デイリー・アップデート

2019年5月23日 (木)

[モロッコ] 2011年の暴動による社会不安の増大、および欧州や湾岸の伝統的同盟国への信頼の低下などから、モロッコはサブサハラ・アフリカにおいて経済外交、宗教的影響力、安全保障ノウハウを活用し、自国経済の多様化、成長の促進、国益の保全を行う機会を得ているという。

[中国] 5月21日付の人民日報4面に「上場商業銀行・保険会社の業績が好調で今年の中国経済は好スタートを切り、粘り強さに満ちている」と主張するコラムがあるが、同月15日に国家統計局が発表した1-4月の鉱工業生産、小売総額、固定資産投資、輸出などの実績は、1-3月に比較してことごとく伸びが鈍化しており、中国経済の減速を物語っている。5月13日、李克強総理は、地方政府に対して大量失業発生の防止と、経済が比較的好調な省においては失業者の他省への流出防止を指示。今年1Q末の調査失業率は5.2%で、前期の4.9%から上昇している。

[タイ] 5月21日、国家経済社会開発庁(NESDB)は、2019年1-3月期の実質GDP成長率が前年同期比で+2.8%だったと発表。前期(+3.6%)から鈍化し、2014年9-12月期以来の低水準。米中貿易摩擦と世界経済の減速による輸出の停滞が響いた。民間消費は減速したものの+4%台の高い水準を維持。2019年年間GDP成長率のNESDB見通しは+3.5~4.5%から+3.3~3.8%に下方修正された。IMF見通しは+3.5%。タイ中銀は金融リスク抑制を重視し2018年12月に利上げしてから政策金利を据え置きしているが、従前の政策スタンスを今後も維持するか注目される。

[米国] FRBは5月のFOMC(4月30日~5月1日)の議事要旨を公表した。しばらくは忍耐強い姿勢を続ける方針。足もとでは利下げ・利上げいずれにも動く強い根拠はないという。また、将来のポートフォリオの構成についても議論されていた。市中発行済み米国債と同様の年限分布の国債をFRBが保有する案やFRB保有国債の年限を3年以内に短縮する案などが提示され、それぞれ一長一短があることが明らかになっている。

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