デイリー・アップデート

2021年3月12日 (金)

[イスラエル] 3月11日に予定されていたネタニヤフ首相によるUAE訪問は、隣国ヨルダンによる空域通過の許可が直前まで下りなかったために延期された模様。ヨルダンが空域通過許可を遅らせたのは、ヨルダンのフセイン皇太子によるエルサレムのアル・アクサー・モスク訪問がイスラエルにより妨害されたことに起因するとの報道が出ている。ネタニヤフは、3月23日の総選挙前にUAEを初訪問して外交アピールを狙っていたが、逆にヨルダンとの緊張関係を露呈する結果となった。

[ボリビア] アルセ政権はボリビアの天然ガス輸出の縮小による歳入の減少とボリビア経済の低迷により政府財源が減少する一方、国内での新型コロナウイルスの感染拡大に伴い財政出動の増大を余儀なくされている状況。そうした中、3月7日に行われた地方選挙でのサンタクルス知事選で勝利した右派活動家のカマチョが今月末に知事に就任し、中央政府と地方政府との関係が中央政府の限られた財源の配分を巡り対立する可能性が浮上している。

[中国・インド] 中国自動車工業協会は3月11日、2月の国内新車販売台数が前年同月比+364.8%の145万5,000台だったと発表。11カ月連続でプラスの伸びとなった。昨年の2月は、コロナ禍の影響で販売が大きく低迷していたことから、その反動で大幅増となったことに加え、年初からの合計ではコロナ禍前の水準も上回った。EVを含む新エネルギー車(NEV)販売台数は前年同月比+675%の9万7000台。月ベースで過去最高となった。

[欧州] 欧州中央銀行(ECB)は3月11日、理事会を開催し、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の枠組みや政策金利などを据え置いた。ただし、向こう1四半期のPEPPの購入ペースについて、年初より加速させる方針を示した。これはECBは良好な金融環境の維持を目指している中で、足元にかけて長期金利などが上昇していたため。また、良好な金融環境の評価について、全体的、多面的な経済指標から捉える姿勢を明らかにした。

[ウクライナ/中国] ウクライナ政府は国家安全保障にとって戦略的に重要とされる国内の軍事ヘリコプターのエンジンの有力メーカーである「モトール・シーチ」社を国有化することを検討している。同企業の支配権をめぐって以前から、米国と中国の間で影響力争いが繰り広げられており、ウクライナ政府は同社の株式の中国企業への売却を阻止しようとしている。中国は以前、ウクライナの軍事技術に目を付けて急接近したが、国有化されれば、今後、中国とウクライナの関係に影を落とすリスクが出てくると思われる。

[ドイツ] 3月14日にバーデン=ヴュルテンベルク州とラインラント=プファルツ州で行われる州議会議員選挙を前に、与党CDU/CSU議員のスキャンダルが相次いで発覚し、離党、辞職が相次いでいる。CDU/CSUが所属議員全てに対し、12日までに汚職事件に関わっているかどうか正式回答を提出するよう最後通告が出されているが、州議会選挙への影響が懸念されている。

[インド/中国] 3月10日、インド政府は、4G通信の拡大と今後予定されている5G機器の導入において、HuaweiやZTEなど中国企業の参加を制限するため、ライセンス規則の改正を行い、6月15日以降は指定機関の承認を受けた「信頼できる」供給源からの機器調達を義務付けると発表した。今回の改正は、継続中の年間保守計画や、ネットワークですでに導入されている既存機器の更新には影響しないとしている。

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