デイリー・アップデート

2020年10月15日 (木)

[台湾/中国/米国] 10月14日、台湾の「科技新報」は、米アップル社が多数のサプライヤーに対して生産ラインの15~30%を中国から東南アジアやインドなどに移設するよう通知し、その中には、TSMC、フォックスコン、ペガトロン、ウィストロンなどの台湾メーカーやEMSが含まれていると報じた。フォックスコンは、中国外の生産能力を3割に高める計画を推進中であり、ウィストロンは、現状75%の中国内生産能力を2021年末までに内外それぞれ50%にすると公表した。米中貿易摩擦のもと、iPhoneを巡ってサプライチェーンの再編が進んでいる。

[シンガポール] 10月14日、2020年7-9月期の実質GDP成長率(速報値)は前年同期比▲7%、前期比+7.9%だったと発表。3四半期連続のマイナス成長。建設業の成長率が▲44.7%と落ち込みが大きかった。しかし前期(前年同期比▲13.3%)からは改善しており、最悪期を脱して、今後、緩やかな回復に向かうとみられる。また、同日、シンガポール金融管理局(MAS)は現行の緩和的政策スタンスを継続するとし、名目実効為替レートの年間上昇率と許容変動幅を維持した。

[レバノン/イスラエル] 10月14日、レバノンとイスラエルが米国の仲介により海上の国境画定交渉を開始した。両国は、国境付近の海域860平方キロメートルの部分につき、お互いに自国の排他的経済水域であると主張している。同海域では近年、天然ガス田の発見・開発が進んでいる。両国はいまだに戦争状態にあり、対話は30年ぶり。双方が「技術的な交渉のみで和平や国交正常化に関する話し合いではない」と発表している。交渉は今後数週間から数か月にわたる見込みで、次回交渉は10月28日に予定されている。

[米国] 各種最新世論調査では、トランプ大統領が全米レベル及び「激戦州」において、バイデン民主党候補に対して劣勢となっていることが相次いで判明。こうした世論調査結果を受けた形で大統領選挙人獲得数予測でもトランプ大統領にとり軒並み厳しい展望となっている。バージニア大学のサバト教授の予測分析「クリスタル・ボール」ではバイデン氏が290人となり、次期大統領当選に必要な270人を上回る一方、トランプ大統領は163人と後塵を拝していることが判明している。

[世界経済見通し] 10月13日、国際通貨基金(IMF)は、2020年の世界経済見通しを▲4.4%とし、前回6月時点の▲5.2%から上方修正した。先進国や中国がコロナ禍に伴うロックダウンの悪影響から予想よりも速いペースで回復しているため。2021年の見通しは+5.2%と6月時点予測から0.2ポイント下方修正。また、IMFは同日発表の財政監視報告書で、2020年の世界全体の財政赤字がGDP比12.7%と、前年の3.3倍に急膨張すると予測している。

[ロシア] 10月14日、プーチン大統領は、政府幹部とのビデオ会議において、国産で2番目となる新型コロナウイルス感染症のワクチンが国家承認されたと発表した。8月に国家承認を発表した最初のワクチン「スプートニクV」に続くもので、政府は最近、国内における感染者が再び増加する中、開発の成果を強調した。

[EU/英国] 英国政府が設定したEUと英国の将来協定交渉期限が迫る中、10月15日から2日間の日程でEU首脳会合が開始される。14日には英首相官邸が、首脳会合の結果を考慮して次のステップを発表するという声明文を出しているが、フォンデアライエン委員長は同日、「課題が山積み」とコメント。11月中旬まで交渉を延長するという見方もあるが、緊張状態の先送りとの悲観的な見解が多い。

[中国] 10月14日、深圳経済特区成立40周年を祝う記念式典が深圳市で開催され、習近平国家主席が演説。習氏は「中国本土と香港、マカオの融合発展を促進せねばならない」と述べ、会議には歴代の香港行政長官らも出席した。この他、改革開放の推進や、「国内大循環を主体とした、国内国際の双循環による新発展モデルの促進」など、既出の政策が繰り返され目新しい点はなかったが、26日から始まる五中全会の前に、中国発展の成果や最高指導者のリーダーシップを強調する意味合いがあったと思われる。

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