デイリー・アップデート

2020年10月22日 (木)

[米国] FRBが公表した「地区連銀経済報告(ベージュブック)」によると、米経済活動は拡大しつづけているものの、そのペースは「わずかから緩慢」と勢いを欠くものになっている。また、経済活動は産業などによって大きく異なっていることにも注意が必要と思われる。一方、見通しについて一般的に楽観的もしくはポジティブと、前回9月調査から上方修正されている。ただし、依然として新型コロナウイルスの感染状況次第という大きな不確実性がある。

[米国] 21日、ペローシ下院議長とムニューシン財務長官による48分間の電話協議を経て、追加経済対策をめぐる交渉に進捗があったと双方の関係者が発言した。ホワイトハウスのメドウズ首席補佐官も与野党間の溝が埋まりつつあると述べた。その一方で、共和党のマコネル上院院内総務は、追加経済対策に対する足並みが党内で揃っておらず、法案を押し通すことは選挙前に党を分断することになると警告。トランプ大統領も、ツイッターにて、民主党が経済対策実現に本気で臨んでいるとは思えないと述べた。

[ボリビア] 10月18日に投票が行われたボリビア大統領選挙で左派政党の社会主義運動(MAS)擁立のアルセ元経済相の勝利が確実となる中、昨年11月に大統領職を辞任して現在アルゼンチンで亡命生活を強いられているモラレス前大統領が帰国することとなった。MASの団結を維持する点で重要な役割を担うとみられている。アルセ次期大統領はモラレス前政権で経済相に在任。

[EU/英国] EUと英国政府が22日から将来協定交渉を再開することを発表。バルニエ主席交渉官が21日に欧州議会でEU側も譲歩する必要性を強調したことから、英国が交渉再開を受け入れた形。ただし、漁業権、公平な競争環境、紛争のガバナンスという難題が解決したわけでもなく、英国政府は交渉が成功しない可能性も十分にあるとの見解も発表している。

[スウェーデン/中国] スウェーデン郵政・電信局は、10月20日、11月10日に開始される5G周波数帯の競売に4つの通信事業者の参加を承認したが、同国軍と同国安全保障当局からの要求として、ファーウェイ(華為)とZTE(中興通訊股?有限公司)の通信機器を新たなネットワークでは設置しないことを前提条件としたと発表。また、4事業者の既存網でのファーウェイ・ZTEの5Gの設備の撤去も要求している。スウェーデン企業のエリクソン社は、中国で5Gの基地局設備などを既に受注しており影響が懸念される。中国外交部は証拠のない不当な行為だと抗議している。

[中国] 現在開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、接種は無料か、有料の場合、値段はいくらになるのかなどまだ不明であるが、国家医療保障局は、現在の医療保険制度に当該予防接種の高額な費用を負担する余裕はないと発言した。地方住民や子供、退職者などに対する年間保険料は800元(約12000円)ほどで、基本的な健康管理の範囲しかカバーできない。現在、政府も開発後ワクチンの費用について検討中としているが、医療保険とは別に、政府が費用を負担するものと見られている。

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