デイリー・アップデート

2020年5月22日 (金)

[香港] 5月21日、全国人民代表大会の張業遂報道官は記者会見において、今年の全人代で香港基本法23条(国家分裂や中央政府の転覆、外国勢力の政治活動などを禁じる)を具体的に立法化するための香港版「国家安全条例」の制定が議論されると明らかにした。民主派の反対により条例制定が実現してこなかったことに苛立ちを感じた中央政府は、香港立法会の議決を経なくとも直接香港に法を適用できるという解釈を適用する見込み。1国2制度の形骸化となり、香港民主派の激しい反発やデモの発生が懸念される。このニュースを受け、香港ドルは一時過去6週間で最大の下落となり、香港株に投資する上場投資信託(ETF)はニューヨーク市場での取引で約2か月ぶりの大幅安となった。

[マレーシア] 5月21日、マレーシア自動車協会(MAA)は、4月の国内新車販売台数(速報値)が前年同月比99.7%減の141台、前月比では99.4%減と発表した。新型コロナ禍による活動制限令で、自動車産業の操業が認められなかったことが響いた。5月4日から条件付き活動制限令に移行して自動車販売店は本格的に営業を再開し、メーカーも生産を再開しつつある。5月の販売は、4月より大幅増となる見込みだが活動制限令前の通常の生産台数よりは大幅に減少したままになるとみられる。

[カザフスタン] 巨大なテンギス油田で作業する労働者の間で新型コロナウイルスの感染が発生、拡大している。現時点で感染者は900人以上で、政府は対応を急いでいる。当油田における原油生産が停止され、経済が大きな打撃を受ける可能性がある。

[EU] ユンカー前欧州委員会委員長とジェンティローニ委員(経済担当)が、5月18日に発表されたメルケル首相とマクロン大統領による「コロナウイルス復興基金」設立案支持を表明。ユンカー前委員長はEU加盟国が同案に合意できないことはEUにとって危機であるとしてEU内連帯の必要性を強調。また、ジェンティローニ委員は「グリーンな自動車産業の回復」を計画に含めることで、基金の総額が増額するとみている。

[中国] 5月22日から第13期全人代第3回会議が開催され、李克強総理が政府活動報告を行った。今年の経済成長については、世界の新型コロナ禍と経済・貿易情勢の不確定性から中国が予測出来ない影響に直面するとして具体的な数値目標の設定が行われなかった。今年の重点目標としては、都市部の新規雇用900万人以上ならびに「調査失業率」6%前後、農村の貧困からの完全な脱却、重点事業としては、財政赤字規模を前年比プラス1兆元に設定、特別国債1兆元の発行、地方政府の特別目的債3.75兆元の発行などが挙げられている。

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