デイリー・アップデート

2019年6月27日 (木)

[ロシア] ロシアは2014年のクリミア侵攻後に経済制裁を受けたこともあり、貿易・外貨準備に占めるドル依存度の引下げを図っている。ロシア中央銀行は国内鉱山会社から金を買い入れ、金準備を増強してきたが、ここにきてロシア国内の貯蓄者に「外貨より金」という選択肢を増やすための策を講じている。中銀は国際相場価格より安く国内鉱山から金を買い入れ、中銀に国内投資家への金販売を促すとともに、金地金購入にかかる20%のVAT(付加価値税)を2020年1月から撤廃する方向で法案が提出されている。

[メキシコ] 新政権は成立後6カ月目を迎えるが、政策の不確実性、米国との緊張感の高まり、石油業界の低迷などが経済成長率を押し下げている。また、投資家期待は弱まり、財政上の制約で経済活性化の為の財政出動余地はほぼ皆無となりつつある。

[米国] 米センサス局が発表した5月の耐久財受注統計によると、企業の設備投資の先行指標となる『航空機を除く非国防資本財受注』は前月比+0.4%と、2か月ぶりのプラスとなった。また、設備投資の一致指標とされる『航空機を除く非国防資本財出荷』は前月比+0.7%と、2か月連続プラスとなった。5月に米中貿易戦争激化への懸念が広がった中でも、企業の設備投資スタンスが持ちこたえたことが示唆される内容である。ただし、昨年半ば以降、受注推移が横ばい圏にあるため、先行きへの懸念は払拭しがたい。

[パレスチナ] 5月25-26日の2日間、バーレーンで米政府主催のパレスチナに対する経済支援会合が開かれた。主導したのはクシュナー米大統領上級顧問。中東和平問題解決に向けてのパレスチナに対する経済協力案の発表だが、最も重要なイスラエルによる占領や入植地設置などの政治問題の解決は後回しにしているため、パレスチナ自治政府は参加をボイコット。計画では、パレスチナ他周辺アラブ諸国に対して500億ドルを支援し、雇用創出やGDPの拡大を狙う。

[タイ] 6月26日、タイ中央銀行(BOT)は金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を4会合連続で1.75%に据え置き、「金融政策は依然として適切」とコメントした。ただし、2019年の実質GDP成長率予測を3月時点の3.8%から3.3%に、また輸出増加率の予測を同3.0%から0%に、それぞれ下方修正した。下方修正は半年で3回目。BOTは現状のバーツ高は同国の経済ファンダメンタルズに沿っていないとして懸念を示しており、今後も注視してゆくとした。

[フランス] 6月26日、来日中のマクロン大統領はフランス大使公邸で、日仏関係、インド太平洋戦略、世界の課題の3つのテーマについて講演した。日仏関係については、今後5年間、環境問題、国家安全保障、経済と技術革新(リノベーション)に関して、日本との連携拡大を求めた。また、ルノーと日産の提携はフランスにとって非常に重要であり、両社間の提携強化を期待しているとコメントした。

[チェコ] 6月26日、下院はバビシュ内閣に対する不信任決議案を否決した。決議案は、バビシュ首相が欧州連合(EU)の補助金を不正に受給した疑いを巡り、野党が提出。先週末、プラハでバビシュ首相の退陣を求める大規模デモが実施されたが、バビシュ氏は、「国民にはデモを実施する権利がある」とコメントした上で、自身の退陣は拒否した。

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