デイリー・アップデート

2021年3月8日 (月)

[米/中] 米国内では中国との文化交流面でも規制強化を図る動きが顕在化している。全米の各大学で運営され中国政府が資金援助する文化交流センター「孔子学院」に対する監視を強化する法案(S-590)が、3月4日に上院本会議において全会一致で可決され、下院に送付された。同法案では新たな監視規則を遵守しない孔子学院を運営する大学に対しては連邦政府の補助金を停止する。米中関係が引き続き厳しさを増す中、米議会も中国に対して厳しい姿勢を鮮明にしつつある。

[中国] 3月7日の税関総署の発表によると、2021年1~2月の輸出は前年同期比60.6%増と大きく伸びた。輸出の高伸長率は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞で落ち込んだ前年同期(同17.2%減)からの反動増が影響したこと、需要面では欧米での経済回復に伴う中国製品に対する需要が増加したこと、供給面では感染拡大を抑制するため春節連休中に帰省を控える動きが広がり、多くの企業が通常業務を続けたことが挙げられる。輸入は22.2%増、貿易黒字は1,033億ドルだった。

[米国] 労働省によると、2月の非農業部門雇用者数は前月から37.9万人増加した。回復傾向が続くものの、コロナ危機前に比べて947.5万人分の雇用が失われたままである。2月の回復ペースが今後継続すると仮定しても、失われた雇用の回復には2年以上の時間がかかる計算となる。また、失業率は6.2%と前月から0.1pt低下したものの、労働参加率は61.4%で横ばいであり、職探しを諦めた人も少なくないなど、雇用環境は見た目ほど回復していない。

[ロシア] ミシュスチン首相は3月3日に55才になるが、昨年1月に新首相に任命されて以降、国内での人気は着実に上昇しつつある。プーチン大統領に次ぐ国内ナンバーツーの地位も定着しつつ、将来におけるプーチン大統領の後継者になる可能性もあると思われる。

[キプロス/ポルトガル] キプロス政府とポルトガル政府が、5月以降の英国からの旅行者入国を、新型コロナウイルスワクチン接種を条件として認める計画を発表したことから、EU内の結束に懸念が生じている。また、英国政府はイングランド住民の休暇目的以外の海外渡航を5月17日以降に承認する計画を発表しているが、確定ではない。さらに、英国政府の正式なワクチン接種証明書もいまだ発行されていない。

[中国] 北京大学教授で政協委員を務めている賈慶国氏が、学者や専門家に対する政府の海外交流制限が厳しすぎるとして、緩和を求める提言を行った。専門家・学者が、国際会議に参加したり、外国の研究者やメディアと接触したり、外国人研究者を招いたりする場合の審査の範囲が広がり、手続きが煩雑になっているため、実務的にも心理的にも負担になっているという。海外の情報収集や中国からの情報発信の妨げにもなっていると苦言を呈している。

[米国] 3月6日、上院は1.9兆ドル規模の経済対策法案を可決した。法案への賛否(民主党による賛成50票、共和党の反対49票)は党派ラインで割れ、経済対策の規模・内容をめぐり、党派間の深い溝が改めて明らかになった。2月27日に可決された下院案に含まれていた連邦最低賃金の引上げ条項が削られ、また追加失業手当も週400ドルから週300ドルへと減額された。7日に当該上院案を下院が採決にかける見込みで、現行のパンデミック関連支援策の一部が14日に失効する前に法案の成立を図る。

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