デイリー・アップデート

2022年5月25日 (水)

[ブラジル] 5月中旬のインフレ率は、前月比+0.59%と予想を大幅に上回った。貯水率が回復したことから、昨年から続いていた電力料金の追加分がなくなったことを考慮すると、物価の先行きは依然厳しく、インフレ脱却には時間がかかることを示している。また、コア指数も年率で10%を超えてきており、今後も金融引き締めを継続し、引き締めサイクルも8月まで延長される可能性が出てきている。

[中国/米国] 5月23日、米戦略国際問題研究所(CSIS)が、中国政府の産業政策(企業に対する支援策)に関するレポートを発表した。中国政府の産業補助金などは不透明な部分が大きく、定量化を試みた研究はほとんどなかったが、本レポートは中国と他国の産業政策支出全体の体系的な比較と定量化を試みている。保守的に見積もっても、中国の産業政策支出は他国よりはるかに膨大で、2019年には名目為替レートで2,480億ドル以上、購買力平価で4,070億ドル以上、GDPの1.73%に達するとしている。

[ブラジル] ブラジル社会民主党(PSDB)の大統領候補であったドリア前サンパウロ州知事が今年10月に実施される大統領選挙への出馬断念を、5月23日に正式発表した。中道候補であるドリア氏の出馬断念は今年3月末のモロ元法務・公安相に続くものであり、中道派有権者の間では選択肢が狭まる一方、大統領選挙全体の構図は「超右派のボルソナロ大統領対左派のルーラ元大統領」というますます分極化した対決になりつつある。他の中道候補は支持率が一桁台に低迷している。

[日本] 5月の『月例経済報告』で景気の基調判断は「持ち直しの動きがみられる」に据え置かれた。ただし、新型コロナウイルス感染症に対する言及が削除された。住宅建設や雇用情勢、消費者物価の判断が上方修正された一方で、中国の都市封鎖措置などの影響から、輸入は下方修正された。先行きについて、中国の感染再拡大やウクライナ情勢の長期化など懸念材料が多いものの、持ち直していく見通しが維持された。

[ロシア] ロシアが米国内のロシア国債保有者に支払いを履行することを可能にしている制裁免除の特例措置は、5月25日に失効すると米財務省が24日に発表した。これにより、ロシアはデフォルト(債務不履行)に追い込まれる可能性が高まる。

[中国] 政府は賃貸料低減のため、低所得者層向け賃貸住宅(以下、賃貸住宅)の調達(建設も含む)に注力している。住宅都市農村建設部が、本年2月、年度内に賃貸住宅を240万戸(前年の約2.5倍)調達する方針を表明して以降、地方の動きが活発になっている。アモイ市などはオフィス、ホテル、倉庫など元々非住宅用途の既存建屋を賃貸住宅に改築申請可能とした。長沙市は、住宅所有者が手持ちの住宅を市政府が指定するサービスプラットフォームを経て賃貸に出す場合、その住宅を世帯の保有住宅数にカウントしないとした(住宅購入規制の緩和に相当)。

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