デイリー・アップデート

2021年2月22日 (月)

[イラン] 2月23日以降に国際原子力機関(IAEA)との一部協力打ち切りを通達していたイラン政府に対し、IAEAのグロッシ事務局長が20-21日の間、テヘランを訪問しサーレヒ・イラン原子力庁長官らとの会談を行った。同事務局長はイランからの帰国後の記者会見で、23日以降抜き打ち査察はできなくなるが、今後3か月間イランの核施設に対する一定の監視と検証作業は継続することでイラン政府と合意したことを明らかにした。目前の危機は回避したので、「あとは政治交渉に期待する」とも発言。

[米国] バイデン大統領は民主党系シンクタンクのCenter for American Progress(CAP)のニーラ・タンデン所長を次期行政管理局(OMB)局長に指名していたが、民主党中道派のマンチン上院議員がタンデン氏の指名承認に反対する方針を2月19日に表明。上院での議席構成が50議席ずつで与野党が拮抗する中、マンチン上院議員が反対を表明したことでタンデン氏の指名承認が否決される可能性が浮上。指名承認されない場合、バイデン政権には痛手となる。

[日本] 2月の「月例経済報告」で、景気の基調判断は「持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる」へ10か月ぶりに下方修正された。緊急事態宣言の再発令もあって、個人消費が「このところ弱含んでいる」へ3か月連続で下方修正された影響が大きかった。一方で、輸出や生産の判断は据え置かれており、設備投資と輸入、企業収益は上方修正された。感染が拡大する中、国内景気には産業や部門などによって大きな相違がある状況が続いている。

[中国] 2月21日、中国共産党中央と国務院は、農村新興の推進と農業・農村現代化の加速を指示する中央1号文書を公布した。文書は「三農問題」(農民の低収入、農村の立ち遅れ、農業の産業化水準の低さ、など)の解決を全党の最重要課題とし、脱貧困を目指す県に移行期間を設け支援、同地域でのインフラ建設強化、食糧生産機能区の建設、食糧生産者への補助金支給、年内に1億ムー(約6.7万km2)の高標準農地を建設、2025年までに500か所の農業現代化モデル地区建設などの施策を上げている。

[中国] 昨年5月に開催された全国人民代表大会(全人代)での、少子化が深刻な東北地方からの提案に応える形で、2月18日、国家衛生健康委員会は、黒竜江・遼寧・吉林3省で試験的な出産制限の撤回実施を検討すると発表した。しかし、同委員会はその2日後に、「ネット上で『東北地方で出産制限の開放が施行される』『出産政策が全面的に開放される』などの推測が出ているが、それは本意ではない」とする文章を発表し、注目されている。

[ミャンマー] 2月19日、ネピドーで9日の抗議デモの際に頭部を撃たれ、脳死状態となっていた20歳の女性が死亡。21日に葬儀が行われた。また20日にはマンダレーのデモ参加者2名、ヤンゴン北部のシュエピタ郡区の自警団の男性1名が治安部隊の弾圧により死亡。民間人の犠牲者は累計4人になった。

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