デイリー・アップデート

2020年9月28日 (月)

[レバノン] 8月31日に次期首相に指名されたムスタファ・アディーブ氏が、同氏の考える宗派にとらわれない専門家内閣の組閣に対して主要政党からの支持を得られなかったことを理由に、9月26日に首相指名を辞退することを発表した。8月以降レバノンを2度訪問してレバノンの政治経済改革を進めようとしてきたマクロン仏大統領は、翌27日に記者会見を行いレバノンの政治家に対する失望を表明したが、現時点ではレバノンに対する制裁は考えていないことを表明。

[米国] 9月26日、トランプ大統領は、9月18日に逝去した連邦最高裁判所のリベラル派のギンズバーグ判事の後任として、シカゴの第7巡回区連邦控訴裁判所の保守派のバレット判事を指名する方針を表明した。上院司法委員会は10月12日から3~4日間の日程でバレット氏の次期連邦最高裁判事指名承認公聴会を開催することにしており、大統領選挙投票日前に速やかに承認を目指す共和党と、指名承認阻止を目指す民主党との与野党対立が予想される。

[中国/アルゼンチン] アルゼンチンは、昨年12月のアルベルト・フェルナンデス政権発足以来、中国との関係を強化するのではないかとささやかれていたが、コロナ禍の間に、通貨スワップ協定の更新、初の対中レモン輸出、宇宙協力の枠組み合意など中国との協力関係を強化している。中国は4月にアルゼンチン向けにコロナ感染拡大防止のための緊急医療物資の贈与も行った。アルゼンチンにとって中国はブラジルに次ぐ第2の貿易相手国であり、最近の世界貿易の低迷下、今年前半の対中輸出は前年同期比約21%増と拡大している。

[米国] 商務省センサス局によると、8月の非国防資本財(除く航空機)受注は前月比+1.8%となった。また、同出荷は+1.5%となり、受注・出荷ともに5月以降、4か月連続で増加した。また、金額をみると、それぞれ677億ドル、672億ドルとなり、2月の水準を2か月連続で上回っている。8月には自動車・同部品などの受注が鈍るなどこれまでの反動増の影響がみられたものの、設備投資の回復基調は継続しているといえる。

[アルメニア] 9月27日、旧ソ連のアルメニアとアゼルバイジャン二国間の係争地であるナゴルノカラバフで両国軍による大規模な戦闘が起きた。少なくとも兵士16人と複数の民間人が死亡した。アルメニアのパシニャン首相は、戒厳令を出すとともに国民総動員を発表した。石油・天然ガスの重要輸送路に当たる南コーカサス地方で政情不安定化懸念が再燃している。

[韓/中/米] 米商務省が、9月25日に米企業に対して、SMIC(中国中芯国際集成電路製造)に特定製品を輸出する際、同省の事前許可を求めたことに関し、韓国経済新聞は、以下の点から韓国にとってはメリットがあるとの観測を報じた。◇サムスン電子にとってSMICが潜在的な競合先であったこと、◇米クアルコム(+米ブロードコム)などのSMICへの注文がサムスン電子向けに切り替えられる可能性があること、◇中国市場の攻略に積極的な韓国の中小ファウンドリー(SKハイニックスシステムアイシーなどの半導体製造業者)の顧客獲得が容易になる可能性があること。

[日/中] 9月25日、菅首相と中国の習近平国家主席が電話協議を行った。両国首脳の電話協議は2018年5月以来。習氏は、双方が安定した産業サプライチェーンと、公正で開放的な貿易・投資環境を維持することを希望するとし、来年の東京オリンピック開催を成功させるために日本を支援すると述べた。習氏の来日については双方とも言及しなかったもよう。日中両政府は、王毅外相の10月来日と茂木外相や菅首相との会談について調整を始めた。その直前にポンペオ米国務長官が訪日する予定。また、韓国メディアは、王毅外相が訪日前に韓国にも立ち寄る予定と報じている。

[マレーシア] 9月26日、サバ州議会選挙が行われ、国政における与党連合が過半数の議席(定数73のうち38)を獲得して勝利した。同州の州首相には国政の野党連合と連携するサバ伝統党(ワリサン)のシャヒー・アプダル党首が就いていたが、国政の与党連合が州政権も奪うことになった。今回の選挙は、3月のムヒディン政権発足後、初の州議選。ムヒディン首相は今回の州議会選挙で勝利すれば、国政選挙での勝利を見込んで議会の早期解散に踏み切る意向を示唆していた。

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