デイリー・アップデート

2021年3月4日 (木)

[台湾/中国] 2月26日、中国の税関当局は台湾産パイナップルの輸入を3月1日から禁止すると発表。理由として、害虫を複数回確認したためとしている。台湾にとってパイナップルは全果物輸出のうち4割を占める主要農産品であり、パイナップルの輸出のうち9割が中国向けになっている。台湾側は対中輸出用パイナップルの検疫合格率は99%以上の高水準であるとし、今回の中国側の輸入禁止は「非合理的」であると反発している。

[米国] FRBの「地区連銀経済報告(ベージュブック)」によると、1月から2月中旬にかけての米経済は引き続き緩慢に拡大していた。製造業の生産活動は増加している一方で、経済活動への制限措置の影響を受けた娯楽や宿泊などのサービス業には強弱が入り混じっていた。供給網の問題などから原材料価格が上昇圧力を受けているものの、それを必ずしも販売価格に転嫁できないケースがあり、物価上昇は緩やかなペースにとどまっている。

[イラク] フランシスコ・ローマ教皇(84)は、3月5~8日の日程でイラクを訪問する予定。歴代教皇がイラクを訪問するのは初めてとなる。首都バグダッドに加え、アブラハム生誕地とされる南部のウル、今もキリスト教徒のコミュニティが残る北部のモスル近郊を訪問予定。またシーア派の聖地ナジャフへの訪問では、イラクのシーア派宗教権威であるシスターニ師との会談も予定されている。しかし、テロの脅威や新型コロナウイルス感染拡大の懸念などから、教皇のイラク訪問実現に関しては不安の声もささやかれている。

[米国] 3月3日、上院はバイデン政権の商務長官人事を賛成84票、反対15票で承認した。これを受けて、前ロードアイランド州知事のジーナ・レモンド氏が第40代商務長官に就任。商務省は経済統計、通商、技術規格、知財といった分野のみならず、国勢調査、海洋や気象の調査を含む広範な政策分野を管掌する。トランプ政権下では対中輸出規制強化を主導した。レモンド氏が承認公聴会にて、対ファーウェイ社制裁の継続を明言しなかったことを共和党が問題視し、承認を一時差し止める事態が生じていた。

[米国] 世界の主要国・地域に対する米国民の見方に関する最新世論調査を米大手世論調査会社のギャラップ社が2月3日~18日まで実施したが、1年前の2020年2月に実施された前回調査と比較して、とりわけ中国に対する好感度が33%から13ポイントも大幅に低下し、1979年の米中国交正常化以来最低の20%となったことが判明。新型コロナウイルス感染拡大も米国民の対中イメージの悪化に影響を及ぼしているとみられる。

[EU/英国] フロスト・英ランカスター公領大臣とシェフチョビッチEU委員が離脱協定共同委員会で協議するも、北アイルランドにおける税関チェック問題の解決が出来なかったことを改めて表明。さらに、EU委員会側は「英・北アイルランド担当相による一時的な執行期間延長と新たな運用計画に関する発言は、離脱協定・北アイルランド議定書に反する国際法違反である」という見解を発表しており、今後より一層の関係悪化が予想される状況。

[リトアニア/中国/台湾] 3月2日、リトアニアのメディアは、同国政府が、中国と中東欧諸国の協力枠組み『17+1』から脱退することを検討し、年内に台湾に経済代表部を開設する予定であると報じた。同日、ランズベルギス外相は「『17+1』はリトアニアにほとんど何の利益ももたらしていない」と発言。2月の『17+1』サミットで、リトアニアは中国から最高指導者の会議出席を要請されたが拒否しており、議会の外交委員会は、民主主義国との連携に力を入れるべきだとして、『17+1』からの脱退を提言した。

[中国] 中国初の個人の破産制度を定めた「深圳経済特区個人破産条例」が3月1日から施行され、同事務を専門に処理する深圳市破産事務管理署が同市司法局傘下に開設された。条例では、深圳市に居住しかつ連続して3年以上社会保険料を納付している、単独/共同で50万元(約830万円)以上の債務を負った個人が、再編か和解または破産の手続きに入ることができ、破産の場合は、裁判所の宣告日から義務の遵守や行動制限を受ける3年間の免責観察期間を経て、最終的な債務免除が適用されるなどとなっている。

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