イスラエル/パレスチナ] 6月24日、イスラエルが7月から開始すると宣言しているヨルダン川西岸の一部併合計画について、国連安保理で話し合われた。グテーレス国連事務総長は、西岸の併合は重大な国際法違反で2国家解決案に深刻な打撃を与えるとして、計画の中止をイスラエルに要求。アラブ連盟のアブルゲイト事務総長も、世界的な宗教戦争が起こる懸念に言及した。安保理メンバーである15か国中、米国を除いた14か国がイスラエルによる併合に反対を表明。

[米国] 6月24日、オブライエン大統領補佐官(国家安保担当)は演説を行い「中国が経済発展を遂げれば、より自由で民主的な国家になる」との想定の下に展開されてきた従来の対中政策は間違いだったと指摘。米国の主権を侵そうとする中国の試みに対し、米国が受け身の姿勢で臨む時代は終わったと発言した。オブライエン補佐官は、11月の大統領選における激戦州の一つと想定されているアリゾナ州にて演説した。今後、政権高官による対中政策演説が続くとの報道がある。

[ポーランド] 6月28日投票のポーランド大統領選に向け、現職のドゥダ氏(48)を野党候補が激しく追い上げているため、7月12日予定の上位2人による決選投票にもつれ込みそうである。一方、再選を狙うドゥダ大統領は6月24日、米・ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談し、米国とのパイプの太さを誇示し支持拡大に結びつけたい考えを見せた。会談後、共同声明を発表し、防衛やエネルギーなど幅広い分野で協力を深化させると表明した。また、トランプ大統領は削減方針を決めたドイツ駐留米軍について、一部をポーランドへ再配置する考えを示した。

[EU] 6月24日、欧州委員会は、5月に提案した次期EU予算(MFF2021-2027)ならびにコロナウイルス復興基金案に基づく2021年予算案を発表。ただし、首脳レベルの承認がないことから今後変更される可能性がある。 ハーン委員(予算担当)が「異例な事態に対する前例のない支援の賜物」とコメントしているように、2021年の1年間でEU予算から約1,667億ユーロ、復興基金から約3,440億ユーロの大規模な支出が見込まれている。

[中国] 青海省投資集団有限公司およびその子会社16社(以下、青海省投)が地方裁判所から破産・再編の裁定を受けたことが、6月22日明らかになった。西寧市中級人民法院は「青海省投は既に期限の到来した債務の返済が不可能であり、資産も返済には不足している」と判断、債権者による破産・再編の申請を受理した。同社は、直接・間接に青海省国有資産監督管理委員会が8割の持ち分を保有する、地方政府の国有企業で、電解アルミの製販、売電、炭鉱などが本業。現時点の負債総額は未詳だが、2019年6月末時点で623億元。昨年あたりから事業を次々に停止していた。

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