デイリー・アップデート

2020年3月27日 (金)

[シンガポール] 3月26日、シンガポール貿易産業省が発表した第1四半期の実質GDP成長率(速報値)は前年同期比▲2.2%と、2009年のリーマンショック以来の大幅なマイナス成長となった。前期比年率は▲10.6%と、2010年以来の大幅な縮小。シンガポールは、2020年初頭からの世界的な新型コロナウイルス流行開始後にGDPを発表する初めての国の1つとなり、注目されていた。今回の結果を受け、世界の経済成長が上半期に大幅に落ち込むとの見方が強まった。「2020年通年はマイナス成長」との見方が各国で相次いでいる。

[日本] 3月26日に発表された内閣府の「月例経済報告」で、基調判断は「厳しい状況にある」と下方修正され、6年9月ぶりに「回復」という文言がなくなった。個人消費が弱い動きとなり、企業の業況判断が悪化している。また、雇用情勢についても、これまでの改善から感染拡大の悪影響が見られはじめている。こうした判断も、過去最大規模と見込まれる経済政策の策定を後押しすることになりそうだ。

[ロシア] 政府は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全ての国際線の運航を3月27日から停止すると発表した。外国とロシアとを結ぶ全ての定期便・チャーター便が対象で、外国からロシアへの避難を希望するロシア国民の移送は例外的に認める。ロシア国内の感染者数は26日時点で840人と過去数日で急増し、25日には初めて2人の死亡が確認された。外国との移動を大幅に制限して感染拡大の防止を図る。

[EU] 3月26日のEUサミットで、北マケドニアとアルバニアのEU加盟交渉を正式に開始することを決定。ただ、正式な交渉日程の詳細は未決定。交渉開始決定を歓迎する見方がある一方で、これは2か国に対する政治的なメッセージに過ぎず、早期のEU加盟は困難という見方も強い。

[中国] 国家電網(国有送電会社)は、2019年末、電気料金の値下がりを想定して送電網への投資を絞り込む決定をしていたが、突如豹変して政策を変更。3月23日、逆に2020年の投資額を当初予定より10.3%増の4,500億元(約7兆円)とすると公表した。中国経済メディア「財新網」は、昨年の全国の電力使用量が前年比わずか4.5%増と伸びが鈍化しており、注目の「新型インフラ」のひとつとは言え、主な投資対象である直流送電の利用率が、既存のもので平均6割を切る低さであるため、投資効率の問題や電気料金の高騰の可能性を指摘している。政治主導の景気対策が経済性を顧みない過剰供給を生む懸念がある。

[インド] 3月26日、政府が新型コロナウイルス対策として1兆7,000億ルピー(約2.5兆円)の経済対策を発表した。8億人の貧困層にコメなどを無料で配布。農家、高齢者、障害者等に現金を給付する。ただし、航空業界、観光業界、中小企業等に対する産業支援の救済措置は含まれなかった。

[イスラエル] 3月26日、最大の野党中道政党連合「青と白」のガンツ氏が国会議長に選出された。同氏は、3月16日に大統領から首相候補に指名され組閣交渉のさなかだったので、予想外の展開。その後のスピーチで、彼は「緊急事態内閣」成立のために首相ポストから身を引いたと話しており、ネタニヤフ首相との裏取引が成立したとみられている。これにより、今後野党中道連合からガンツ氏ら約20人が抜けて、リクード率いる与党連合に合流予定で、与党連合が議会議席の過半数を掌握できる見込み。ネタニヤフ首相続投の道筋がついた。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

16人が「いいね!」と言っています。