デイリー・アップデート

2022年6月30日 (木)

[中国] 6月30日、国家統計局が発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2と前月の49.6から改善、2月以来4か月ぶりに景気の節目となる50を上回った。6月の非製造業PMIは54.7と前月の47.8から50を上回り13か月ぶりの高さとなった。上海で新型コロナウイルス抑制のためのロックダウンが解除されたことが背景にあるもよう。

[日本] 経済産業省によると、5月の鉱工業生産指数は前月比▲7.2%となり、2か月連続の減産だった。4月の同▲1.5%からマイナス幅は拡大した。前年同月比も▲2.8%と、3か月連続のマイナスだった。水準が昨年から切り下がり、方向感も減産方向にあるため、基調判断は「弱含み」へと下方修正された。自動車や電気・情報通信機械など全15業種のうち13業種が減産した。在庫も前月比で3か月連続して減少しており、供給網のボトルネックの影響が主因とみられる。

[アルゼンチン] アルゼンチンでは、並行為替市場(いわゆる「闇市場」)において1ドル当たり240ペソと大幅な減価が続いている。公式為替レート自体も年初来20%以上の減価がみられるが、並行レートとのギャップは約90%と3か月で最大レベルに達している。為替の下落の背景には、外貨準備高がネットで30億ドルを下回るまで減少したことに加えて、中央銀行が企業に対する為替制限を強化したことなどが考えられる。

[オーストラリア/中国] 豪州シンクタンクのローウィー国際政策研究所が実施した世論調査によると、豪州では中国の経済成長を否定的に捉える傾向が強まっており、中国の人権問題や軍事に対する懸念も上昇した。今後20年間に中国が豪州にとって軍事的脅威になる可能性が高いという回答は75%で(2018年比29%pt上昇)、中国を信頼しているとの回答は12%(2018年比40%pt減少)だった。「米中間で軍事衝突が起こった場合に米国を支持すべき」という回答は昨年より5%pt上昇(46%)したが、若い世代は年上世代(45歳以上)より「中立を保つべき」という回答が多くなっている。

[ベトナム] 6月29日、2022年4~6月期の実質GDP成長率が前年同期比+7.72%だったと発表された。前期(+5.05%)から大幅に加速。2009年以降で最も高い水準を記録し、新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの回復を鮮明にした。財輸出が同+21%と引き続き大幅に増加(加工・製造業は同+11.45%に加速)。消費も同+19.5%と大幅に増加し、活動制限と入国制限の緩和の効果が明確に現れた。上半期(1-6月期)は同+6.42%。2022年の政府目標である同+6.0~6.5%は可能とみられるが、インフレが懸念材料。6月のCPI上昇率は前年同月比+3.37%に上昇した。

[米国] トルコはフィンランド、スウェーデン両国の北大西洋条約機構(NATO)加盟への反対姿勢を変更し、スペイン・マドリッドでNATO首脳会議が開催される前日の6月28日に、両国のNATO加盟に関する覚書に調印した。バイデン大統領は当日エルドアン大統領と米トルコ電話首脳会談を実施しており、昨年秋からトルコ政府が米国政府に対して要請し続けていたF-16戦闘機の新規供与等を承認する方針をバイデン大統領が伝えたこともトルコの姿勢転換をもたらしたとみられる。

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