デイリー・アップデート

2020年11月4日 (水)

[米国] 供給管理協会(ISM)が公表した10月の製造業総合景況指数は59.3となり、前月の55.4から上昇した。6月以降5か月連続で50を上回っており、製造業の堅調な回復がうかがえる内容。また、内訳をみると、新規受注は67.9と前月から7.7pt増加するなど、先行きの増産も想定される。雇用指数も3.6pt上昇して53.2と50を上回った。コメントから、売上や受注の増加が継続している様子がみられる。

[オーストラリア] 11月3日、豪州連邦準備銀(RBA)は政策金利(オフィシャル・キャッシュレート)を0.25%から0.1%に引き下げると発表した。利下げは3月以来。量的緩和の国債買い入れについては、今後6か月間、1,000億豪ドル(約7.4兆円)に規模を拡大して実施するとした。

[オマーン] 財務省は2024年までの中期財政均衡計画を発表し、その中で2022年から高所得者層に対して所得税を導入する意向を示した。アラブ湾岸諸国では、サウジ、UAE、バーレーンが2018年以降、順次付加価値税(VAT)を導入してきたが、所得税の導入はオマーンが初めてとなる。油価低迷とコロナ禍で財政が厳しいオマーン政府は、支出削減や対外借り入れなどを行ってきており、2021年4月にはVATの導入も予定している。油価は今後も低迷が予想されており、湾岸諸国経済にとっては厳しい局面が続く。

[中国] 中国国家統計局と中国物流購買連合会が10月31日に発表した10月の製造業購買担当者指数(PMI)は51.4、前月の51.5から下落したものの、活動拡大・縮小の節目である50を8か月連続で上回った。財新/マークイットが11月2日に発表した10月の製造業PMIは53.6と、前月の53.0から上昇。両方の製造業PMIの平均はここ9年で最も高い水準となった。10月の製造業の回復が力強いことを示唆している。国家統計局と物流購買連合会が同日発表した10月の非製造業PMIは56.2と、前月の55.9から上昇。

[ウクライナ] 国内における汚職を専門的に裁く独立機関である「国家汚職防止庁」を巡り、ゼレンスキー大統領とウクライナ憲法裁判所が現在、激しい対立を繰り広げている。憲法裁判所は先週、2016年から義務化された公務員の資産に対する電子申告制度が違憲であるとの判決を下した。これにより「汚職防止庁」は今後、政府高官が誤った資産申告を行った際、直ちに罰金・罰則を賦課することが出来なくなる。ゼレンスキー大統領は、当該判決は「汚職との闘い」の妨げになると反発し、憲法裁判所判事の総辞職を呼びかけている。

[EU] コロナウイルス復興基金(NGEU)の中で一番重要かつ緊急性が高いRecovery and Resilience Facility(RRF)の融資・補助金の支給条件に関し、欧州議会の4大政党グループが合意した。欧州委員会・理事会が求める成長可能性などのRRF計画書提出は緊急時における対応の遅延を招くとして、条件の緩和を求めている。さらに、RRF計画書を提出した時点で受取総額の20%を支給するという事前融資制度も提案する予定。

[中国] 11月3日、中国共産党は第14次5か年計画と2035年までの長期目標の草案を発表した。2035年までに一人当たりGDPが中程度の先進国レベルに達するようにし、格差を縮小するとしている。また、「科学技術の自立自強」を発展の戦略的支えとし、核心的技術において他国への依存を減らし、世界をリードする科学技術強国の建設を加速するとした。強大な国内市場を形成し、双循環によって新しい発展スキームを強化する一方、対外開放は継続していくとしている。新型都市化の推進や地域間の調和的発展という目標が提示されたが、土地改革については触れられていない。

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