デイリー・アップデート

2021年3月31日 (水)

[中国] 国家統計局が発表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.9と前月の50.6から上昇。春節中操業を停止していた工場が生産を再開したことが影響した。3月の非製造業PMIも56.3と、2月の51.4から大きく上昇した。サービス業は製造業より回復が遅れていたが、サービス消費が戻りつつある。PMIは50が景況改善・悪化の分岐点。

[日本] 経済産業省「鉱工業指数」によると、2月の生産は前月比▲2.1%と2か月ぶりの減産となった。1月の大幅な増産の反動減に加えて地震や半導体不足が影響したとみられる。基調判断は「持ち直している」に据え置かれ、生産の回復傾向は継続していると判断された。また、製造工業生産予測指数は3月の前月比▲1.9%から4月の同+9.3%へと増産に転じる見込みであるものの、半導体不足に起因する自動車メーカーの減産検討という報道もあり、下押し圧力がかかりそうだ。

[中国] 3月29日、国務院は、発展改革委員会・交通運輸部などに向けた通達で、将来の鉄道の計画・建設に対して新たな基準と要求を提示した。同通達は、鉄道インフラの経済発展における業績を評価しつつも、速度偏重、建設偏重の一方で収益性が軽視されたため、鉄道会社の経営圧迫と債務負担が高まったと指摘、今後科学的かつ秩序立った計画・建設を推進し、債務リスクの防止・解消を求めた。今年から始まる第14次5か年計画での高速鉄道の建設は、過去5年に比べ3割強減の12,100kmに縮小された。

[米国/台湾/中国/パラオ] 3月29日、パラオのウィップ大統領と駐パラオ米国大使が台湾を訪問し、翌日、蔡英文総統と会談した。米国の大使が台湾を訪問するのは1979年の断交以降初めて。25日、米台は沿岸警備の連携を強化する覚書に署名し、米政府は自国の外交官と台湾関係者の接触を容易にするガイドラインを作成するなど、米台の関係強化が進んでいる。26日には、中国の戦闘機20機が台湾の防空識別圏に進入することで中国側が強い不満を示すなど、両岸の緊張が高まっている。

[米/イラン] バイデン政権がイラン核合意(JCPOA)への復帰に手間取る中、米政権は今週中にもイラン政府に対してJCPOAへの復帰に関する新たな提案を行う、と米ニュースメディアPOLITICOが報じた。提案の詳細は不明だが、「イランが高性能遠心分離機の使用を止め、20%のウラン濃縮をやめれば、米政府は一部制裁の緩和に応じる」という内容とみられている。報道によると、米政権は6月のイラン大統領選で予想通り強硬派大統領が選出されれば、それ以降の交渉がさらに難しくなることを懸念しているという。

[ロシア] ロシアは今月発生したスエズ運河の事故による混乱を商機ととらえている。同国沿岸の北極海を通りアジアと欧州をつなぐ「北極海航路(NSR)」の代替航路としての利用が増加することを見込んでいる。3月29日、露エネルギー省は、スエズ運河で大型船が座礁した事故を受け、「ロシアの北極海航路とエネルギー・パイプラインの安全・安定性が強調された」とコメントした。

[米国] バイデン政権は気候変動対策の一環として再生可能エネルギーの普及を図る方針を明確にしている。米国内での大規模洋上風力発電所の建設プロジェクトを積極的に支援することで、2030年までに洋上風力発電による電力量を30ギガワット供給するとともに、風力発電業界だけで4万4,000人の新規雇用を創出する目標を3月29日に発表した。同目標が達成された場合、1,000万世帯に対して電力供給を行うことが可能となり、年間7,800万トンのCO2削減も図れると政権は説明している。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

16人が「いいね!」と言っています。