デイリー・アップデート

2022年6月28日 (火)

[チリ] 最近の動きとして、市場と距離を置く左派のボリック政権が成立しただけでなく、議論が進む新憲法において資源国有化やFTAへの消極的な内容が検討され同国への投資を躊躇させている。また中央銀行の積極的な利上げサイクルだけでなく、パンデミック下で実施された年金の早期引き出しがデュレーション(債権の平均回収期間)を短期化させ、金融情勢をより厳しくしている。チリは構造的な成長の鈍化に向かう可能性がある。

[米/イラン] イラン外務省報道官は、6月28日からカタールの首都ドーハで、イラン核合意(JCPOA)再建に向けた米国との間接協議を開始すると発表した。イランからはバーゲリ=キャニ外務次官が、米国からはマレー・イラン特使がEUの仲介する協議に参加する他、カタールのムハンマド外相との会談も行うとのこと。同協議で、米国はイランの核開発抑制を求め、イランはJCPOAで約束された経済的利益の保証が得られるべきであるとしている。今回の協議で道筋が付けば、ウィーンでのJCPOA再建協議の再開につながるとみられる。

[ブラジル] 10月2日に投票が行われるブラジル大統領選挙の第一回投票まで3か月余りとなったが、現職ボルソナロ大統領の支持率の伸びは頭打ち状態となる一方、大統領の座への復帰を目指す左派政党・労働者党(PT)を率いるルーラ元大統領は優位に選挙キャンペーンを展開している。各種最新世論調査によれば有権者は主要争点として圧倒的に経済を挙げており、経済に強みを持つルーラ氏が優位となる一方、ボルソナロ大統領は再選に向け苦戦の展開となっている。

[ミャンマー] 投資委員会(MIC)によると、2022年5月の海外直接投資(FDI)認可額(ティラワ経済特区(SEZ)を除く)は前年同月比で1%未満となる933万5,000ドルにとどまった。認可数は+50%の3件で、うち2件は中国、1件は日本から。5月の認可額が大幅なマイナスだったのは、前年同月に英国・英領からの約25億ドル規模のLNG発電プロジェクトがあったことによる反動。ティラワSEZでは、新規投資認可はなかったが、119万ドルの追加投資が認可された。追加投資は8か月連続となる。

[米国] 商務省によると、設備投資に先行する非国防資本財(除く航空機)の受注は5月に前月比+0.5%と、4月の+0.3%から加速した。また、設備投資の動きと歩調を合わせる非国防資本財(除く航空機)の出荷は+0.8%となり、4月と同じ伸び率だった。これらより、設備投資が引き続き底堅く推移していることが示唆された。これまでの受注残もあり、当面底堅く推移すると期待される一方で、金利上昇などの設備投資への下押し要因も懸念される。

[香港/中国] 香港返還25周年を祝う会議に、習近平国家主席が出席すると新華社が報じたが(6月25日)、日程や行程は明らかにされていない。香港紙は、習氏は6月30日夜に香港行政長官公邸で開催される晩餐会に参加した後、香港ではなく深圳に一泊し、翌日再び香港入りして式典に参加する見込みと報じている。香港では習氏の到着に向け、前例のないほど厳重なセキュリティオペレーションが実施される予定。

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