デイリー・アップデート

2022年6月10日 (金)

[ウクライナ/ロシア] 5月11日、ロシア南部のウクライナ国境に近いベルゴロド州で、ウクライナ側からの砲撃により州内の村で1人が死亡、6人が負傷したと地元当局が明らかにした。一部のロシアメディアは、ロシアによる侵攻後、ウクライナの砲撃によりロシア領内で死者が出たのは「初めて」と報じた。

[米国/ロシア] 5月10日に上院銀行・住宅・都市問題委員会はイエレン財務長官を証人に迎えて公聴会を開催した。イエレン財務長官は既に発動された対ロシア追加制裁の効果について、ロシアは追加制裁による経済の痛みを感じており、ロシア経済が景気後退局面に入っているのは明らかであり、今年のインフレは約20%と証言し、バイデン政権や西側諸国が発動している対ロシア追加経済制裁は効果を上げているとの認識を示した。

[ユーロ圏] 欧州中央銀行(ECB)は9日理事会を開催、7月1日に資産買い入れプログラム(APP)による買い入れを停止することを決定した。また、政策金利のフォワードガイダンスの条件が満たされたとして、7月の会合で25bpの利上げを実施する方針を示した。9月以降についても物価動向、経済・物価見通し次第であるものの、継続的に利上げを実施していく姿勢を明らかにした。

[メキシコ] メキシコのインフレ率は5月に前年同月比+7.65%と、4月の同+7.68%とほぼ同値となり、安定したとみられる。政府の価格抑制策もあり、今後数ヶ月はインフレが低下傾向を示すことが期待されている。また、メキシコペソが強含み、米国への資金流出も緩やかであるとみられることからも、メキシコ銀行は、タカ派的な姿勢を弱め50bpずつの利上げを行っていくとみられる。

[ウクライナ/ロシア] ウクライナ東部と南部のロシアが占領した地域でロシア編入に向けた動きが目立つ。ロシア主要閣僚がしばしば同地域を訪問し、一部のメディアでは同地域をロシアへ編入し、新規のロシア連邦管区を設定する案もあるという。秋に向けてロシアとの統合を問う国民投票の準備も進められているもよう。

[中国] 2017年に香港のフォーシーズンズホテルから失踪した(拉致されたとみられる)大富豪・肖建華氏の刑事裁判が、今月中にも上海で行われる予定とWSJ紙が報じている。肖氏が率いていた明天集団傘下の証券、保険などの金融機関はその後、中国当局に接収された。肖氏の罪状は明らかになっていないが、WSJ氏は不正に公金を受け取った罪で起訴される見込みとしている。また、肖氏と関係が深かった中国共産党高官に対するけん制の意味合いもあると推測される。

[豪州] 6月7日、豪州準備銀(RBA)が政策金利を0.5%引き上げ、0.85%とした。利上げは2会合連続。利上げ幅は多くの予想を上回った。インフレの高進が考慮され(2022年1-3月期のCPI上昇率は前年同期比+5.1%と2001年以来21年ぶりの高水準)、RBAはインフレ率が目標レンジ(+2~+3%)に安定的に落ち着くまで必要な金融政策を採るとした。労働市場は堅調で、失業率が3.9%と約50年ぶりの低水準まで下がっているが、労働力不足がインフレの原因となっているとも指摘した。

[中国] 6月9日、税関総署が発表した2022年5月の輸出額は前年同月比+16.9%の3,082億4,490万ドルだった。2020年7月以降の最小の伸びであった4月の輸出(同+3.9%)から大きく拡大した。4月は上海のロックダウンで同市の港湾や空港の貨物処理の停滞が輸出への足かせとなったが、5月はその影響が緩和に向かった。5月の輸入は+4.1%の2,294億9,070万ドル。4月の横ばいから伸びた。貿易黒字は前年同月比+82.3%の787億6,000万ドル。

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