デイリー・アップデート

2020年9月24日 (木)

[中国] 9月22日、習近平国家主席が国連総会で行った演説での「CO2排出量を2030年までにピークアウトさせ、2060年までに(排出量と削減・吸収量が差し引きゼロで均衡する)『カーボンニュートラル』を実現するよう努力する」という発言が注目されている。習氏は目標達成のための具体策には触れず、また、最近中国国内ではむしろ石炭火力発電を増やす動きが出てきていることもあり、現段階では評価ができないという見方が大勢だが、この問題に対する米トランプ政権の無関心さとは対照的でもあり、おおむね好意的に受け止められている。まもなく出てくる第14次5か年計画で、どれほど踏み込んだ政策が提示されるか注目される。

[マレーシア] 9月23日、野党連合・希望連盟(PH)の中核政党である人民正義党(PKR)のアンワル・イブラヒム党首が連邦議会下院(定数222)で過半数の支持を集めたと発表。具体的な支持獲得議席数は明言しなかったが、過半数を4~5人上回っているどころか、もっと多いと述べた。また9月22日に首相指名を受けることを目的に国王と面会を予定していたが、国王が入院しているため延期されたとも述べた。ムヒディン首相は声明を出し、現政権の基盤は強固であるとし、自身が首相であると強調した。現時点でのPHの議席は91で、過半数(112)に達するためには21人以上の議員の追加の支持を得る必要がある。

[米国] 9月18日に逝去したリベラル派のギンズバーグ連邦最高裁陪席判事の後任についてトランプ大統領は今週土曜日(9月26日)に指名する方針を表明。シカゴの連邦高裁判事で、人工中絶に反対する保守派であるバレット氏を軸に検討が行われているもよう。トランプ大統領は中西部のカトリック教徒の支持獲得を狙っており、次期米連邦最高裁判事指名問題は再選キャンペーンと連動するかたちで展開しつつある。

[ポーランド] 動物保護法改正案をめぐる連立与党内の対立が鮮明となり、右派政党「法と正義、PiS」の政権が崩壊の危機に直面している。強硬右派を率いるジョブロ法相(50)は同法案に反対票を投じ、穏健派であるカチンスキ党首(71)を悩ませた。与党の最高実力者であるカチンスキ氏はジョブロ氏を切り捨てて、少数与党に転落しながらの政権運営に踏み切るか、それとも解散総選挙に持ち込むか、今後の動きが注目される。

[EU] 9月23日、欧州委員会が現行の「ダブリン規則」に代わる移民・難民政策改革案を発表。移民・難民を受け入れるか、移民・難民の帰国を支援するか、という選択権をEU加盟各国に与え、難民を受け入れた場合、成人一人当たり1万ユーロがEU予算から支給される。一方、受け入れなかった場合は、帰国手続きを担当(後方支援)するか、その移民・難民の滞在しているEU加盟国に財政支援を提供しなくてはならない、というもの。新政策の発効は2023年が見込まれている。

[中国] 経済紙「21世紀経済報道」などが、「GPS」と称されるGEヘルスケア、フィリップス、シーメンスの3社が、主に国内代理店経由、時には直接自社で、病院責任者や食品薬品監督管理局等の政府機関職員への贈賄行為を行った複数の事案を報じた。9月18日には、党中央紀律検査委・国家監察委も「医療分野の不正な利益供与を断ち切る」という一文を自らのサイトに掲載し、本事案を問題視する姿勢を示している。なお、中国国内の病院全体の保有する医療機器では、CT類は上記3社で計83%、MRI類が計87%と圧倒的なシェアを占め、3社で中国市場をほぼ独占している。

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