デイリー・アップデート

2021年3月3日 (水)

[米/中/台] 3月2日に開催された米上院のグローバル・セキュリティーに関する公聴会で、マクマスター元大統領補佐官は、昨年から米国内で話題となっている台湾に対する米国の「曖昧戦略」の見直しについて、修正の必要はないが、当該地域における米国の軍事的プレゼンスを強化すべきだという見解を表明。また2022年の北京冬季オリンピックから秋の党大会までの間に、中国が台湾への圧力を強め、緊張が高まる可能性があると述べた。

[米国] 3月1日、米通商代表部が、バイデン政権の通商政策アジェンダを発表した。新型コロナ禍対策と経済回復を筆頭に掲げ、気候変動対策に資する通商政策を進め、中国による強圧的で不公正な貿易慣行にも対応していくとした。同時に、労働者利益を中心に据え、人種間平等にも配慮した政策展開を行うとして、「通商政策は国内政策や外交政策の一部である」というバイデン政権の従来からの姿勢を改めて強調した。

[バングラデシュ] 2月27日、国連開発計画委員会(CDP)は、バングラデシュが国連の定める後発開発途上国(LDC)からの「卒業条件」を満たしていると認定した。今回のレビュー(3年ごとに実施)は2018年に続き2回目。「卒業」には2回のレビューで連続して2項目以上の達成が必要とされるが、2回とも3つの基準全てを満たした。2024年の3回目のレビューで正式にLDC卒業が決定する見込みだが、同国政府はコロナ禍の影響に鑑み、LDCに対する各種の優遇措置を維持したいとして、2026年の「卒業」を要請している。

[欧州] 欧州統計局(Eurostat)によると、2月のユーロ圏の消費者物価上昇率は前年同月比+0.9%となり、前月と同じだった。エネルギー価格の下落幅が縮小した一方で、非エネルギー工業財やサービスの価格の上昇幅も縮小したため。食料品やエネルギーを除くコア指数は+1.1%であり、前月の+1.4%からやや縮小。オランダやドイツで物価が上昇する一方で、スペインやギリシャでは下落するなど、域内の物価の方向感は国により異なっている。

[米/ロ] 3月2日、米国政府は、ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が昨年8月、同国内で毒殺未遂に遭った事件で、反体制派を沈黙させるために化学兵器を使ったとしてロシア政府高官らを制裁対象に追加したと発表した。バイデン米政権として初の対ロ制裁。米政府高官はロシアの連邦保安局(FSB)が猛毒の神経剤ノビチョクを使ったと断定した。

[イタリア] 5つ星運動がコンテ前首相を新党首に立てて再始動することを発表。2018年の総選挙で反体制派として勢力を拡大したが、その後の度重なる連立政権入りで体制派となったことから国内の支持が減少。欧州議会でも無所属状態が続いており、欧州政界での影響力が低下していた。首相就任時に親EU路線を明確にしたコンテ氏を党首に擁立することにより影響力を回復することが狙いとみられている。

[中国] 内蒙古自治区発展改革委は、2月25日付で、第14次5か年計画期間におけるエネルギー消費削減の目標達成に向けた措置を公表した。同措置には、高エネルギー消費業種における生産能力規模を抑制する施策があり、カーバイド、PVC、板ガラス、電解アルミなど20業種の新規事業は、生産能力と消費エネルギー面で自治区内の既存事業との置き換え可能な案件に限定するほか、仮想通貨のマイニング事業を2021年4月末までに全面的に禁止し、新規事業も認めないという措置もあることで注目を集めた。

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