デイリー・アップデート

2020年3月30日 (月)

[イラク] 3月26日、米国はイラクに認めてきたイランからの電気・ガス輸入許可(ウェイバー)を30日間延長した。同ウェイバーは2018年11月に出されて以来6回にわたって延長されてきたが、30日間というのはこれまでで最短の延長期間。イラクはこれまで自国の電気需要の多くをイランからの輸入に頼ってきたが、米国は対イラン制裁圧力を強化するため、イランからのエネルギー輸入を停止するようイラクに迫っている。今回の延長が最後になるのではないかとの見方もある。

[ベトナム] 3月27日、ベトナム統計総局(GSO)は、2020年第1四半期の実質GDP成長率が前年同期比+3.82%だったと発表。リーマンショックの影響を受けた2009年第1四半期の+3.1%以来の最も低い伸びとなった。世界的な景気減速に加え、新型コロナウイルスの影響を受けた。小売売上高は第1四半期で前年同期比+4.7%であったが、3月単月では前年同月比▲0.8%と、2016年以降で初めてのマイナスを記録した。入国制限を徐々に厳格化したため、1~3月の外国人旅行者数は、特に中国、韓国からの外国人旅行客が減少したことから、前年同期比▲17%となった。

[米国] 米ミシガン大学消費者信頼感指数は3月に89.1となり、前月(101.0)から11.9pt低下した。過去4番目に大きな下落幅となった。新規失業保険申請件数が急増するなど、先行きの雇用環境の悪化などが消費者マインドを悪化させている。2月の米個人消費支出は前月比+0.2%で1月と同じ伸び率であった。3月以降の低下幅と低迷する期間、その後の回復ペースなどが注目される。

[ロシア/ベネズエラ] 3月28日、ロシア国営石油会社ロスネフチは、自社が保有するベネズエラの資産を売却すると発表した。ベネズエラでの事業から撤退し、同国の石油事業に関与したとして米国がロスネフチの子会社に対して発動している制裁の解除につなげたい意向と思われる。

[EU] 3月26日のEUサミットでコロナ債に関する協議がまとまらなかったことを受け、欧州委員会がEU予算の増額や、国家補助ルールの更なる緩和を発表。ヨーロッパの新型コロナウイルス感染者数が33万人を超え、イタリアでの死亡者が1万人を超えるなど深刻な状況となっているが、コロナ債発行に関してはEU加盟国間で南北対立が表面化しており、EU内の結束に影を落としている。

[中国] 3月27日の共産党中央政治局会議は、マクロ経済の政策調整・実施に注力すると決議したが、一連の政策の中で「『公共消費』の合理的増加」と「財政赤字を適度に増やし『特別国債』を発行」の二つのキーワードに注目が集まっている。前者は、就業促進、民生保障もあるが、何よりも間接的・直接的に個人消費の拡大を先導する役割が期待されている。後者については、これまで1998年国有四大銀行への資本注入目的の2,700億元の長期特別国債と2007年中国投資有限責任公司設立目的の1.55兆元の特別国債の発行例があり、今回が13年振り3度目。

[インド] 3月27日、インド準備銀行(RBI)が新型コロナウイルス対策のための金融政策を発表。3.7兆ルピー(約5.4兆円)の資金を市場に注入する量的緩和を行う。3月31日に予定されていた金融政策決定会合を前倒しで開き、政策金利(レポ金利)を5.15%から4.40%に、リバース・レポ金利を4.90%から4.00%に引き下げた。また、銀行とノンバンクの融資について3か月間の支払い猶予を認める。これらの措置は中銀による「バズーカ」と呼ばれ、効果が期待されている。

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