デイリー・アップデート

2019年6月6日 (木)

[世界銀行/IMF] 世界銀行は6月4日に改訂した『世界経済見通し』で、2019年の世界経済成長率を1月時点の見通しから0.3ポイント下方修正し+2.6%とした。貿易摩擦の緊張が高まり貿易・投資が鈍化したため。引き下げ幅は3年ぶりの大きさ。また、IMFは5日、米中の報復関税合戦が更に激化すると2020年に世界経済の生産を0.5%下押しする可能性があると指摘。また、米中がこれまでに互いに発動した既存の追加関税ベースでは2020年に0.3%下振れると試算している。

[米国] FRBは6月の『地区連銀経済報告』(ベージュブック)を公表した。米経済について緩慢なペースで拡大しているとし、前回から上方修正。労働市場の需給が逼迫しており、企業が人手不足に苦しんでいる様子がうかがえる。また、関税についても原材料コストの増加や先行き不透明感から設備投資の重石になっていることが報告されている。ただし、労働需要の軟化や、直接雇用から契約雇用への切り替え、人手不足という供給制約など、堅調さからの局面の変化もうかがえる。

[ブラジル] 2019年第1四半期の実質GDP成長率(対前期比)がマイナスとなり、不況懸念の再燃が報道を賑わしているが、より広い視点で見ると重要なのは2015~16年の不況からの回復度合いが非常に弱い事。実質GDPが底だった2016年末のレベルから現状までわずか3%しか改善しておらず、不況前のピークだった2014年の値を4.5%も下回っている。過去の不況からの回復では、同期間で不況前のピーク値を10~12%上回っていた。

[中/ロ] 6月5日、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は、モスクワで会談した。両国は朝鮮半島、シリア、ベネズエラの安定化に向け協力を継続すると述べた。共同声明では、イラン核合意の重要性を訴え、米国の「一方的な対イラン制裁」に反対を表明。20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)を今月下旬に控え、対米方針で共闘を確認した。

[フランス] 6月5日、フィリップ首相は、マクロン政権は間もなく、いわゆる『反ゴミ新法案』を提案するとコメントした。この新法案には、ゴミ問題への消費者と生産者の意識改革、リサイクルと寄付の推進、食品以外の売れ残り品や新品の破棄の禁止などが含まれる。政府は同法の施行により、2021年末までに「拡大生産者責任」(EPR)を伴う商品(医薬品、化学製品、自動車、衣料や電子機器など)の売れ残り品や新品の破棄を禁止する予定。また、2023年末までにEPR以外の全ての品目について、売れ残り品と新品の破棄が禁止される。

[タイ] 6月5日、国会はプラユット暫定首相を新首相に選出した。上院(定数250)と下院(同500)の合計750票のうちプラユット氏が500票を獲得。4日には民主党(53議席)が親軍政党「国民国家の力党」を中心とする連立政権への参加を表明しており、合計19党所属の下院議員がプラユット氏に投票したとみられる。反軍政派連合は「新未来党」のタナトーン党首を首相候補に推したが244票にとどまった。連立与党は下院過半数の254議席を押さえるとみられる。

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