デイリー・アップデート

2021年9月28日 (火)

[ベトナム] 国家銀行(中央銀行)は新型コロナウイルス感染第4波が始まって以降、政策金利の変更は行わない一方、監督下にある商業銀行の与信業務を通じて企業の資金繰り支援を強化している。主な内容は、①貸出金利の引き下げと②企業の債務返済期限の繰り延べ条件の緩和。国家銀行は第4波以降、政策金利の引き下げには否定的な姿勢を維持しているが、その理由は、金融緩和の効果があらゆる業種に及ぶことから、原材料価格や物流価格などが高騰することを懸念しているため。

[米国] 商務省によると、8月の非国防資本財(除く航空機)の受注は前月比+0.5%となり、6か月連続の増加となった。また、非国防資本財(除く航空機)の出荷も前月比+0.7%と、3月以降プラスが継続している。2021年2月に天候要因などから一時マイナスに転じたものの、均してみれば2020年5月以降、増加トレンドが継続している。当面設備投資は増加するとみられ、これまで現金給付でかさ上げされた個人消費が今後落ち着く中で、米経済成長をどこまで下支えできるかが注目されている。

[韓国] 大田(テジョン)地裁は、2018年に最高裁で判決が確定した元徴用工訴訟を巡って差し押さえられていた三菱重工業の商標権2件と特許権2件について、9月27日、売却を命じた。徴用工訴訟などで日本企業の資産売却を韓国の裁判所が命じたのはこれが初めてで、他の日本企業の裁判への影響が懸念される。三菱重工業が即時抗告を行っても、最高裁が棄却すると売却手続きが執行される。日本政府は徴用賠償訴訟に伴う韓国最高裁の判決・司法手続きを国際法違反だとして非難しており、売却の実行は日韓関係に深刻な影響を招く可能性がある。

[米国/中国] サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(9月27日付)は、米中関係打開のためのパイプ役として、米中金融円卓会議の共同議長でバリック・ゴールド会長でもあるジョン・ソーントン氏が重要な役割を果たしたと報じている。ソーントン氏は8月から約6週間中国に滞在し、北京で韓正・副首相と会談したほか、新疆ウイグル自治区を1週間訪問した。記事では、ソーントン氏が韓氏に対し「ジョン・ケリー気候問題担当大統領特使は気候変動問題に関する協議だけでなく、米中関係全体の指南役だ」と伝えたと報じている。

[チュニジア] 7月25日に国家緊急事態を宣言し突如首相解任と議会停止を発表したサイード大統領は、9月22日に大統領令による統治を開始することを官報で発表した。また大統領府は、今後の政治制度改革のために憲法改正案を提示して国民投票を行う計画を発表。これに対し政党や労働組合などがデモを呼び掛け、これに応じたデモが発生している。9月25日には、議会最大政党エンナハダに所属する有力政治家113人が、現状に何ら効果的な対策が打てていない党指導部に対する不満の表明として離党を発表。

[米国] 8月10日に上院本会議において賛成多数で可決され下院に送付された超党派インフラ整備法案について、下院本会議で9月27日までに採択する方針をペロシ下院議長は示していたが、同法案の採決を今会計年度最終日の9月30日まで先延ばしすることを決断。民主党リベラル派の下院議員らが、インフラ整備法案を先に可決することで、民主党が重視する教育、児童手当、医療、気候変動対策等の施策が盛り込まれた総額3.5兆ドルの歳出法案が取り残されることに懸念を表明したことに応じた措置である。

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