デイリー・アップデート

2021年4月1日 (木)

[日本] 3月の日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」によると、大企業製造業の業況判断DI(「良い」-「悪い」%ポイント)は+5となり、前回12月調査の▲10から改善した。改善は3四半期連続、今回の水準は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年9月(+5)と並んだ。製造業を中心に回復がみられる中、まだら模様の回復に変わりはない。先行きについては横ばい圏を見通す回答が多かった。海外需要の回復の遅れや仕入れ価格の上昇などが業況の重石とみられる。

[米国] 2020年大統領選挙でトランプ氏が再選に失敗し大統領職を離任してから2か月以上が経過したが、ドナルド・トランプ事務所はトランプ前大統領夫妻の公式サイト「45office.com」を3月29日に開設したことを発表。同公式サイト経由で、トランプ前大統領がトランプ支持者との関係を引き続き維持し、政治活動の基盤の一つとすることが予想される。トランプ支持者による米連邦議会議事堂占拠事件発生後、Twitter, Facebookはトランプ氏のアカウントを凍結している。

[米国] 3月31日、USTRは2021年外国貿易障壁報告書を発表した。米国の貿易相手65か国・地域における貿易障壁の存在をまとめたもの。日本については関税のみならず、郵便、通信、デジタル貿易などの分野における非関税障壁の存在についても言及。中国についても、数々の貿易障壁を挙げるとともに、米中フェーズ・ワン合意にも触れたが、今後の追加交渉についての言及はなかった。なお、同31日に開催されたG7貿易担当大臣会合では、WTO体制における非市場主義国の問題についても協議されたもよう。

[中国] 不良債権を抱え、貸倒引当金の積み増しを余儀なくされた未上場の都市商業銀行、農業商業銀行など一部の中小銀行が、自己資本の増強を行う動きを見せている。既に3月末現在で、徽商銀行、寧夏銀行など12行が第三者割当増資プランを発表しているが、その内8行以上が投資家に対し株式の引き受けと同時に自行の不良資産を購入するよう要求している。未上場で新たな株主の登場は望めないため、地方の国有企業や同業者が引受先となっているもよう。

[中国/カザフスタン] 中央アジア最大の湖であるカザフスタンのバルハシ湖が危機に直面していると、オックスフォード大の研究者らが発表した論文で指摘。気候変動と、湖に流れ込むイリ川上流で中国が急速な開発と稲作拡大を進めていることが深刻な影響を与えているが、中国は水のデータなどを共有することを拒否しており、また、イリ川の水源は新疆ウイグル自治区にあるため、透明性の向上を望むことが難しいとしている。イリ川の水位は湖を補充するのに必要な水準を下回っており、中国の協力なしに湖を救うことはできないとしている。

[シリア] 3月30日、国連とEUの共催で「シリア及び地域の将来の支援に関する第5回ブリュッセル会合」が開催され、各国政府や援助機関から64億ドルの支援と70億ドルの借款供与が表明された。ドイツが20.4億ドル、EUが6.56億ドル、米国が6億ドルの支援などを表明し、日本は2億ドルの支援を表明。前日の29日には、ブリンケン米国務長官が国連安保理において、周辺国からシリアへの人道支援回廊の拡大を求めた。

[オーストリア] 欧州委員会が主導するEU加盟国のコロナウイルス・ワクチン共同購入プログラムに対し批判的なクルツ首相が、オーストリア国内向けのワクチンを確保できない場合、Pfizer社との追加契約分の承認を阻止すると示唆。一方、ロシア製ワクチン購入を考慮していることも発表。欧州医薬品庁(EMA)の同ワクチン承認は6月頃の見通し。

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