デイリー・アップデート

2020年10月16日 (金)

[中国] 10月15日、中国国家統計局は、9月の消費者物価指数(CPI)を発表した。前年同月比で1.7%上昇し2019年2月以来、19か月ぶりに1%台となった。アフリカ豚熱(ASF)の影響を受け減少していた豚肉供給の回復が押し下げ要因となった。一方、娯楽関連など、コロナ感染で制限があった製品・サービスなどは前月から価格が上昇。同日発表の9月の工業出荷価格指数(PPI)は、前年同月比2.1%下落、前月の2.0%下落を超え、8か月連続のマイナスに。

[米国] 労働省によると、10月10日までの1週間の新規失業保険申請件数は89.8万件となり、前週の84.5万件から増加、足元で雇用環境の回復ペースが鈍化している。一方、10月3日までの週の継続受給者数は1,001.8万人、前週から116.5万人の減少となった。他方で、州の失業給付期限が切れた人がパンデミック緊急失業補償(PEUC)に移動しているという見方もあり、雇用環境は見た目ほど回復していない可能性がある。

[EU/英国] 10月15日に開始したEUサミットで、EU首脳らが英国との将来関係交渉に関して、今後もEU側が譲歩することはないことを明確化。これまでの交渉結果が合意には不十分であることから、バルニエ主席交渉官に交渉継続を要請した。英国側にも同様に交渉継続を求めている。なお、ジョンソン首相による英国側の対応発表は16日に予定されている。

[中国/台湾] 10月15日、人民日報が第7面で台湾に対して開戦を警告する言葉を使ったことを、華字メディアの多くが取り上げ、中国の交流サイト上でも関心を集めている。文書のタイトルは「歴史の正しい側に立つ―台湾情報治安部門に告げる書」で、問題の言葉は「勿謂言之不預」(=事前に聞いていないとは言わせない)。本文の主な内容は、台湾側による中国へのスパイ活動に対する批判、台湾独立派に対するけん制だが、この言葉には中印国境紛争(1962年)と中越紛争(1979年)の前に人民日報が掲載し、その後開戦に及んだという前例がある。

[タイ] 10月14日、バンコクで学生らが反体制デモを開き、プラユット首相の辞任、憲法改正、王室改革を要求した。デモ参加者は首相府に向けて行進。警察や黄色のシャツを着た王室支持者と小競り合いが発生した。さらにデモ参加者は首相府周辺を占拠。翌15日、プラユット首相はデモを取り締まるため、バンコクを対象とした非常事態宣言を発令し、5人以上の集会などを禁止した。警察は集会の主催団体のリーダーらを相次ぎ逮捕。これに反発した同団体は集会禁止を無視して大規模なデモを強行し、緊張が高まっている。

[米国] トランプ政権の国家安全保障会議(NSC)は「重要技術・最先端技術のための国家戦略」と題する報告書を公表した。米国政府は自国の国家安全保障にとって重要な技術の保護を強化する方針。先端コンピューティング、人工知能(AI)、バイオ技術、半導体・マイクロエレクトロニクス等の20の技術分野が対象になっており、中国など敵対国への流出阻止が目的。

[キルギス] 10月15日、ジェエンベコフ大統領が辞任した。4日の議会選の結果に抗議するデモを発端として、一時、無政府状態に陥るなど深まっていた政治危機は大統領辞任に発展した。混乱はいったん収束し、各政治勢力の目標は、議会選再選挙や大統領選での影響力確保に移りそうだ。

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