デイリー・アップデート

2021年9月17日 (金)

[ロシア] ロシア下院選(定数450)の投票が9月17~19日に実施される。前回2016年の総選挙で343議席を獲得したプーチン大統領が率いる与党・統一ロシアが今回、どの程度議席を維持出来るかが主な焦点となっている。与党の支持率は8月下旬に過去最低の水準に落ち込んでおり、プーチン政権は、ばらまき政策や野党弾圧など手段を選ばない異例の選挙戦を展開した。

[オランダ] 9月16日、アフガニスタン情勢に関するオランダ大使館や情報機関の情報に対する中央政府の対応の遅れ、混乱、現地スタッフ・通訳やその家族が避難できなかったことに対する政府の責任を問う動議が可決されたことを受け、同日Kaag外務大臣が引責辞任した。オランダは3月に行われた総選挙後の組閣連立交渉が長引いており、現在も政治の空白が続いている。

[EU] 9月16日、欧州委員会とボレル外交安全保障上級代表は、「EUのインド太平洋協力戦略」を公表し、ASEANやインドとも経済・安全保障での関係強化を進める方針を打ち出した。台湾との関係強化が盛り込まれたことが日本では注目されているが、EUは中国の影響力に対抗することを目的としたものではないと主張している。また、15日に発表された米英豪の新安保協力についてボレル上級代表は事前の相談がなかったとして、EUはこの地域に対する戦略を持つべきだと強調した。

[レバノン] シーア派組織ヒズボラがイランから購入した燃料油の第一陣がシリアを経由してレバノンに到着した。レバノンは未曽有の経済危機の真っ只中にあり、燃料油やガソリンの不足で停電やガソリンスタンドの長蛇の列が日常化しているため、ヒズボラが緊急策としてイランからの燃料油及びガソリンの購入に踏み切った。イランからの石油製品の購入は米国制裁の対象となるため、この取引にレバノン政府は関与しておらず、またイランからのタンカーもシリアの港に到着し陸路でレバノンに輸送された。

[米国] バイデン政権は気候変動対策を重視しており、政権発足直後に署名した大統領令でマッカーシー国家気候担当大統領補佐官を委員長とし、閣僚や政府高官24人を委員とする「国家気候タスクフォース」を新設。同タスクフォースは9月15日に第6回会合を開催し、異常気象により最近相次いで発生している深刻な自然災害に対応するためにバイデン大統領が訴えている超党派のインフラ整備法案の成立や経済公約「Build Back Better」の実現に向けた方策を議論した。

[インド] 9月15日、政府は自動車産業向けの「生産連動型奨励制度(PLI)」に関し、2022/23年度(22年4月~23年3月)からの5年間で2,593億8,000万ルピーの予算を承認したと発表した。当初予算であった約5,700億ルピーの約半分となったものの携帯電話・電子部品分野に次ぐ規模になった。電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)と関連インフラ、車部品の生産・輸出を目指す。インド自動車工業会(SIAM)などの業界団体・主要企業は同政策を歓迎している。

[米国] 商務省によると、8月の小売売上高は前月比+0.7%と増加した。市場予想は減少だっただけに、予想外の増加だった。新学期を控えた時期に、7月下旬から子育て世帯への税額控除などの支援策もあり、個人消費が後押しされた。また、在庫不足や価格上昇などから自動車・同部品が▲3.6%と減少、感染拡大の影響から飲食サービスが0.0%と伸び悩む一方で、食料品は+1.8%、無店舗販売も+5.3%と増加した。

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